表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
絶望の鳥籠  作者: 藤ゐ馨
5/7

第一章4 ロリコンではない!

「き、き、貴様――な、何をしている!」


二十代前半の細身の男性が、槍を構えて扉の前で立っていた。

鋭い目つきを見るまでもなく、キョウに殺気を放っているのがわかる。

銀色の髪と琥珀色の瞳と、ルシルとの共通点から、家族なのだろう。

男が黒い翼を広げると疾風共に駆け寄り、槍を突き出す。


「ちょ・・・・・・まっ、うおぉっ――いづぅ!」


槍は先程までキョウの頭があった枕に、風穴を開けて布団に刺さる。

咄嗟の回避が間に合わなかったら、今頃キョウの頭に穴が開いていたと鮮明に伝えてる様だった。


「にーさま・・・・・・駄目」


無理に体を動かした為、痛みで崩れる様に膝を付くと、ルシルはキョウの前に庇うように男と対峙する。


「止めるな妹よ! 何処の馬の骨ともわからぬ癖に、妹を嫁に寄越せとは何様だ!」


「ルシル・・・・・・了承した・・・・・・だから駄目」


「尚更許せぬ! おい、貴様、男なら女子の後ろに隠れてないで前に出ろ!」


男の殺気が収まることはなく、布団から槍を抜いて再度構える。

殺気の原因は、身に覚えのない台詞だった。

嫁に寄越せに類する事を言った記憶はない。

むしろ、14歳の少女を嫁にするとは、犯罪ではないだろうか。


「ま、まて、何か誤解している様だが・・・・・・」


「誤解だと・・・・・・貴様、女子の翼に触れておいて、誤解とは何事か! よもや、異性の翼に触れることが、求婚を意味する事を、知らないとは言わせんぞ!」


結果を言えば、知らなかった。


絵面にすると、二十代男性が十代女性に対して、求愛し続けていたことになる。

その光景を、妹を溺愛しているであろう、兄が目撃したとしたら・・・・・・この激怒も当然といえるだろう。

しかも、ルシルはそのプロポーズを、了承したと言っている。

これを意味することは、中学生少女を真顔で、口説き落とす男の図であろう。

ロリコンでは、無いと言い張っても、説得力の無い光景だ。


「にーさま・・・・・・ルシル嫌い?」


「な、何を言ってるんだ。嫌いなわけないだろう」


冷や汗を背中に感じていると、ルシルは涙目で男に訴えかける。

男はルシルの涙に狼狽えるように、後ずさる。


「祝って・・・・・・くれない?」


「むぐぅ・・・・・・いや、しかしだな・・・・・・」


ルシルの一言に、男は非常に苦しい表情を浮かべる。

先程まで煮え滾らせていた殺意は、何処かに飛んでしまった様だった。

だが、男以外にも困惑しているキョウの姿もあった。


仮に、この場で誤解だと説明した場合、ルシルはどう思うのだろう。

気の迷いで済ませてくれる・・・・・・雰囲気ではない。

では、受け入れるべきなのだろうか・・・・・・いや、年齢的にも、あって間もないと言う、様々な要因的に無理だろう。


「ココルクもルシルも、何を騒いでおる。まずは、客人殿に何かを着させてあげなさい」


拮抗状態を崩すかの様に、男の後ろから老人が出てきて声をかける。

サンタクロースを強面にした風格のある姿。

老人に言われて気づいたがキョウの姿は、産まれたままの姿に包帯を巻かれているだけで、股下も丸出しであった。


羞恥心はあるが、急に気にして隠すのも何だったので、威風堂々と構える。


「爺様が、そう言うのであれば・・・・・・」


「着替え・・・・・・出してくる」


ルシルが用意した服は、一見複雑でどう着付ければ正しいのか良く解らない。

着物に似ているが、背中は翼がある為か、開けている。

着付けに手間取っていると、甲斐甲斐しくルシルは手伝ってくれた。

最後に長いスカーフで、背中を覆い隠すが、ココルクと呼ばれた男も、ルシルもつけていない事から、キョウの為に、用意された物だろう。


マントを羽織った着物姿の出来上がりだ。

これなら、老人が着ている羽織の方が、ありがたいと内心思っていた。

知らなかったですまない状況と言う事は、多々ありますよね。

それぞれの国の人なら常識だけど、他国にしてみたら予想外の事

火種とはそれを受け入れないから起きる場合もあります。

何事も下手な事をすると、手痛いしっぺ返しがやってくるのかもしれません。


ここまで読んで頂きありがとうございます。

今後ともよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ