第九日:弾む、去る
「ねぇねぇ、パパは都会に住んだって本当なの?」
「そうですね、パパの地元は近屯市という大きな大都市だった。」
「えぇぇ!すごい!ママも?」
「そうそう、ママも。パパはママと近屯市で出会ったよ。実は君とミィちゃんも数年ぶり住んだけど、タクトが若いすぎて覚えてないか。」
「ほんと?でも、なんで田舎まで引っ越したの?僕も東海に住みたかったのに!つるい、つるいぃ!」
「タクトはなんで東海に行きたいの?」
「だって、ピカピカで楽しいでしょう?東京に行った時もすごくて楽しかった!東京に帰りたいぃ!近屯市に帰りたいぃ!」
「まぁまぁ、近屯市はそんなにいい場所じゃないよ。だから君のおばあちゃんの地元に戻ったよ?」
「でぇも…」
「はぁ、しょうがないね。冷凍庫から二つのあずきバーを取ってこい。いい話をしてくれるから、ママとミィちゃんから内緒ね?」
「わぁい!パパは最強!」
タクトのお父さんは息子を待ってる間に、もう十年前以上の彼の物語を思い始めた。母との出会いの物語もあったけど、彼の頭には他の記憶が焼き付いていた。その物語は彼の物語ではなく、DICEというギャングの物語であり、その物語の終わりが彼を近屯市から去った理由でもあった。どうやって説明しよう。DICEの話。警察官の堕落の物語。喜劇でも悲劇でも読める話。青鬼から始めようかな?それとも白虎ギャングの事から?黒蛇から始めると話が長すぎるとなる。
やっぱりそれから始めようか。
「パパ!はい!」
「ありがとう。じゃあ、話をしようか。近屯市はね?すっごく変わった場所だよ。まず、外国人が多くて、世界中の人々が集める場所だよ。」
「すごい!僕も外国人がいるの?」
「ほら、それは驚くポイントじゃないよ。近屯市の外国人はほとんど犯罪者たちだったよ?近屯市は犯罪だらけで、五つの大きいギャングがあるよ?」
「ギャング!パパはギャングを入ってたの?」
「それは秘密〜タクトは若すぎるからそういうグロい話を聞かない方がいいよ。パパの話はギャングじゃなく、パパの友だちの話とパパが聞いた噂だよ?でもそれでも怖い話になるから、覚悟した?」
「うん!僕は何も怖くないもん!」
「じゃあ、近屯市の鬼の話から始めようか?」
「え?やだ!」
「遅い!もう掴んだから逃げさないよ〜」
「いやぁ!離して!」
「パパはね?『青鬼』と名乗る怖ぁい人のせいでここまで逃げたんだ。」
「なんで?悪いことをしたの?」
「いや、ただ私たちが逃げなかったら、危ない目に遭うことになったかもしれないから、みんなを守るために逃げた。」
「でもパパは強いよ?」
「青鬼の方がもっと強いんだ。素手でライオンを潰すほど化け物だった」
「うそ!」
お父さんが笑いながら彼の大事な息子を抱きながら話を続けた。もちろん、彼は全ての事実を言えなかった。八歳のタクトには理解できない部分、怖すぎる部分、そして詰まらない部分もあるから、楽しめるために変わったし、彼は永遠に秘密にしたかったものもあった。今の彼はもうその世界と繋がっていない。そして永遠にそうすると決めた。
家族とどこまで逃げなきゃならなくても。
今回、お父さんと息子の話が弾んで、お父さんの近屯市から去った話にしていたからサブタイトルに両方の意味を使う事にしました。
『近屯市』は前に一回出たけど、近屯市は私の小説の設定です。インクトーバー中近屯市の話を何回するつもりなので、楽しんでください。