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1章
小学生の頃、クラスメイトの女子がよく話しかけてきた。
どうやら僕と仲良くしたいようだった。
その女子はクラスの人気者でたくさんの友達がいた。
もちろん、僕に友達なんていなかった。
そんな境遇を可哀想に思ったのか、この女子は近づいてきた。
「こいつのコレクションになるつもりはない」と思った。
勘違い野郎にはちゃんと思い知らせてあげないといけないから僕は言ってやった。
「どんなに僕と仲良くなりたくても、僕は君と仲良くはならないよ」
女子は悲しそうな顔をして
「どうして仲良くしてくれないの?」
と聞いてきた。
「自分が優しくしてあげたら、相手も自分に優しくしてくれるのは当然って思ってるんでしょ?
その上から目線が気に入らないんだよ。
僕には『私が優しくしてあげるから、お前も私に優しくしなさい』にしか聞こえない。
見返りを求めて善意を押し付けないでくれるかな?」
それ以来、女子は僕に近づかなくなった。
誰に対しても自分から話しかけなくなった少女を遠くから見るのはとても愉快だった。