10. エピローグ
それから両家に挨拶に行って、すぐ婚姻届を出した。親たちは番同士の結婚ということで、とても喜んでくれた。番の結婚は非常に離婚率も低いし、赤ちゃんの出生率も高いから、国からも推奨されている。役場の人も祝福してくれた。
帰り道、いきなり後ろから抱き寄せられた。
「ちょっと、カイどうしたの?」
「だいぶ、ミルカの抱き心地がよくなったなと思って。」
「それって太ったっていいたいの?」
「ごめん、言い方が悪かった。初めて抱きしめた時、本当に骨と皮だけだったから心配していたんだ。やっと健康的になってきて安心したってこと。ああ、やっぱりいい匂い。」
惚気るように言われて、悪い気はしなかった。
それから半年後のあるよく晴れた日、私たちは結婚式を挙げた。真っ白のドレスに、プロポーズの時のもらったトパーズとサファイアのペンダントを着けて。親族、魔導士のみんなも祝福してくれた。
結婚式を挙げて数か月後、吐き気がとまらなくてまた少し体重が落ちてしまった。一向に良くならないので、一応調べてみたら、なんと妊娠をしていた。抑発情剤を飲んで激しく体重が落ちてからは、月のもののタイミングが不順だったから、これにはとても驚いた。すぐに、カイにも報告をした。
「…俺たちの天使、俺たちのところに来てくれてありがとう!」
その存在を確認するように私のお腹に手をあてる。
「まだすごく小さいのよ。手を当てても足で蹴ったりしないわよ。」
「ふふふ。でもここにいるんだなって思って。大好きだ、ミルカ。」
「私もよ、カイ。愛している。」
そう言って深い口づけをした。王宮の夜会で、番なんてばかばかしいって言っていたのは一体どこのどいつなんだと思いつつ、こみ上げてくるこの幸せを、私は全身でかみしめた。
ここまでご精読ありがとうございました!
運命の番をテーマにした作品を一度書いてみたくて、短いものですが形にしてみました。
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