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【完結】婚約者の王子より、冴えないチェリストに恋した公爵令嬢  作者: 大井町 鶴(おおいまち つる)
◆第8章 青天の霹靂 

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2度目の目撃

エレオーラがアードルフに抱きついていた。


(抱きついてる……)


店内ではアードルフを無視していたくせに、お金を渡された瞬間に抱きつくなんてと、感じてしまう。


「あれは………友情のハグ?それともあれは………」


口に出すつもりは無かったのに、勝手に口から言葉が出ていた。レウルスたちがこちらを見る。


「いやあ、彼女は金を稼がなくちゃいけないですから。ああやって金を渡されたらつい気持ちが乗っちゃったんじゃないですかねえ」


デニスが言う。


「そうであるかもしれないな」


レウルスも同調する。


(うそよ.......彼女の顔はもっと苦しそうだもの)


「ああやって彼女がアードルフに抱きついているのは初めて?」

「そうですね。最初はかたくなに金を受け取ろうともしないぐらいでしたし。徐々に金を受け取るようになってからは礼を述べているようでしたが」

「積み重なったお礼の気持ちが目の前のアレだということ?」

「きっとそうでしょう。彼女は生活がかかっていますから、あれくらいのことは大目に見てあげていいんじゃないですか?ねえ?」


デニスがレウルスに同意を求めるように見る。


「そう思いたいな。だが、どうだろうな」

「ちょっと、お嬢様が不安になるようなことをおっしゃらないで下さいよ」


デニスが慌てた時、またそれは起きた。


なんと、エレオーラはアードルフにキスをしていた。彼女の頭がこちら側にあるからよく見えないが、口にキスしているように見える。


「………ウソ」

「…………!」「なんてこった………!」


ルイーズたちは驚きの光景に固まった。


「お、お嬢様!落ち着いて下さい!」

「………私は冷静よ」


驚きはしたが、怒るとかそんな気持ちではないものが湧いてきていた。


「だって、お嬢様が………」


ルイーズはなんと言っていいのか分からないのと、アードルフたちの姿を見たくないのとで背を向けた。


「おい、デニス。あんたは現場に戻って彼女の様子を探ってくれ。あんたならもっと情報を詳しく調べられるだろ?」


店内でアードルフの様子を観察している時に、デニスは情報集めに長けていると説明している。


「分かりました!では、のちほど」


デニスはフードを目深に被ると、店の方へと戻って行った。


「ルイーズ、あちらに行こう」


ルイーズはレウルスに肩を支えてもらうようにして広場の方へと歩いた。


「夜の外はまだ冷える。あのカフェに入ろう」


ルイーズはコクンとうなずいた。そのまま肩を支えられるようにして歩く。


店に入ると、アンティーク調の内装で落ち着いた雰囲気だった。


「ルイーズ、これ」


ハンカチを渡された。


「ハンカチ………?」


ルイーズがハンカチを受け取らずにボンヤリとしているのを見かねて、レウルスは向かいの席からルイーズの横に移動した。ハンカチをルイーズの目元に当てる。


「泣いてるから」

「ああ私、泣いていたのね......」


頬を触ると、涙で濡れていた。


「ショックだったか?」

「…………ショックではあったわ」

「アードルフを好きだったんだな」

「付き合っているのだからそうね…………」

「………」


なぜ、レウルスとこんな話をしているのだろうと思うと、涙が自然と引いていく。


「………少しは落ち着いたか?」

「大丈夫。意外と冷静よ」


レウルスに渡されたハンカチを握りしめた。このハンカチが涙で重みを持つほど泣きたくない。


「…………私ね、私の相手がキスされたのを見るのは2度目よ。知っていると思うけれど、殿下の婚約者だった時にリリアン様が同じことをしたわ」

「そうだな……」

「どうして続けてこんなことが起きるのかしら」

「ルイーズ........」

「私がいけないのかしら?私って、本当には大事にされない女なの?」


自分で言っていて、とても悲しくなる。


「泣き止んだんじゃないのか?目を擦るな」


レウルスは号泣しだしたルイーズに慌てた。


ルイーズが固く握りしめるハンカチをどうにか取り出すと、再び目元に当てる。


「泣くな………ルイーズが泣く必要なんてない。あいつが悪いんだ」


自分は悪くない、と言われるともっと涙が流れた。


迷惑かもしれないとは思ったけれど、レウルスの胸の中で思い切り泣いてしまった。


「レウルス、ごめん。……今日だけはごめん」

「謝るなよ。こんな時こそオレに甘えてくれ」


レウルスに抱きしめられて、ルイーズはただただ涙を流したのだった。


………長いような短いような時間が経った。


「ルイーズ、少しは落ち着いたか?ちょっとだけ席を外す。馬車を呼んで来るから少し待っていてくれ」


レウルスに言われるままうなずいた。


彼は馬車を呼びに行く前にハンカチを濡らして持ってきてくれた。


「目元に当てているといい」

「ありがどう……」


泣きすぎて鼻声だ。幸い、カフェには自分たちしかいない。店員も泣いている姿を見てはいけないと思ったのか近寄って来なかった。


自分はなにをしているのだろう、とルイーズは思ったのだった。

不運なルイーズ


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