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弩畜章  作者: 真逆
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3章


SNSは簡単に人を死に追い込んでしまうようだ。


いかにも頭の悪いことをやっている動画が連日のように晒されている。


昔は「若気の至り」なんて甘やかしが通用したかもしれないが、最近の世代にそんなゆとりはない。


心にゆとりもなければ、頭脳もないのだ。


本当に皮肉でしかない。


(年寄りは年寄りで頭が固くて脳が腐っている。こんなどうしようもない連中しかいない世の中が明るいわけがないだろう)


事実、やっている者の頭が悪いだけでなく、見ている者も頭が悪いのだ。


正義感だけが強い低脳。


「ネットの威を借るクズ」という言葉がことわざになればいいのにと思う。


世の中はスマートを求めるが、殺し方までスマートになってしまった。


自分の手を汚さずに済むのだから。


勝手に死んじゃう現象はあの少年探偵も「あれれ~?おかしいぞ~?」と言ってしまうだろう。





つい最近、自分の学校の生徒がデビューした。


いろんな意味でおめでたい。


よりによっていじめの動画だった。


彼は一人の生徒をいじめたことで全国各地の人間からいじめられることになった。


名前も住所も家族の名前まで何もかも曝け出された。


そして、彼の母は自殺した。


ネットのクズ共はこういう時に限って知らんぷりだ。


「別に死ななくてもいいのに」なんて言う奴がいないだけ優しいのかもしれないが。


今のご時世だと、結局はSNSというギロチンに首を突っ込む奴が悪いということになる。


自分から首を出すようなことをすれば、SNSは容赦なくその首を刎ねる。


まるで娯楽のように、見世物として処刑される。


もっとも今回は本当に死者が出てしまった。


彼の教育不足という罪を背負うことになった彼の母親が。


今もなお、引きこもり続ける彼を想像すると不思議な笑いが込み上げてくる。


『彼は一体誰を恨むんだろう?』


『自分を恨みつつもきっと誰かのせいにしたがるんだろうな』


『彼が人生を終える時、いったい何を想うんだろうか?』


そんな妄想が止まらない。


何が一番笑えるかって、現代における人の命の価値だ。


全員が他人のせい。


別に不謹慎な笑いをしているつもりはない。


こんな世の中を笑ってあげないとこの世の人間が可哀想じゃないか。


笑いが冷やかになってきたところで僕は彼の机にメッセージを刻む。


「お前のせいでお前の親が死んだ」


誰にも見られることなく僕は教室を去った。


数分後、この教室には僕の嫌いな奴が来る。


そして、残念ながらその姿はきっと誰かに見られるだろう。


都合のいい時代になったものだ。

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