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七話

「ニュースの時間になりました」

「緊張するな」


 前回のニュースから二ヶ月たった。今回はタイミングがわかっていたので、四つ葉のクローバー一号二号の前で椅子に座って待っていた。

 一号と二号は多数の子孫に埋まってしまい、どこにいるのわからなくなってしまった。それで仕方なく召喚を使って呼び出し、庭の一角に専用花壇を作って隔離した。


 煉瓦で囲まれた花壇に移植されるのは寂しそうだったが、特別でないといけない役目上仕方ないと諦めてもらった。他の子たちは話せないから。

 まぁ普通に範囲内に種が飛んできて、花壇に生えるクローバーを定期的に抜いているから隔離とは言いがたいが。


 そんなことよりニュースだ。


「トップニュースです。近頃巷を賑わしている新種の植物の正体が判明しました」

「おお、本当にトップニュースだ」

「その植物は異様に成長が早く、種から一日で種をつけ、様々な環境にも素早く適応する力をもっています。その速度は飢饉に陥っている白国の地方を救うほどです。さらに美味しく、食糧に困っていない地域でも嗜好品として栽培されはじめています」


 美味しいと誉められて四つ葉のクローバーたちが喜んでいる。


「元々家畜しか食べていませんでしたが、毒がないことが確認されると神が使わした植物だと噂が広まり、白国の人々の口に入るようになりました」


 邪神だけどな。


「さらに勇者ラインを経由する商人団を通して白国から赤国へ範囲を広げるのは確実の様子。さてこの植物ですが、我らの神が持ち込み召喚者によって強化されたものだと判明しました」


 この言い方、神が手柄を持っていくやつだ。別に不味くないぞ。


「召喚者にどうして大陸の利になることをするのか質問すると、このクローバーによって野が肥えれば残された召喚者たちによって強化された生物の子孫が人間に対して牙を向くだろうとの回答を得られました。ダンジョンマスターがこの草で食糧問題が解決して魔物爆発限界が広くなりそうだとコメントしていたとのことで、将来的にどの陣営も大きな効果を得られそうです」


 ふふふ、インタビューを受けたのだ。ミニコミニュースとはいえ全国ニュースデビューだ。これは嬉しい。


「中立のニュースでしたね」

「深く考えずにやったことの理由をうまくつけれて、怒られずにすんだことが重要だ。実際冬になれば生育が弱まり、増えた獣にあぶれるやつが出て人を邪魔するだろう」


 たぶんな。


「そろそろ次のニュースいいですか?」

「おう」


 またどこかの貴族同士の婚姻。逆にどこかの貴族同士の縁切り。秋祭り各地で開催。有力商店が店舗数50達成。他大陸からの海賊が返り討ちに。白国の大都市で私兵解体、これで国軍一本化完了。偽札団検挙。ベストセラーに財宝の暗号が隠されている噂。優秀な魔法学生退学成功。新しい信徒のコーナー。


 色々なニュースがあるがやはりうちで栽培しているクローバーがトップなのが嬉しい。


「軍隊熊が山を降りたのと合わせて二回目か。いい気分だな」


 軍隊熊は匂いと音に逃げただけだが。ん?


「軍隊熊が降りたのは食料不足と思われてないのか。それならクローバーの出所を探ったときにここで食料不足はおかしい」


 クローバーの出所調査は発見の時系列を追えばいいので簡単なはずだ。


「もしかしてクローバーの出所を探られているのでは」


 おっぱいマウスパッドに聞いた訳ではなく独り言だったのだが、おっぱいマウスパッドは律儀に反応してうなずいてから石を拾った。


「この石をあっち方向に急に投げてみてください」


 言われた通りにマウスパッド姿で雑な木柵の先の森に向かって投げてみると、がさがさと音がして何かが逃げていった。

 驚いてびくりとすると、おっぱいマウスパッドが宣告する。


「先ほど見つかりました。音と臭いで何かがあるってバレバレですもんね」


 ウォールマスターは報告即殺されることを思い出す。

 ついに来てしまったか。


「よし、壁を作るぞ」

「そうですね」


そういえば自分はウォールマスターだったな。そうマウスパッド姿で思った。




「なんであの人、こっちに向かってこなかったんだ。即殺すだろ、こっちの常識によれば」

「いきなりの臭くてうるさいので限界だったのでは。次は対策とるでしょうね。人間とウォールマスターの歴史はいたちごっこですから、もうとっくに臭いうるさいは攻略されています」


 現実逃避だと思いつつも歴史を感じてしまった。

 この庭に出て椅子に座り、見つかったのに動かず現実逃避しているのも歴史の一部なんだな。


「地下に隠れる作戦は知られているのか」

「とっくにですね。家探しして地下への扉を探すだけです」

「扉をつけずに土の中に隠れたら?」

「私たち二人、どちらがやられてもダメなのにどうやって潜るんですか。出れませんし」


 正しいから無視しよう。


「さてどうするか」


 けっこう真面目に悩んでいたら、おっぱいマウスパッドが口を開く


「異世界の発達した科学の知識でがんばりましょうよ。そのために呼ばれた側面もあるんですから」

「地球からじゃぶじゃぶ魂奴隷を呼んで脳みそさらったりしてないのか?」

「地球で魂奴隷が出たの初めてですからね。やってなかった奴隷制を使ってでも追い出したかったんでしょうね」


 衝撃的な事実。


「それなら生まれ変わりはこっち限定か?」

「クローバーで飢饉を救っているようなので、功徳を積んでいると判定されて出戻りが許されるかもしれません」


 目の前で揺れる四葉のクローバーを見る。ありがとう一号二号。


「よし、やる気が出てきたぞ。異世界の知識か。ならこれならどうだ?」


 頭に完成図のおおよそを浮かべる。今までのテンプレートは石の壁や金属の壁だったが、今回は違う。


「これで大丈夫なんですか?いや、確かに良い壁ですね。ウォール界の未来はこうなるんですね。これだと諸経費込みでウォールポイント一万です。足りますね」


 四葉のクローバーたちが広がったおかげで、些細なヘイトがたまりにたまって一万二千ポイントもある。二千ポイントは何に使おうかな。


「じゃあ着工スタート」

「はい着工スタート」


 考えてみるとまともな壁を初めて作る。がんばれおっぱいマウスパッド。



 新しい壁は雑な木柵の先に製作された。雑な木柵の先は森なので、木を登って飛び移られないように木々は伐採された。そしてさらに一メートル先を膝までの高さのもろい土壁で囲む。

 これで家を三重に囲んだ壁ができあがった。

 次回生き死にを賭けたタワーディフェンスが始まる。このセリフは現実逃避です。


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