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苦手な方はご注意ください。

阻止矢流出入巣箪笥

作者: C・トベルト

短編『阻止矢流出入巣箪笥(そしゃるでいりすたんす)



我が家の古箪笥の中に小人が住み始めた。

 だが彼らは階層毎に自分の家を作り上げ、それぞれのグループで生活を始めたのだ。

 上の階層からはすぐに下の階層に行き来出来た為に最初は皆が仲良く暮らしていた。しかし生活が発展するには土地が必要で、他人の土地は青く見える。つまりは箪笥内で戦争が始まった。上の階層に住む者は矢を飛ばして下の階層の者を殺し、下の階層の者もまた矢を飛ばして上から襲う者を殺した。

 中間の階層にいる小人は特に被害が甚大で、朝も晩も関係なく矢が襲いかかってくるためにたくさんの小人が死んでしまった。

 かつてここに住んでいた者達は上と下の階層の繋ぐ橋として双方から信頼されていた者達だった。

 箪笥の周囲に小人の死体が転がっていく。下に住む者達は死体の臭いで頭がおかしくなりそうだった。上に住む者はそれを笑ったが物資が足りなくなり戦争をつづけられなくなった。

 残った小人は沢山の死体と悲しい現状を憂い、葬式として生活の発展の為に育てた種を涙と共に死体の上に落とした。

 

 すると種はみるみる内に成長し、箪笥の一階層ごとに複雑な枝葉を広げ、彼らの頭上に黄色い実が落ちてきた。

 それを食べた彼等は戦争を止める事を誓ったが、亡くなった者達の為に彼等は互いに近付く事もなくなった。


 今日も古箪笥は賑やかで、周囲には黄色い実の成る木が生えている。


距離は大切、距離は必要。それはコロナだから?感染すると大変だから?違います。

 距離というものは遥か昔から、生きるのに必要な知恵であり勇気であり優しさなのです。

 決して、今この特別な状況だから必要という訳では無いのです。

 近付きすぎるとどうなるか、距離がないとどうなるか、『箪笥』を例にしてこの話を作りました。

 ソーシャルディスタンス。この短い話を通して使い慣れてきたこの言葉にもう一度注目と考察してください。

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