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模倣のエリュシオン  作者: うずらのなずら
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2

というものの、次の授業はお昼後13時である。

この学校は授業という授業はあるが教員の数が少ないそれはもう少なすぎるので不規則である。だから授業時間以外は自由だ。

学園外を出るな、などいろいろ禁止事項はあるが規則を守っていれば自由時間は何するのも良し。

しかし、俺の憩いの場である図書室をここに在籍後出禁にされていた。

……解せない。普段人形、無機物と散々言われてきがこればかりはふつふつと何かが湧き上がってくる。


『あ、それと。リーヴァス、君は在籍後図書室は出禁だからね。勉強熱心なのはいいが、引きこもり根暗ガリ勉コミュ障じゃ友達出来ないよ?君はまず友達作りから始めた方がいい。』


入学を宣言されたと同時に校長が言った言葉が頭の中で再生される。

全部に当てはまって悪かったな。

今度名ばかりの校長様に会ったら腹パン1発ぐらい良いのではないかと思う。

リーヴァス自信図書室に行けなければやる事が無いので最近は校舎裏に唯一ある本物の木(既に枯渇 死しているが)、枯白樹の下で出禁になる前に拝借した本を読みながら日向ぼっこをしている。

断じて言うが決して盗んではない。


毎朝ある朝礼も終わり、校舎裏に向かおうと席を立つ。

既に女子は打ち解けているようで和気藹々と会話していた。

男子は1部グループが居るようだが、俺のように1人で行動する人も多い。

そんな様子を横目で見ながら教室を出て新たな憩いの場へと向う。


裏口から外へ出ると暖かい日差しが差し込み、太陽の眩しさに思わず目を細める。

俺の"体質"だからか太陽が出ていると調子が何時もより良くなる、絶好の日向ぼっこ日和である。

枯白樹の前に来ると、リーヴァスは手を樹へと当てる。


(もうとっくに灰になってもおかしくはないのに、この樹とエフェメラルにある大樹は死んでも残ってる)


この世界は既に終わりに向かっている。

それは全国民が知っている事実である。

今から200年程前だそうだ。大災厄が訪れたのは。

それ以降、この世界は徐々に腐敗し花も木々も全て枯れて灰になっていった。学園や街にある植物は全て模造品だ。

そして今日も日々どこかしらで崩壊があり大穴が出ている。

ただこれ以上の詳しい詳細などは何処も本に記されてはいない。

どの歴史書も曖昧な文章で書かれて終わっている。

学者達の間では完全崩壊まで後々150年は持つだろうと言われているが、悪くいえばもう終わりは見えているし、良く言えば自分達が生きている間は大丈夫だ。ということだろうか。

だからだろうか街に出ても危機感というものは特に感じられない。

崩壊を考えた所で関係ない話なのだが、ただの知的好奇心だ。腐敗化が進みもうとっくに死んでいる枯白樹とエフェメラルの木が何故灰とならないのかが気になる。

今その答えが出る訳でもないのは分かっているので枯白樹の根元に座り持ってきた本を読む事にした。


ブワッ!!


どこからが勢いよく風が舞う。

急な風に方手でバンダナを抑え、もう片方の手で本を抑えつける。

しかし風が強すぎるのかバザハザッとページを揺らし勢いよく捲られる。その拍子に本に挟んであった栞もヒラヒラと舞って何処かに飛ばされていった。


(……はぁー。)


リーヴァスはため息をつきながらも、長い着丈の上着に着いた砂を払い立ち上がる。

せっかくの日向ぼっこを風に邪魔されるのはしんどい。折角のテンションはだだ下がりだ。

しかも学園外にまでかなり吹き飛んで行ったようだったが規則がある。律儀に守る気もないが、だからといってあの栞をそのままにしては後々めんどくさい事になるのは100も承知なので諦めて学園の壁をよじ登り外へと出る事にした。


(……まぁ。バレなければ大丈夫かな。……多分)


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