表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/89

#11 俺って……?

「帰る時に一応声かけてくれると嬉しいなぁ。ということで、ごゆっくりー」

 牧場エリアに戻ってきた途端、マツヤさんはそう言って事務所に戻っていった。

「あの人、陰キャ?」

 手近なきゅっきゅちゃんを抱きかかえてもふもふと触れ合いつつユウキに問いかけたら、ユウキはこともなげに頷いてくれる。

「うん。一時期アッチで有名だった典型的なキモオタ君だ」

 キモオタ……40代後半くらいに見えるけど……オタクくんかぁ……

 まぁ、前世のような歴史を辿ってないからね。この世界……。

 そして俺は人の趣味にとやかく言うような野暮な野郎でもないわけで。

 まぁ、幸あれだよ。……うん。

「……え、堕ち人?」

 首を傾げた。堕ち人だったら居すぎじゃない? 堕ち人。

 流石に、ユウキは最初の堕ち人だからノーカンとして……最近では数年に一人程度しか堕ち人は堕ちてこないと言われるが、俺の周囲堕ち人居すぎじゃない?

 まぁ、類友か。

「いや、パンドラ……じゃ、通じねえな。この世界産クリーチャーヒューマンだよ。あの男は」

 この世界産クリーチャーヒューマンって、割とパワーワードだな。

 まあ、大体の人間がこの世界産クリーチャーヒューマンだが。


 そしてそうか。この世界産なら、別にありきたりか。


「この世界産オリジンヒューマンとかもあってみてえなぁ」

 この世界産クリーチャーヒューマンの対義語は転生産オリジンヒューマンだろうけど。堕ち人や転生者より、この世界の純粋なオリジンヒューマンを見てみたいと思った。

「会ったことないのか」

 目を瞬いてユウキが問う。

「おん?」

 それに俺はさらに首を傾げた。あ、なんか攣りそう。

 きゅっきゅちゃんをもふる手を止める。

「ま、澪夢もそうだが……アイツ転生者だしな。んー……この世界産オリジンかぁ……」

 ちょいまて。

「……この世界産オリジンヒューマン系異世界転生者is澪夢さん?」

 前半が聞き捨てならなかった俺はユウキに返す。

 それにユウキは小首を傾げた。

 そこに引っかかる意味が分からない、とでもいうような表情で応える。

「この世界産オリジンヒューマン系異世界転生者is澪夢」

「属性過多では?」

 率直に答えた。

「まだまだ……アイツの属性はそんなもんじゃぁないぞ?」

 そんなもんじゃないって、どんだけ……


 澪夢についてまだまだだなぁなんて、ユウキはどこか勝ち誇ったような顔で宣ってくる。

 なんなんだこいつ。うっぜぇ……。

 と、言ってもこいつも属性だけ言えば相当だ。


 異世界転移者のくせに転生者。おまけに創世神だし、男性のくせに女の姿をしている。女装癖か? 天地開闢を見た最古の神なのに若作りだし。

 ついでに、本人には聞いていないが創世神の特性上、きっとこいつは全知全能である。世界を創世する偉業は、すなわちこの世界の中心であるこ……とに……?


 ふと、俺は動きを止めた。


「ん? どうした? ハルト?」

 不思議そうにのぞき込んでくるユウキ。

 きゅっきゅちゃんも集まってきて俺の顔を見上げている。

 どの子も糸目だが、しっかり俺の顔を見て心配してくれているのが見て取れる。

 だが、俺は反応できなかった。

 

 そんな余裕、なかったのだ。


 今まで気にしていなかったが……

 なんで俺は、創世神の特性なんて……いや、創世神という存在を知っているんだ?

 前世という14年の知識の蓄えがある、といっても、この世界では5歳児である。

 テレビから流れてくるもの、父上や母君のことば、サテライトが見せる絵本からの情報……いうて、俺のこの世界の情報源なんて、こんなもんである。

 そこに、創世神の存在を知る余地はない。

 

 俺は、一般的な5歳児に比べて、知り過ぎている。

 異様なまでに。


「ハルトくーん?」

「……ユウキ」

「おん?」

 不思議そうに俺の顔の前で手を振っていたユウキが手を止める。

「俺……って、何だ?」

「あん?」

 怪訝そうに眉を顰めるユウキ。

 少し思案する仕草をしたが、真剣な顔で問いかけてきた。

「何か、あったか?」


 きゅっきゅちゃんとは名残惜しいが、それよりも俺自身のことを解決しないといけない気がしてきた。

 ずっとついてきてくれていたクリーム色のきゅっきゅちゃんの頭を撫でて、お礼を言う。

 

「落ち着ける場所、ないかな」

「……この近くなら、魔道教の祈堂があるはず。そこ行くか」


 ユウキがサテライトを起動して、チャットを送る。

 たぶん、マツヤさんに事情を話してるんだろう。


「ちょっと時間が惜しいし飛ぶぞ」

 そう言ったユウキが俺の腕をつかんだ瞬間、視界が反転した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ