表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/89

#12 異世界転生らしくなってきたな……

 数度瞬きすると、そこは室内だった。

 白を基調にした家具で揃えた落ち着いた雰囲気の部屋だった。

 

「適当に座れー?」

 と、ユウキが少し離れたところから言ってくる。

 どうやら、部屋に備え付けられたキッチンでお湯を沸かしている様子。

 あれか、お茶の用意とかしてんのかな?

 いつの間に……。

 

 俺の傍らには白い布地のフカフカそうなソファー。

 ……少し、いや、すんごく高そうだ。

 ちょっと、座るのに二の足踏んでしまう。ためらうわー。


「お前……5歳だもんな……ジュースとか、ないんだけど」

「お茶でいいよ」 

 そういいつつソファーに座る。

 思った以上にフカフカだったし、でも体をしっかり包んで支えてくれるから腰が痛くならなそう。

 ……やっぱお高いソファーだ。

「お菓子ならあるから食いながら話そうぜ?」


 ユウキが大きなお菓子皿に山盛りにお菓子を盛ってやってくる。


「で、なんかあった?」

 菓子皿からチョコレートを引っ張りつつユウキが問いかけてきた。

 その声はいつも通り軽い。まぁ、そういう態度はありがたい。

 変に気を使われても、ね?

「意識してなかったんだがな……俺、この世界のこと、知り過ぎてね?」

 だから、俺は素直に答えた。

「ん?」

「5歳児がさ、魔力炉の仕組みとか知ってるもん? それを、親が教えてくれるもん?」

「あ、あー……」

 何か、得心いったといった様子でユウキが声を挙げる。

 俺は構わずぶちまけることにした。

「俺、お前が『天地開闢を見た』って言った瞬間さ、『ああ、創世神なんか』って思ったんだよ。あっさり受け入れたんだよ。あり得るか? そも、創世神なんて言葉……どっから仕入れたんだよ。俺」

「ハルト君」

 ユウキの声は、酷く穏やかだった。

 真摯だが、気負いしない顔で足を組む。

 カッー! 美人がやるとアレだな! 様になるなー。


「お前、異世界転生者じゃない?」

 あまり予想できなかった言葉だった。

 確かに俺は転生者だ。

「関係あるん?」

「ある……と、言えばある。……んーだがー……」

 歯切れの悪い反応である。

「転生者って、今じゃ珍しいからさあ……こう、神がさぁ……いろいろ祝福するんよ」

 言葉を選んでいるのか、考えもってユウキが言葉を紡ぐ。

 人差し指を立て、片目を閉じつつ説明する様は、なかなか……見とれてしまう。

 美人は反則だなぁ……。何やっても様になる。だが。

「祝福」

 オウム返しに返しつつ、考える。

 祝福……か……?

 

 前世の、ウェブ小説を読み漁った知識から言えば……

 神の祝福は、人間に対して碌な作用をしない。

 別に神が人間を困らせてやってるわけではないのは、わかる。

 

 ただ、単純に。神の感覚と人間の感覚が乖離しまくってる結果である。

 脆弱で矮小な人間に、神の恩寵は……最早……劇物なのだ……災害なのだ……

 ひとえに……人間がひ弱なゆえに……!


「……あんのー……一応、お前の目の前にいる俺も神だからな?」

 組んだ足の上で頬杖をついて、呻く。

「そういえばそうだった。というか、お前、創世神だから、並みの神様よりやべえのか」

「酷い言いがかりだな。つか、そういう意味ではアイツの方がやばい」

「アイツ?」

「システム。で、たぶん原因はソレ」

「システムのタカトー?」

 意外な返答、その2。まさかシステムのタカトーがでてくるとは。

「根源接続ってスキル、祝福として授かってんじゃね?」

「……」

 

 根源接続?


「何それ」

「……まぁ、呼び名は俺が勝手に名付けたっていうか……どっからからの受け売りだが……疑似全知全能的なやつ。世界の中枢にアクセスする権利っていうかね。やろうと思えば何でもできるぜ?」

 そう答えるユウキに、俺は複雑な感情を抱く。

 正直……

「……わあい、要らねえ」

 疑似全知全能なんて碌なスキルじゃねぇ……

「言うと思った。たぶん、自覚してないからコントロールできないだけで……オンオフできるんじゃね?」

「へー……オンオフできない類もあるんだ?」

「あるぞ。勇者の魂とか」

「おん? 勇者?」


 いるんだ? 勇者。ほんと、異世界ファンタジーだなぁ……


「いるっていうか……お前」


 わい?why?


「あ、気づいてなかったんだな。そらそうか。前世の記憶はあってもなー……そこらへんは気づかんよなー……むふふ」

 嫌らしい笑みー。いやらしーんだ。

 ……というか、ほんと人知を超えた整った顔立ちだ……

 俺も、母君と父上の遺伝子を受け継いでいるので、人間にしてはいい顔立ちをしているが……こいつには流石に負けるわ。


「な。なによぅ」

「いや、イケメンだなぁ……って」

「現実逃避かね? 現実逃避だな? まぁ、現実逃避するのは自由だが、ちょうどいいから教えとくわ。いいか?」


 真剣な顔でユウキが身を乗り出してきた。

 

「お前の魂は勇者と魔王、両方の性質をもってる。さらに根源接続者で、たぶん不老不死だ」

「不老不死?」

 疑似全知全能なら不老不死もあるか。……なろう展開っぽーい。

 転生したらチートスキル持ちですかー。彼女の一人や二人でもできるんですかね?

 この世界がウェブ小説なら大人になった俺は勝ち組確定。ハーレムで大金持ちでむふふだろう。……まぁ、これは現実だし、異世界ファンタジーっぽいけど、そこまでおいしい展開はしないだろう。……どの世の中も、言うほど甘くない。

「半分以上人間から乖離している。気をつけな? 俺みたいになるなよ?」

「おん?」

 俺みたいに……? ユウキはなにか痛い目にあったのだろうか?

 まぁ、長く生きればイタイ記憶も、あるか。

「理解が追い付いてないな? 魔王の性質は、この世界じゃあまり関係ない。お前が司る魔界もないしね。魔王だからって殺しに来るやつもいない。この世界じゃ等しく命だからねぇ。……問題は、お前の家の……アーバインの本家がフェンファーゲンにあることと、勇者の性質の方だ」

「なんか、あるの?」

 アーバイン家の本家が問題って……一応分家だが曾爺様と曾婆様の代から亡命してるし、実質の縁はない。それでも問題って……。つか、フェンファーゲンにあることが問題なのか? それに魔王の性質より勇者の性質のほうが厄介?

 頭の中をハテナで満たしつつユウキの言を聞く。

 混乱したままだが、とりあえず情報が欲しかった。

「フェンファーゲンの元老院は勇者を集めてる。結局は兵器としての運用して考えてないからねえ、アイツら。特に君は人間だしね。フェンファーゲンは、エルフ至上主義だしね。エルフ以外は人間ではない扱いだからな? だからお前んひいばあさんは亡命したんだろうな。つか、お前のひい婆さんマジですげえな。あのエルフ至上主義で人間に恋したんだろ? しかも黒。黒のアーバインは、マジで……まじで……マジでさぁ……アイツらどうにか出来ねえかな……ホント……」

 最終的に頭を抱えだすユウキ。

 ……なんか、うちの本家がスマン……。

 と、言っても俺は本家の人間を知らない。

 そもそもここはアルヴェリアだし。アーバインの本家とはほんと、交流がないのだ。


 ユウキの言動が本当なら、まーじで人間である俺らには興味ないだろうしねー。

 

 あ。でも俺勇者の性質があるから? そこらへんばれるとややこしいのか。

 まぁ、知ってるのは俺とユウキだけっぽいし? 気を付けよう。うん。


 そういえば、適当なネーミングが思いつかずに、ちょっとよそからパチッってきたんだけど……ユウキが転生した時代にあの作品ってあったのかな……とか調べてたら、ファンによる造語なんですね……いいのかな……アリかな? ユウキは多分いろんな時系列を集約しているので、未来の知識も持ってるから、多少年代ずれても大丈夫……大丈夫だよね? ね? アイツ神様だから多少の整合性の乱れも跳ねのけてくれるさ……

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ