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TSヤサグレVTuberの産声②

「あー、まず趣味だが、これと言って趣味はない。まあ、しいて言うなら夏休みシーズンで浮かれたガキどもをゲームでボコボコにして煽り散らかすことぐらいだな」


コメント

・ゴミみたいな趣味してるやん

・二十歳がやっていいことじゃねぇ

・どんどん見た目と中身の乖離が激しくなるんだがw


 これは半分本当だ。

 格ゲーとかやってるとな、所謂しゃがみ煽りを連発してくるガキどもがいんだよ。そういう奴を圧倒的プレイヤースキルの差で飛ばすのが趣味だな。

 間違っても煽り返してはいけない。なぜなら、相手側が折角煽りというイキり行為をカマしてくれるのだ。そっから普通に負けるのがクソダサくて笑えんだよな。

 大概あたしも性格悪ぃけど。


「仕方ねぇだろ。こっちは必死に色々やってんのに、夏休み謳歌してるの見るとムカツクじゃん」


コメント

・僻みじゃねぇかwww

・まあ、バイトとかしてたら羨むのは分かる

・仕事してる人間からすれば気持ちは分かる


「まあ、あたしニートだけどな」


コメント

・誰かコイツを一回殴ってくれ

・年中有休が子どもの夏休みを羨むなw

・やってること小者なんよw

・性格悪いロリ……?うっ、あんまり同居しないキャラクターで頭が……!

・メスガキでもないんだよな。単に性格悪い


「酷くないかーーー!?」


 なんたる言われようだ。

 別に社会を舐めてるわけでもねぇし。実際、転生するまではバリバリに社畜してたんだ。

 その反動というか……。なまじ社会経験があるだけに大人して振る舞うのが面倒に感じてしまう。


「まあまあ落ち着け。さっさと次に行こう。好きな食べ物……酒だな」


コメント

・食 べ 物 と は

・カレーは飲み物の逆理論説

・二十歳で呑んだくれかよおい

・クズの性質コンボ状態だけど大丈夫そ?

・てか、その姿で酒買いに行けんのか?w


「ニートによる特殊召喚、ママに買ってきて貰うを発動!! 一定期間の冷たい目と引き換えにキンキンに冷えたビールを手に入れることができるぜ!」


コメント

・急にどうしたw

・コイツ家庭内ヒエラルキー低そう


「家庭内ヒエラルキーが低そうだぁ? 失礼だな、正解だよ」


 むしろ最下層だぞ。当たり前じゃねぇか。

 仕事もしないで酒買ってきて、ってほざく娘の位置するヒエラルキーなんて目に見えてる。

 それでも買ってきてくれる辺り母の愛が感じられるね。そろそろ愛が怒りに変わってるけど。


「ま、事務所に応募しようとしたきっかけも無職脱却だしな。お陰でこれからは母親から冷たい目で見られることも減りそうだ」


コメント

・普通に働くという選択肢は無かったのか……

・就職しろよw

・VTuberは職なのか……?


「あたしだって働ければ働いてるわ。あのな──このナリじゃ面接受かんねぇんだよ!!! 見ろよこの愛くるしいロリフェイスに、絶望的なまでの低身長。まな板も飛んで逃げる断崖絶壁の胸部。はい、どう考えても小学4年生ですね。外聞が悪いので、どこも雇ってくれません、はい終わりでーす」


 思わず拳を強く握って演説するあたし。

 嘘偽りない実体験であるからこそ感情が籠もる。働きたくないってのは本当だが、働けるなら多分働いてる。

 童顔じゃ済まないこの顔が悪い。以上。


コメント

・草

・感情籠もってんなぁw

・わりとマジの実体験っぽくて草なんだが

・自画自賛入ってね?w


「あたしの顔面が整ってるのは本当のことだから。自分に嘘はつかないって決めてんだ。人には平気で嘘つくけど」


コメント

・クズじゃねぇか

・いっそのこと清々しくて推せる

・お前VTuber向いてるよ


 絶対褒められてない気がするけどまあ良い。

 こういうノリは人気を集めやすい。切り抜きにも乗せやすいだろう。

 全てを計算してるわけではないにしろ、ある程度の見せ場は意図的に作っている。ま、8割本音だけどな。全然クズだったわ。


「さてと。今後の目標だったか。──VTuberの天下取る。誰でもあたしを知っている。いつでもあたしを見ている。そんな存在になる」


コメント

・きゅ、急にマジメじゃん

・温度差で風邪ひきそう

・クズのくせして目標が壮大でまともだなw

・まあ、誰でも知ってる。いつでも見てるってのはある意味VTuberの最高到達点だよな


 あたしは結構承認欲求が強い。

 誰かに認めて欲しい。誰からも愛されたい。そんな欲求が心の中で沸々と煮え滾っている。

 普通じゃ無理だ。何気なく過ごしてたって敵は作るし、「コイツとは合わない」なんて感覚的なことで線を引かれるのも珍しくはない。

 二次元でも三次元でも、それは変わらない。


 だからこそ、全員とは言わない。

 けれど、多くの人にとって馴染みのある存在に。

 ──VTuberの天下を取ってみせる。


 それがあたしの野望だ。







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