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〜第1章〜逃亡そして異世界へ

「罪人どもォ……逃がさんぞォ……。」

ビクッと足を止めたネーレの腕を柳生が掴み、二人は光の元まで走った。

光が目前というところでブツブツと閻魔の声が聞こえてくる。

「我が領域に置いてェ、罪人は如何なる理由があれど反抗するべからずゥ。

汝に最悪の……」

手を引かれ走っていたネーレは異変に気づいた。

ネーレの腕を掴んでいた柳生の左手が指先から少しずつ消え始めていたのだ。

「柳生さん!手が!」

振り向いた柳生は顔色を変えず、さらに走り続けた。

気付くと閻魔の声は聞こえなくなっており、か細い聞き覚えのある声が響いてきた。

何を言ってるか聞きとれなかったがとうとう黒渦の外に出れた。

外は枯れ果てた地に木が数本生えてる程度の貧相な場所だった。

ネーレと柳生が外に出ると黒渦は即座に消える。

「外に…出れた。でも今の声は?ここはどこなんだ?」

ネーレは柳生に問う。

「声は存ぜぬが、とにかく拙者達は助かったようだ。ここまでは閻魔はこない。」

一体何がどうなっているのかわからないまま、ネーレは気を失った。

同時に、柳生も疲れ果て倒れる。

 目を覚ますと景色は暗くなっていて、目の前には火が焚かれていた。

柳生はあぐらをかいて火を見つめ落ち着いた口調で話し始めた。

「目を覚ましたか

 拙者の体感時間だと約二日は寝ていたぞ」

地獄にいたことも含めとても長い夢を見ていたような感覚だったネーレは大きく深呼吸をし状況を整理した。

柳生の話によると柳生はリアースに記憶を与えられた時、リアースの思考も頭に流れ込んできたと言う。

柳生はそれを淡々と話し始めた。

今2人がいる場所はどうやら生前いた世界とは全く異なる世界で、もとの世界に戻るためにはこの異世界の中にいる『ミカ』という者の力を借りなければ戻れないらしい。

そもそもどうして帰らなきゃいけないかと聞くと、それはネーレとリアースの過去に色々関わっているという。

「で、なんで柳生さんは素直に従ったんだ?」

話を割ったネーレに顔を顰めた柳生はゆっくりと訳を話した。

「リアース殿には貸を作ってしまった。

 リアース殿がしたいことを全うすること即ち、拙者の恩返しになる。」

首をすこし傾げたネーレは黙ったまま頷く。

「ネーレ殿、リアース殿はまだ生きている。

 拙者の生まれ育った国には以心伝心という心を通わせたもの同士が共鳴などすることができる術がある。

 リアース殿の魂は微かだが必ずある。」

ネーレには何が何だかわからなかったが、とりあえず安心し柳生の言葉を飲むことにした。

そして唐突にネーレは柳生に問う。

「俺の記憶は知らないか?」

柳生の表情からそれはわからないとすぐにわかった。

「冗談冗談!

 ならとっととミカ?ってやつを探そう!

 探してるうちにリアースも来るだろう」

そんな明るく振る舞うネーレに柳生はただ俯くことしかできなかった。

2人は気づいている。

最後に閻魔の声が聞こえたということは、リアースは生きていたにせよ囚われたか、瀕死かのどちらかになる。

そして柳生の左腕も失ったままだった。

色々あったが結果的に2人は地獄を出た。

とても辛いがあの悪夢の日々から逃げられたのだ。

暗闇に探索は危険だと思いその夜は一度寝て、外が明るくなったらミカを探しに出ることにした。

第1章完結!

次話から2章始まります!

異世界編第2章もよろしくお願いします。

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