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新たな出会い


 畑では、きゅうりがすくすくと育っていました。支柱に向かって順調に蔓を伸ばし、黄色い花を咲かせています。あと数週間もすれば実がなることでしょう。


「二号君のおかげですね」

「ぽふぃ~」


 草をむしり、葉の虫を捕っていきます。スイも一緒に虫を捕ってくれていますが、物理干渉をすれば消耗するスイボにとっては、例えアブラムシであっても荷が重い作業です。あとでご褒美をたっぷりとあげなければなりません。


 仕上げに、薄めた酢を葉に吹きつけていきます。これで少しは害虫や病気を防いでくれるでしょう。


「さて、少し休憩しましょうか」

「ぽふぃ~」

「二号君も一緒に休憩しましょうね」


 二号君の作業小屋の扉を開きます。


「きゅみ」


 顔を出したのは知らない子でした。思わずパタンと扉を閉じます。


「きゅむ」


 目を擦り、もう一度扉を開けます。


「きゅみ」


 二号君より二回りほど大きい、拳ほどの大きさのスイボが、出入口いっぱいに傘を押しつけながら、ぼんやりと、わたくしを見上げていました。身体の内部には鮮やかな赤のバッテンがあり、その向こうには、二号君が定位置でレバーに口腕を置いているのが透けて見えています。やはり扉を占拠しているこの子は二号君ではありません。


「二号君のお友達ですか?」

「ぽふぃ~?」

「はぴ……?」

「ぽふぃ~」


 スイが顔を横に振ります。


「ならば、迷い込んでしまったのですね」


 標識幻素水晶ビーコンエーテルクリスタルは、固有のパターンで定期的に幻素を放出します。幻空間にいるスイ達には水面上で何かピカピカと光っているように見えるようで、これが顕現する場所の目印になるのです。しかし、興味を持ったスイボも集まってしまうのでしょう。


 ……。


 扉を閉じます。


「きゅむ」


 扉を開けます。


「きゅみ」


 扉を閉じます。


「きゅむ」


 扉を開けます。


「きゅみ」


 ……閃きました。



「スイちゃん、この子もスカウトできますか?」

「ぽふぃ~♪」


 スイが口腕をその子の頭に乗せます。


「きゅむ」


 二匹は輝き、四号君(仮)の額にスイの文様が輝き、体内に浸透するように消えていきました。テイム完了です。


「お初にお目にかかります。スイをテイムしているスタッカです。以後お見知りおきを」

「……きゅみ?」


 やはり人語は分からないようです。


「ステータスオープン」


 四号君のクラスは「開閉センサー」でした。思った通りです。この子は、扉の開閉を検知することができるのです。


「スキル〝C#〟開いたらお手」



``` csharp


var builder = WebApplication.CreateBuilder(args);

builder.Services.AddSwibo();

builder.Services.AddSkillDiscoveryMetadataGenerator();

var app = builder.Build();


app

.ExposeSkillDiscoveryMetadata("csharp.開いたらお手")

.WithSwiboEventHook("/");


app.MapPost("/", async ([FromBody]SwiboEventNotification notification, ISwiboContext context, CancellationToken cancellationToken) =>

{


if(notification.EventType == SwiboEvent.ChangeReport && notification.TryParseContextData<SwiboContactSensorEventData>(out var data) && data.OpenState == SwiboOpenState.Opened)

{

var swibo = context.Swibos.OfType<SwiboBot>().First();

await swibo.PressAsync(cancellationToken);

}


return Results.Ok();

});



app.Run();


```



 なんだかいつものと少し雰囲気が違いますね。文字が増えています。


「ひとまず試してみましょう!」

「ぽふぃ!」


 わたくしが扉を開きます。


「きゅみ」


 四号君が反応します。


「はぁぴ!」


 続いて反応した二号君が、レバーを押さえます。それにより、樽から制御用の水が排出され、畑に散水が始まりました。


「うまくいきました。これを応用すれば、お母様の期待に応えられそうですね」

「ぽふぃ~♪」


 わたくしたちは、作業を終え、四号君を部屋に連れて帰ることにしました。

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