楽しい現場調査?
レウルスもチェロを持ってきていたから、そのまま馬車に乗ってもらうことにした。
「楽器は大切だから一先ず屋敷に寄って置いてから行くわ」
「そうだな」
ルイーズは、効率良く動くために音楽院から帰る時間を計算して、ジーナたちを門の所で待たせている。
「ずいぶんと手際が良いな」
「なにごとも用意が大切だわ」
「それは一理ある。で、これからどこに行くんだ?」
真っすぐレウルスに見つめられてルイーズは仕方なく、デニスにアードルフの動向を調べさせていたことを打ち明けた。分かった内容についても話す。
「………私がこんなことを指示していたなんて、引くわよね?」
シュンとして言うルイーズを見て、デニスが慌てた。
「これは元々はオレが、アードルフ様を見かけてお嬢様に報告したことから始まったことなんです!お嬢様は悪くはありません!」
「あんたが言うとそうなのだろうという気がするよ。………で、オレは別に引くことはない。恋人の動向が気になるのは自然なことだ。あいつが恋人というのが気に入らんが」
「そうなんですか?」
デニスが普通に会話に加わって来る。彼も流れで馬車の中にいた。
「それよりも、このままあの店に行ったら、アードルフに気付かれるだろうな」
「そう、だから変装用の衣装をジーナに用意させているわ。あなたのは後で」
計画通り屋敷前に来ると、ジーナに楽器を預けて衣装を受け取った。
「あら、レウルス様も......?」
「ええ、彼も加わることになったわ」
「デニス、お嬢様を宜しくね。レウルス様も宜しくお願い致します」
ジーナは頭を下げた後、こぶしをグッと上に突き出した。
「エイエイオー!」
ジーナはなぜだか気合いが入っている。
「さあ、行きましょう」
馬車が動き出す。
「ジーナさんは案外、面白い人なのだな。オレの兄貴の前ではかなりお淑やかにしていたが」
「彼女は、レイニーさんのファンよ。もしも、彼が恋人を探していたらジーナを推薦するわ。彼女、レイニーさんのファンだし」
「ちょっと待ったぁ!」
いきなりデニスが声を上げた。
「なに?びっくりしたわ」
「ジーナさんを紹介する話はダメですよ。オレが密かに狙っているんですから!」
「そうだったの??」
「彼女、とてもオレの好みなんです!しっかりしていて美人で!まさにメッツォ美人じゃないですか!」
「そういうことなら、応援しているわね」
「お嬢様に応援して頂けるなら心強いってもんです!」
馬車の中はデニスがいたせいで、やたらと明るい雰囲気である。
「着きましたね!じゃあ、オレはレウルス様の変装を手伝ってきますので」
デニスとレウルスが馬車から降りると、ルイーズは馬車のカーテンを閉めて着替えた。カツラもつけて眼鏡をかければ、もう誰だか簡単には分からないはずだ。
ちなみに、洋服はフルンゼ楽団に通っていた時の洋服である。トリアに持ってくる必要はないと思ったが、念のため持ってきたのが功を奏した。
「これを着るのも久しぶりだわ」
フルンゼ時代の洋服に袖を通すと、当時の思い出が蘇る。それほど前ではないのに妙に懐かしい。
(レウルスとこんな探偵ごっこのようなことをすることになるなんてね........)
馬車を降りると、見慣れない髪色の男性がいた。カツラを被って変装したレウルスだった。
「オレンジブラウンの髪の毛だと違う人みたいだわ。あなたの髪色はダークブラウンだから、まるで印象が違って見える」
「ルイーズもブロンドの髪の毛だと誰だか分からないな」
お互いを見て感想を言い合う。
「すぐそこの露店にカツラを売っていたんで助かりましたよ!」
デニスがニコニコして言う。デニスも変装していて元の髪の毛の色とは違うカツラを被っていた。
「これで気付かれずに潜入できるわね」
「そうだな」
以前、レウルスとイザベラ伯爵夫人をデニスと一緒に尾行しただなんて、口が裂けても言えないと思った。後でデニスに厳しく口止めしなくてはとチラリと彼を見たら、バッチリ目が合う。
彼は、気持ちを読んだのか神妙な顔でうなずいた。
「......とりあえず、私たちは友人同士という設定で潜入しましょう」
「了解です!」「ああ」
急遽、組まれた偵察隊で店に踏み込んだのだった。
デニス、もっと活躍させたいな
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