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ポンコツMMORPGへようこそ  作者: フォークと白紙
残念美人と羊番
14/19

寝ても覚めても

2020年最初の投稿です。今回は短めです。

「ヨシヒコ、ヨシヒコ!目を覚まして」


 激しく揺すられて目を開くと暗闇の中。肌に女の体温を感じる。


「はぁ、俺はもう勃たないって。俺の負けでいいから、少し休ませてくれ」

「何を言ってるの、しっかりして」

「勘弁してくれ、藤原」

「寝惚けてるのヨシヒコ。私よ、レイチェルよ、わかる?」


 これは例の夢の中か。暗くて顔も見えないが、この肌触りはレイチェルのものだ。


「ああ、レイチェル。まだ夜明け前じゃないか、いったいどうしたんだい」

「ヨシヒコ、あなた、すごくうなされていたのよ。フジワル、フジワルってうわ言を繰り返して」

「ん、ああ、悪夢を見ていたんだ。もう大丈夫だよ」


 夢の中で現実にうなされるとは……出来の悪い冗談だ。

 しかし『フジワル』か、たしかにあれは『(フジ)(ワル)』だな、性悪な女だ。


「怖い夢だったのね。ヨシヒコが眠るまで私が見ていてあげる。安心して寝て」

「ありがとう、レイチェル。君は俺の天使だ」

「おやすみ、ヨシヒコ」


 レイチェルはやさしく俺を抱きしめてくれた。ああ、心地よい。

 彼女の腕の中で俺は再び眠りにおちた。



 ☆


 ☆


 ☆



 頬を叩かれた痛みで、意識が現実世界に浮上する。

 軋むベッドの上で俺に跨り腰を振る全裸の女が叱咤していた。


「皇さん起きて〜、こら起きろ!私とシてる途中で寝落ちするなんて許さないっすよ」


 勘弁してくれ、藤原。

 俺は激務で疲れているんだ、快楽より安らぎが欲しいんだよ。


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