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【完結】婚約者の王子より、冴えないチェリストに恋した公爵令嬢  作者: 大井町 鶴(おおいまち つる)
◆第8章 青天の霹靂 

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97/205

3日間の休み

あの衝撃的な現場を見た日、ルイーズはレウルスに送られて屋敷に戻っていた。


「お嬢様、音楽院を休んでいて大丈夫ですか?」

「体調を崩しているのだから仕方ないわ」

「そうですか......」


ジーナはルイーズのことを気にしていた。


ジーナには、最近の怪しいアードルフの動きについて調査するとは伝えていた。だが、昨晩の事件の詳細は具体的に話していない。


デニスもなにも話していないようだった。彼は意外にも真面目で、主が傷つくことを勝手に話すのは違うと考えているらしい。


「3日も休むようなことが起きたのですか?」

「今は話したくないの」

「そうですか.......」


ルイーズは滅多なことでは休まない。身体も丈夫でほとんど風邪などひかないからだ。


だけど、今のルイーズは心が折れていた。


「デニスを呼んでくれない?」

「デニスをですか?かしこまりました」


しばらくすると、デニスが部屋にやって来た。


「あー、おはようございます」


デニスはあの晩、酒場に戻るとどう話をつけたのか知らないが、情報を得られるように手配するとすぐに屋敷に引き上げてルイーズの帰りを待っていた。


彼は、泣いた姿のルイーズを誰にも知られることなく迎えたかったらしい。ルイーズがレウルスに送られて戻って来ると、デニスはルイーズを抱えて部屋まで運んだ。


「あの晩はありがとうね」

「いやあ、大したことじゃありません」

「あなたの気遣いには感謝しているわ」


デニスは、ルイーズが眠たそうだからとベッドにサッサと寝かせ、ジーナには、“疲れてらっしゃるからこのまま寝かせてあげて欲しい”と伝えていた。だから、ジーナはルイーズの泣き顔を見ていない。


ありがたいことだった。ジーナは、ヘンリー王子がルイーズの目の前でキスされたことを知っている。二度も同じような目に合ったとは知られたくなかった。


(もしも、ジーナが知ったらメッツォにいる父や兄に報告してしまうかもしれない)


ジーナは、毎月、ルイーズの動向を報告するように言われて報告書を書いている。恋人との付き合いに問題があれば、報告されてしまう可能性がある。


(ジーナのことを信じていないわけではないけれど.......。彼女の雇用主は父だもの。正直に伝えてしまうかもしれないわ)


ルイーズ的には大ごとにしたくなかった。それに、まだ、アードルフがどう考えているのか分からない。


「……あの後の報告なんですが」


デニスが気を使いながら話す。ルイーズは大きく息を吸った。


「あ、身構えられなくても大丈夫かと。あの後は、アードルフ様も速やかに帰宅されました。エレオーラは、あれから仕事に戻り仕事を終えて帰宅しました。ちなみに、子どもは隣家に預けているようで、礼として金をいくばくか渡していましたよ」


あのエレオーラという女性は話の通り、暮らしに困っているらしい。


(アードルフもそんな状況を見過ごせずに助けているのね)


ルイーズは、フルンゼ楽団にいた時に飲み物の配膳をしたことがある。あれは労働とは言えないが、あれだけでもルイーズにとっては大変だった。


だが、エレオーラは子どもを養いながら料理や飲み物を運んでいる。


(苦しくて助けてくれる人がいたら、抱きついてキスしてしまうこともあるかもしれない………)


この2日の間に考えたのはそんな考えだった。


「アードルフはどんな様子だった?」

「あの後、すぐに待たせていた馬車に乗りこまれました。複雑そうな表情をされていたと思います」

「そう………」


複雑そうな顔をしていたと聞いて、彼がどう考えていこうとしているのか気になった。


「お嬢様は音楽院を休まれていますが……」

「ええ。気持ちに整理がつかないまま顔を合わせるのは得策ではないと思ったの。でも、ジーナが心配しているし、授業もどんどん進んでしまうし、明日からは行くわ」

「お嬢様、復帰されるのは喜ばしいですが、無理しちゃいけませんぜ」


急に、それまでの言葉遣いとは異なる言い方をしたデニスは、ニッと笑っていた。


「そこ、笑うところかしら?」

「お嬢様は頑張りすぎるんです。なんでもないような姿を見せようとすると、オレもなんだか悲しくなります。オレが店の方に戻った後、レウルス様がお嬢様の側にいてくださってどんなに安心できたか」

「心配かけたわね。…………頑張りすぎる、か」


全力で取り組むことは幼い頃から指導されてきたことでもある。特に妃教育ではそれを徹底された。


「私が休んでいる間の音楽院の様子は把握している?」

「レウルス様と連絡をとっているんで、おおよそは」

「レウルスと連絡を?」

「はい。レウルス様も相当心配されていましたから。明日から登校するとなれば、レウルス様も安心するでしょう」


レウルスにお礼をせねばと思っていた。今回のことでレウルスには自分の弱さを思わず見せることになった。


自分の弱みを見せることはあまりしないが、レウルスにならば見られるのはイヤではなかった。彼のことは人として信頼している。


早く、平穏な日々に戻ればいいのにと思ったルイーズだった。

デニスは兄貴肌


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