表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

白い結婚

休みなんで昼間っからお酒飲んだ結果の所業だぜ!

制作30分! 誤字あったらごめん!

「君を愛する事はない! 私には他に愛する人がいるのだ! 故にこの真実の愛を貫く為に君とは白い結婚となる!」

新婚初夜、夫婦の寝室で新郎は新婦にやたらと芝居がかった口調でそう言い放ちました。なにやら背後に「ズバーン」という文字が浮かび、妙なポーズをつけながら妻を指差しています。やけに得意げなので自分では格好良いと思っているのでしょうが、実際には変な人にしか見えません。

妻はジト目で夫を見つめると俯いてため息を一つついて言いました。

「……旦那様」

「ふぁっ! ふぁい! なんでしょうか!」

冷静であろうとする妻の言葉は自然と低くなっていましたが、夫にはそれが怒りに思えたのでしょう。やたらとビビっています。それなら最初から妙な事を言わなければ良いのにと思わなくもありません。

妻は顔を上げて夫と目を合わせ、真剣な口調でこう言いました。

「白い結婚って言いますけど結婚のイメージカラーって元々白じゃありませんか?」

…………………………

……………………

………………

…………

……

違うそこじゃない。

夫は一瞬何を言われたのか分からず、しばらく呆けた表情を浮かべた後、顔を顰めて言います。

「……確かに、一理ある」

だからそこじゃない。

「ですよね! 前々から疑問に思っていたんです!」

「なるほど、つまり君は我々の関係は「白い結婚」などではなく別の表現を使うべきだ、そう言っているのだね」

ちげーよ。

「はい!」

違くなかった。

いやこいつら実は仲良しだろ。相性抜群だよもう結婚しちゃえって一応結婚してたーっ!

「ふむ、ならば白ではなく逆に黒い結婚というのはどうだろうか」

「何やら犯罪疑惑を感じる結婚ですね……」

「では紅白って事で紅い結婚」

「惨劇の血の色ですね。愛人さんが結婚式に乱入して刺されそうですね旦那様」

「おいやめろ洒落にならん。この結婚でアイツ無茶苦茶機嫌悪いんだからな……

では青い結婚!」

「顔面蒼白ですか」

「黄色い結婚!」

「女の子にキャーキャー言われたいんですか? 愛人さんに言っておきますね」

「ヤメテ!? えーと茶色い結婚!」

「なんか汚らしい……」

「緑の結婚!」

「すいません、面白い返しを思いつきませんでした」

「面白さは関係ないよ!? 紫の結婚!」

「髪を紫に染めたおばちゃんと結婚したいと」

「藍色の結婚!」

(あい)はないから駄目ですね」

「誰が上手いこと言えと……ピンクの結婚とかは?」

「R18指定っぽいですね」

「正直ウェディングドレスプレイには若干の興味がある……浅葱色の結婚!」

「浅葱色と浅黄色って音がおんなじで紛らわしいですよね」

「えっ、あさぎいろって複数あんの!?

そろそろネタが尽きてきたな、どどめ色の結婚!」

「どんな色かわかりません」

「実は私もだ!」

ちなみにどどめとは桑の実の事でどどめ色は赤紫〜黒紫色を意味します。ってスマホのAIさんが言ってました。

「カーキ色の結婚!」

「国防色ですね。ちなみに某軍隊じゃない国防戦力のせいで緑色系を想像される方も多いですが本来の意味では土埃色なので茶色系です」

「おいまて、この世界に自◯隊はない。世界観考えて!? えーとそうだ!灰色の結婚!」

「!!それです!! 白でも黒でもない曖昧さ! まさに私達の関係に相応しくありませんか!?」

顔をパァッと明るくして手を叩いて喜ぶ妻。夫は叫び続けて喉が渇いたのかサイドテーブルにあった水差しからカップに水を注ぐとそれを飲んで一息つきました。

「ふう、我ながら良い仕事をしてしまったな……

……しかしなんか無駄に疲れたな……叫び過ぎて喉も痛いし」

「ではもうお休みになってはいかがですか?」

「うむ、そうさせて貰おう」

ニコニコしながらそう言ってベッドを指し示す妻に、夫は一つ頷くとその身をベッドに横たえる。

結婚式から披露宴、そしてここでの謎のやり取りによほど疲れていたのか程なく寝息を立て始める。

その様子を見た妻の口が三日月の形に歪む。

「ふふふっ、油断ですね旦那様。

私の役目は貴族の女として血統の確かな後継者を産む事……」

しゅるり、と服を脱ぎ一糸纏わぬ姿となって夫の横たわるベッドに入る妻。

「大丈夫、愛人さんはちゃーんと呼んでありますからね? 明日の朝にはこちらに来ますし寝室まで通すように使用人には言いつけてありますからどうなるでしょうね?」

クスクス笑いながら眠る夫の服を脱がしていく妻。疲れと宴席で飲んだ酒のせいか全く起きる様子はない。

「裸で抱き合う私達を見て愛人さんはどう思うでしょうねぇ?」


次の日の朝、血を見る惨劇が起きたのは言うまでもない。なおこの事件は「紅い結婚」事件と呼ばれる事になったとか。

なお夫は一命を取り留めた。

あと妻はしっかり後継者を妊娠してた。

ちなみに白い結婚とはフランス語の「mariage blanc」がおそらく元ネタで、ブランは「白」も意味しますがこの場合はどちらかと言えば「ブランク」つまり「空白」の意味あいで「(実質的な夫婦関係のない)空虚な結婚」って事です。


妻「ちなみに水差しにお薬を仕込んでおきました!」

夫「寝ている間になんて……け……けだものぉっ!(涙目)」

妻「(なんかゾクゾクしてきました……これが……愛!)」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ