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【完結】婚約者の王子より、冴えないチェリストに恋した公爵令嬢  作者: 大井町 鶴(おおいまち つる)
◆第8章 青天の霹靂 

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知らなかった事情

数日、モヤモヤしながら過ごした。


デニスに調査をさせているのは極秘だったから、アードルフたちに知られないようにすることにも気を使った。


………アードルフはお昼に食堂で会う時、いつものように優しく接してくれる。だけど、やっぱり本当の恋人になる前みたいに控えめだ。


ルイーズとしてはちょうどいいくらいではあったが、彼があの元婚約者だと思われる女性店員のことを気にしているからだと思うと、複雑であった。


「ルイーズ、どうかした?」


ルイーズがアードルフを気にしていたからだろう。そんな言葉を言われた。


「……いえ、あなたが少し控えめになったと思って」

「そうかな?もっと触った方がいい?」

「..........そういうことではないわ!」


思わず、近づいてきた手をパシッと払いのけた。


(もっと触った方がいい?なんて聞くなんて、失礼だわ!)


こちらは、アードルフのことで心配しているというのに、触れられたいのか?と言われたようでプライドにさわった。


「手厳しいなあ」


アードルフが手をさすっている。


「......あ、ごめんなさい。その.......つい反射で」

「いいよ、気にしないで」


にこやかに微笑んでくれたものの、それきりだった。


..........ランチの時間は一見、和やかに過ぎた。今日の放課後の練習はアードルフも参加するという。


(今日もレウルスはいなかったわね)


レウルスは金賞を受賞してからあちこちから呼ばれていて授業に出席しないことが多い。音楽院ではそんな彼を特別待遇しているので、進級には問題ないらしい。


(特別賞の私はいつもと変わらない日常なのに。金賞と特別賞の違いは明らかね)


練習が終わって帰ることになったのだが、アードルフは残って練習を続けると言う。彼は、いつもなら、屋敷まで送り届けてくれるのが習慣となっていた。


「無理しないでね」

「ああ。ありがとう」


気遣う言葉を言うと、馬車に乗り込んだ。


(本当に練習を続けるのかしら?あのお店に向かうのではなく?)


いつも送ってくれた彼が、送らないだけで思わず疑ってしまう。


..........その晩、デニスに進捗を聞こうと自分の部屋に呼んだ。


「その後はどう?」

「はい………。事情はいろいろと分かって来たのですが、報告に躊躇してしまいまして.....申し訳ございません」


こちらも呼ばなかったらいけないが、躊躇して報告しなかったと言われたら身構えてしまう。


「分かったことを報告して」


デニスにソファに座るように言うと、ルイーズも対面側に座った。


「あの女性店員の名前はエレオーラという名前で、やはりアードルフ様の元婚約者でした。彼女は当時、実家で執事をしていた息子のロッホスという若者と駆け落ちしたのです」


やはり、推測通り元婚約者であった。


「駆け落ち相手は今どこに?」

「ロッホスという者は平民でしたので、安定した収入を得るために相当、無理したようです。駆け落ち先で働きづくめだったそうでして……。過労で亡くなった、と」


事情を知ってルイーズは口に手を当てた。


「そんな.......。それで彼女は王都に戻って来たのね?王都に戻って来るからには、実家を頼ったのではないの?」

「そうらしいですが、実家は王のお気に入りであるアードルフ様を傷つけたことを気にしていて、彼女を助けなかったそうです」

「子どもを抱えているのに?そんなバカな」


ルイーズは思わず怒った。娘の彼女を勘当したとしも、生まれてきた子どもにはなんの罪もないではないか。


「彼女はどこの家門?」

「ライムント伯爵家という、トリアでは武で活躍するお堅い家門です」

「お堅い?プライドと娘と孫の境遇のどちらが大切だと思っているのかしら?」


これがメッツォ国で起きたことならば、ルイーズが裏から助けてやるところだが、異国であるトリア国の貴族の問題に勝手に立ち入るわけにはいかない。


「ちなみに、駆け落ちしたのはどのくらい前なの?」

「4年前らしいです」

「4年前……」


4年前ということならば、アードルフの元婚約者は、駆け落ちの夢から覚めてすぐに逃げ帰って来たというわけでもないだろう。夫が亡くなって困って仕方なく王都に戻って来たのだ。


(アードルフはそんな彼女を心配しているのね.....。気持ちは分かるわ)


だが、彼は単独で彼女の働く店に通い、彼女を見守っている。それはそれで問題だ。だって、自分とアードルフは曲がりなりにも恋人なのだ。せめて説明してほしかった。


(お金を渡すにしても、彼が直接渡さなくても済むことだわ)


そこで、ふと思った。彼女は夫の実家をどうして頼らないのかと。


「ねえ、そのロッホスという男性の父は、まだライムント伯爵家で執事を続けているの?」

「いいえ。4年前に辞めております」

「今はどこに?」

「事態を重く見て………自害されたそうです」

「なんてこと………」


ルイーズは絶句した。


「では、その執事の妻は?」

「執事の妻は病気で亡くなっており、ほかに子どもはおりません」

「つまり、彼女は頼れる場所がまったくないのね………」

「お嬢様.......」


デニスが心配気にこちらを見ていた。


「エレオーラ嬢の境遇は現在、厳しいと言えます。ですが、だからと言って彼女の元に通うアードルフ様を甘く見る必要はないと思います。..........すみません、オレの個人的な意見です」


デニスはルイーズを心配していた。

エレオーラは毎日の生活に疲弊しています


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※更新は毎日19時20分頃更新しています。

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