〜第1章〜ヘルトーナメント編
コロシアムに着き、ネーレは下着姿の美人の鬼にひきわたされた。
美人の鬼はネーレの体を舐め回すように見た後、試合会場に連れて行った。
そこには16名の人間たちが待っていた。
美人の鬼は会場に着くと、自身のパンツからマイクを取り出し声を上げた。
「ギィー!!!!!!」
その声とともに試合を見にきた沢山の鬼が歓声を上げた。
『ギィ!ギィ!ギィー!』
美人の鬼は続けた。
「えー、低俗な鬼どもへの挨拶はこの辺で
見よ!
この地獄で意思を持ち続けた哀れで勇敢な人間たちを!
今回この大会に名乗りを挙げたのは17名!
例年より少し多いが皆の者!多いに賭け、多いに呑み、多いに楽しむが良い!」
耳が割れそうな程の爆音に人間たちは耳を塞いだ。
「司会進行ァーンド審判を務めるのは地獄界きっての美女ラヘルが請け負う!
盛大に暴れろ人間ども!」
『ギィ!ギィ!ギィー!』
その後試合の説明をラヘルが続けた。
長々話していたが簡単に言うと、1対1のトーナメント形式。
時間無制限の闘技場内で戦闘不能になるまで闘うというものだった。
尚、前回優勝者リアースも出場していてリアースは決勝までのシードであった。
「早速1回戦!前回惜しくも準優勝最上層等活地獄より、2番人気ネーレェェ!
VS
今大会初登場!三階層衆合地獄よりカティ!!」
闘技場に立たされる2人。
「キキッ、前回2位だと?こんな弱そうなのが2位じゃこの大会大したことねぇなー」
カティはケタケタと笑いこちらに話しかけて来る。
「俺は自分の記憶なんかに興味ねぇ、鬼どもにリンチにされてストレス溜まってんだ
1000年1回のストレス発散の機会みたいだし、存分に楽しませてもらうぜ!」
ネーレは怯えていた。
ネーレは自分の名前以外覚えていない。
闘い方もわからない。
こんな自分がどうして前回2位だったのか。
よく考えなくてもおかしいことだ。
(ウロスめちゃくちゃ話してたのに肝心なとこ言ってねーじゃねーか!あのゴブリン野郎!)
そんなことを考えていると試合のゴングが鳴った。
ゴングの音とともにカティはこちらに向かって走ってくる。
カティは自分の腕を大鎌の形に変形させ、こちらに向かって振り下ろす。
するとものすごい大きな斬撃がこちらに飛んできた。
(斬撃を飛ばした?なんだよこれ、技とかあんのかよ!まずい、避けられない!)
恐ろしいスピードでこちらに向かって来る斬撃を見て足がすくみ動けなくなったネーレは頭を抱えしゃがみ込んでしまった。
周りの歓声が止んだ、何も聞こえない…。
(俺は負けたのか…?)
ネーレに痛みはなかった。
閉じた暗闇の中で言葉が聞こえた。
((否定する。))
「ひ…ひてい?」
途端歓声がまた聞こえ始める。
目を開けると斬撃が消えていた。