表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
特別任務課~イリュージョン  作者: 月本星夢
コードネームはペア・イデー
5/5

前篇

 ケイと亜木夜(あきや)が二人のサポートに就いてから、キッドとケインが色々な事件を熟して行ったある日、サポート役の一人であるケイからある提案があった。

「ケイン、キッド、貴方達はペアのメンバーだから、そろそろ【コード・ネーム】を決めた方が良いかもね。」

溜息交じりで告げられた言葉に、同席している亜木夜も頷き、彼等に呼ばれたい名前を尋ねる。彼等の言葉と行動で、二人が共に難しい顔をして考え込む。

この課には、【コード・ネーム】という物を持たないメンバーも存在しているが、キッドとケインの様に二人、若しくはそれ以上で行動するメンバーには、彼等を示す一つの名前が必要であった。

しかし、色々と考えた二人ではあったが、全く良い案が浮かばない為、この話は先送りとなる。そんな話の中、何かを思い出した亜木夜がメモリーカードを彼等に渡す。

「今度の任務は、犯罪者の護送っていう簡単な物なんだけど、少々難点があるから二人共、十~分(...)に気を付ける事。」

注意点があると、亜木夜(あきや)から指摘された二人が渡されたカードをリーダーに掛けると、そこから画面が空中へと映し出される。そこには今回護送する犯人に関しての事細かな情報と、今までの脱走回数が記されてあった。

彼等と一緒に情報に目を通したケイは、納得した様に頷く。

「この人達…確か交通課(ネビゲイター)のα部門のメンバーが私達に頼らずに自分達で護送するって、言い張った犯人達じゃあない?      

ここに来ると言う事は…やっぱり無理だったのね。」

溜息交じりのケイの言葉に、亜木夜が頷く。

通常犯罪者の護送は、特別任務課(イリュージョン)で行うのだが、偶に関係した課がそれを行う事がある。この場合、護送に失敗すれば当然、この課へとその任務が移行する。

ついでの補足だが交通課(ネビゲイター)のα部門とは、宇宙海賊の取り締まり部門であり、宇宙空間上での窃盗もこの課の管轄である。



 話は戻るが今回の犯人達は、そのメンバーの手で護送する筈だったが、出来なかった為に彼等へとその任務が回って来たとの事。それ故に、彼等二人の仕事となった。

「今回は、君達だけでの任務となるよ。

差して危険もないだろうし、失敗しても命を落とす事もないからね。」

まるで、失敗しても大丈夫と安心させるかのように告げられるが、返って二人は不安になった。こういう風に亜木夜が念を押すと言う事は、今までの経験上、何かしら嫌な要素がこの任務に隠されていると感じてしまう。

任務を伝える際には何時も、食わせ者と化している亜木夜に対して、二人は声も高らかに宣言をする。

「大丈夫です。無事にやり遂げてみせます。」

「心配はいらない、俺達が必ず、遂行してみせるぜ。」

自信満々の彼等の言葉に亜木夜は微笑み、任せたよと告げる。

一応、監視の意味でのモニタリングはしていると言われ、自然に彼等の視線がケイへと向けられる。彼女のERP能力の一つである透視能力を使えば、遠くからでも監視が出来ると判っている彼等は、少し脱力した。

「亜木夜の脅しなんかは無視しちゃて、ちゃんと任務を熟せばいいのよ。

貴方達なら大丈夫。任務を無事に終えて、ここに帰って来るって信じてるわ♪」

大先輩から、さり気にプレッシャーを掛けられた気がした彼等は、掛けられた言葉を表面上の意味で取って良いのか、迷った結果、二人共素直に頷いてしまっていた。

そんな彼等をサポーターの面子は、今いる本拠地から温かく(?)送り出した。


 二人は、メモリーカードにあった指示通りの場所…マンリ・ナーサーの空港に到着した。宇宙空港と地上空港が同居しているここで、今回護送する犯人の引き渡しが行われる。

一応彼等は、一般の何でも屋を装い、連邦警察(ウィング)から依頼を受けるというシステムに表向きなっている。故に特別任務課(イリュージョン)では制服と言うものは存在せず、代わりに任務遂行中の証であるブローチを左側に付けている。

特別任務課の(イリュージョンズ・)メンバーである事を示すそれは、個人認識チップを内蔵されている代物で、偽造が不可能となっている。

無論、相手のメンバーの中に、そのチップを読み取る役目の者がさり気無く混ざっている。大抵場合は上役…課長クラスの者が、その役目を請け負っている。

一般のメンバーには、彼等の課・特別任務課(イリュージョン)の事を知られていない。

連邦警察内(ウィング)でも、課長以上の上役からでしか明かされていないからだ。何故ならば特別任務課は、唯一の本部しか持たないという特殊な物である為だった。

星間連邦の中でも、その存在と所在地は最高の極秘事項であり、一般に知られる事は全く無い。故にこの課のメンバー達は、一般人の助力と言う形を取り、警察官として表立つ事は無い。

今回の彼等の任務も一般の腕の立つ何でも屋と言う役で、交通課(ナビゲイター)のα部門の警察官(メンバー)達と会う事になる。

「君達が、今回の護送を請け負う何でも屋かね?」

メンバーの中で一番年上だと思われる緑の髪の男性に声を掛けられ、そうですと二人は素直に答える。

「私達が、今回の仕事を担当させて頂きます。

で、その問題の当人達は、どの船に捕獲されていますか?」

丁寧に言葉を綴るケインの質問へ頷きが返り、その宇宙船(ふね)へと案内される。一般的なシンプルなそれの前に案内された彼等へ、この宇宙船(ふね)のマスターキーである識別カードを渡される。

「これで宇宙船(ふね)が動く。後は、君達次第だ。」

簡素に告げられた言葉に二人は頷き、渡されたキーを持って宇宙船へと乗り込む。その姿をネビゲイターズ・メンバーは心配そうに見送るが、上役の者だけが安心した様に呟く。

                        

「まあ、歳は若いだろうが、(あさざ)さんの御指名なら、何も心配はいらないだろう。」

あの亜木夜に対して絶対の信頼を寄せている様な呟きは、二人のイリュージョンズ・メンバー達には届かなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ