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私の二千二十三年のインクトーバー  作者: アメリカから来ました
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第七日:滴る

彼女はまた天井からの雨漏りのぽたぽたに起こされた。そして漏れた水を鼻より開けた口に落ちるようにもぞもぞと頭を動かした。そのまま彼女が飲めないまで飲み続けて、ようやく目を開けて完全に暗い洞窟の周りを拝見した。彼女がここにとじ込まれてからほぼ四ヶ月。希望を失ってから二ヶ月。出られる手掛かりを見つけてから一ヶ月。それが偽りの希望だと気づいたのはその二週間後だった。


少し楽観的に考えると彼女と一緒にとじ込まれた生き物はネズミやコウモリやそれ以下の動物しかいなくて、捕食者がなかったのでこのように安全に寝ることができる。その上に彼女はもとも森の人だったから厳しい状況を生き延びることが毎日の話だった。でもそれは一人で洞窟に住むほどの厳しさではなかった。昔にはどんなに厳しくなっても他のアルフたちと一緒にいたけど、彼女がその他の皆を逃げるために自分を犠牲して、人間族に捕まえられた。今でもその人間の声を覚えている。「このクソ木人め!」「長生きの化け物。」「人類の天敵!」昔の彼女なら頭を響いている声を遮断するように尖った耳を無意味に塞いだけど、今はもうその声に気にせずに受けた。彼女の心に人間とアルフの和解を願う暇も望みもなかった。


お腹が空いた。彼女は素早く一匹のネズミを狩り、生きたまま食い尽くされた。これにも慣れたものだった。まだ満足ではなかったけど、彼女がそれだけにした。食い過ぎたら食べる物がなくなる。彼女はその空腹を忘れるためにまた眠りに戻った。その行動によってエネルギーを保存することもできたし、一石二鳥だった。


彼女はまた天井からの雨漏りのぽたぽたに起こされた。そして漏れた水を唇より開けた口に落ちるようにもそもそと頭を動かした。もう食べ物が完全になくなった。いや、あったら彼女が捉えることがもうできなかった。彼女が最後に食べたのは…彼女はそれを既に忘れていた。水がぽたぽた落ちてなかったら彼女が恐らく今の寝る対戦する理由すら忘れたかもしれない。お腹がもうお腹が空いていなかったし、目を開けることも疲れすぎだった。たまに空腹でイライラしていたりなネズミが彼女に噛むことがあったけど、少しの動きで追い払うことができた。彼女がぐったりと横たわったまま、一つの考えがはっきりと頭に浮かべた。


もう生きる理由って、あるの?


口に言おうとしたが、力がなくて、唇が震えることしかできなかった。涙を流したかったけど、そうしたら残っていたエネルギーを使い果たすから止めた。そしてそれに気づき、なにはともあれ死にたくないと分かった。でも彼女を助けてくれる人っていないでしょう。また眠りに落ちる前にそう嘆いた。


彼女はまた窓からのしとしと音に起こされた。…また?なぜか彼女が寝ていた洞窟の床が柔らかくて、普通にじめじめした空気がさっぱりだった。向こうのどこから彼女が知らなかったいい匂いがして、誰かの歌声を聞こえた。目を開けると、彼女は知らない場所で知らない人間の隣で寝ていた。彼は小さなボウルにそのいい匂いのものをスプーンで混ぜていた。


「あ、起きたか。おはよう。あの、多分私の事を信頼してないけど、君はもう安全だよ。はい、これ。」


スプーンにオレンジ色の水があった。


「アルフ人はあまりスープとか飲めないだと聞いたけど、今君の状態は固形食品を食べなさそうからおとなしく食べてね。フー、フー、よし。ちゃんと口を開けてね?」


美味しい。少し暑かったけど、彼女の少し冷えていた体がそれを喜んだ。


そして彼女が一年ぶりの涙を流した。

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