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【完結】婚約者の王子より、冴えないチェリストに恋した公爵令嬢  作者: 大井町 鶴(おおいまち つる)
◆第8章 青天の霹靂 

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アードルフの小さな変化

ディーターの兄が働く店に行ってから数日後、いつもの忙しい日々に追われていた。


「新しいテキストを買わないといけないのに、今日は荷物がたくさんだから大変だわ」

「オレが馬車まで運ぶよ」


レウルスはルイーズと同じクラスになったのもあって、困る様子を見るとすぐに助けてくれる。


アードルフとはお昼時間に会うが、基本的に学年が違うこともあって細やかにケアできるわけではないからつい、レウルスに言われるがまま甘えてしまっている。


「レウルス、あなたもテキストを買わねばならないでしょう?」


チェロはサイズが大きい。チェロを持って買いに行くのは大変ではと、気になる。


「オレは寮だからチェロは寮に置いて来れば、どうとでもなるさ」

「そっか……ありがとう」


(レウルスってこんなに気が使える人だったのね……)


思えば彼は、ルイーズがフルンゼ楽団に入団して楽団員へ飲み物を配らねばならない時に、真っ先に助けてくれた。


(あの時はまだなんの感情も知られていなかったし、レウルスも私をただの新人だと思っていたのよね......)


思い出すと懐かしい。


「ん?どうした?ニヤニヤして」

「ニヤニヤなんてしていないわ!......ただちょっと、フルンゼ楽団にいた時のことを思い出していただけ」

「……フルンゼの皆は元気だろうか?」

「レウルスは手紙を書いていないの?私は時々、レイニーさんやシャーロット、ミアに手紙を書いているわよ」

「そうなのか。オレは必要な時だけだな。コンクールの結果は兄貴に知らせたが」

「あら、冷たい」

「……それどころじゃなかったんだ。どうしてもなし遂げなくてはならなかったものがあったからな」


レウルスがこちらを見ながら言う。


「......音楽家として成功するには評価は必要だものね」

「そうではあるが、オレのためだけじゃないと伝えたはずだぞ」


瞳を真っ直ぐに見つめながら言う彼は、すっかり誰が見ても美男子だった。


「………あ、ええと、はい」


しどろもどろになった。


「そういう態度を見せてくれるなら、オレにも脈はあるな?」


耳元で言われた。


「は……離れて。まわりから勘繰られるわ。ただでさえ、私は殿下との婚約中に関わらず別の男性と恋人になったと好奇の目で見られているの」

「それは殿下が先に浮気していたから仕方ないだろう?」

「浮気.......」


そんなヘンリーとは時々、手紙のやりとりをするようになっている。


現在は、婚約中の業務報告のような手紙のやりとりではなく、近況や心境なども簡単ながらつづられるようになっている。今さらながら彼との関係は改善してきていた。


1回だけ、リリアンとのキスのことに触れられていたことがある。ルイーズと婚約中にあった彼女とのスキンシップは、あれだけだったと書かれていた。本当かは分からないが、彼なりに申し訳なく思ってくれていたのだろう。


(殿下もだんだんと素直に思っていることを伝えてくれるようになったわ)


婚約者時代はこちらに見栄を張りたかったのか、あまり自分のことを話してくれなかった人だ。なのに、婚約関係ではなくなってから彼は素直に心を見せてくれる。不思議なものだと思う。


「……ええと、では放課後にテキストを買いに行くから、付き合ってもらってもいいかしら?」

「ああ」


あまりレウルスと一緒にいるのは良くないと思いつつ、やっと和やかに話せるになったこの時間を少しでも長引かせたかった。


………昼休み、食堂にディーターやレウルスと向かうと、食堂で待ち合わせをしているアードルフたちの姿が見えた。


こちらが来ても気付かないのか、アードルフはコンラートとなにやらシリアスな顔をして話している。


「皆、どうしたの?」


アードルフたちが不意を突かれたような顔した。


「ああ、来たんだな。……悪い悪い。ついコンラートと話し込んでたよ」


アードルフの反応に違和感を抱きつつ荷物を置くと、皆で料理を取りに向かう。


ちなみに、ディーターの兄が勤める店に行ってから、自動的にお昼はルイーズ、アードルフ、フローレンス、コンラート、レウルス、ディーターの6人で一緒にランチをとるスタイルになっていた。


「アードルフの料理もいいわね」


いつもAランチを頼む彼が、今日は珍しくBランチを頼んでいる。


「.......あ、うっかりBランチの札を取ってしまった」


ランチを頼む際には、最初に好みのランチの札をとって調理人に渡す仕組みになっている。本日はボンヤリしていてBの札を取ってしまったらしい。


「たまにはいいのでは? ところで、放課後は新しいテキストを買って行くから少し練習に遅れるわ」

「あ、放課後の練習なんだけど......今日はナシでもいいかな?」

「どうして?練習を無しにするなんて珍しいわ」


アードルフは腕の負傷で入賞を逃したのが悔しいと、いつも以上に練習に力を入れていたのだ。ルイーズたちも一緒になって彼と練習をしていた。


「なにか急ぎの用事?」

「うん。ちょっと......」


アードルフが返事を濁す。


「.......分かったわ」


彼もなんでもかんでも自分に話したいわけではないのだろうと思ったルイーズは、理由を尋ねることはしなかった。

違和感を抱きつつ.......


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