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【完結】婚約者の王子より、冴えないチェリストに恋した公爵令嬢  作者: 大井町 鶴(おおいまち つる)
◆第6章 交錯

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アードルフの観察眼

馬車の中でアードルフは考えていた。


いつもは共通の演奏曲が無ければ、自分一人で練習することが多いレウルスが積極的にセッションに加わってきたのが引っかかっていた。


(あいつ、ルイーズのことを気にしているよな.....)


今まで、レウルスをそれほど気に止めてはいなかった。演奏の腕はなかなかだが、自分よりも格下の貴族で、スマートとは言えない体型だからだ。


過信するわけじゃないが、自分は金髪に端正な顔でスラリとしたスタイルも持つ。物腰も柔らかいし、貴公子などと言われているから、そこらより上だと思っている。


なのに、レウルスはルイーズと恋人のフリをするようになってから、徐々に引っかかるような態度をするようになったのだ。


(あいつ、妬いているのか?)


ルイーズは、レウルスを慕っていて兄のように思っているらしい。レウルスはそんな彼女を誰かに取られるのがイヤなのだろう。


(あいつは身の程知らずだな。それよりも、ルイーズが問題だ。尊敬の心はいつ愛に変わるか分からないのだから)


ルイーズの方を見ると、彼女は街の様子を眺めていた。


(せっかく彼女が手に入りそうなのに、邪魔になるものは退けないと)


かつて、自分が油断したせいで元婚約者は使用人の男と駆け落ちしてしまった。念には念を入れた方がいい。


最初は、メッツォからヘンリー王子の訳アリ婚約者が留学してくるから世話をしてやるようにと、トリア王に言われて偶然を装って話しかけた。


自分自身、構えた関係は好きではなかったから初めは正体も明かさなかったし、ルイーズのことも知らないように振る舞っていた。


だが、だんだんと一緒に過ごすようになると、自分のことをもっと知ってもらいたいと思うようになっていた。


(ルイーズは気高く、美しく、音楽にも真面目だ。僕にピッタリじゃないか)


そう気づいた瞬間、ルイーズを自分のものにしたくなった。


だから、ヘンリーがやって来たのは大きな転機となった。ルイーズの相談を受けて、恋人のフリをすることになったことで、自分が望むこともハッキリと分かったのだ。


(傷ついたルイーズの心は僕が慰める)


痛みを知るからこそ、彼女をケアできるのは自分しかいないという気持ちになっている。


ルイーズを守れるのは自分だとレウルスには伝えたことはある。それでも、まだ足りないと思えてきた。


(どうするべきか……)


ルイーズは、どうやらレウルスの後援者であるイザベラ夫人に気に入られていない様子だ。そこをうまく利用したら良いのではないか。


(イザベラ夫人は計算高い女性だ。レウルスのチェロだけでなく、レウルスの兄がやっている楽団とのつながりを考えて後援者になったのだろう)


レイニーは、トリアでもいつ人気に火がつくかもしれない有望なフルンゼ楽団を起ち上げた男である。だから、そういう意味でもレウルスを囲い込んでおくのは得策だ。イザベラ夫人がトラだとしたら、ルイーズは猫みたいなものだろう。


しかも、イザベラ夫人はチヤホヤされるのが好きな女性だった。彼女は、かつて社交界で華やかな恋の話題を振りまいた人物でもある。だから、いつまでも大人しくしているわけはない。


そんな彼女がレウルスを男として見ているとルイーズに伝えたら、どうなるだろうと考えた。


レウルスは全体的な印象としては冴えない男だが、顔は悪くはない。夫人は、レウルスよりも兄のレイニーの方が好みかもしれないが。


(とりあえず、ルイーズは気にするだろうな)


「........アードルフ?ねえ、聞いてる?今日はどこに行くの?疲れている?」


ルイーズがなにかを言っていた。何度か話しかけられていたらしい。


「ごめん。ちょっと考えごとしていたよ」

「何度話しかけても、うわの空だったわ。深刻なことなの?」

「ある意味、深刻。でも、大丈夫。ルイーズがいたら解決しそうだ」


ルイーズの手をアードルフが握る。


「ルイーズ、好きだよ」


言うと、ルイーズが照れたように笑った。


「急にそんなことばかり言われると戸惑うわ」

「照れた表情がいいね。なんか曲をつくれそう」

「あ、それは素敵。アードルフの作曲したものを聴いてみたいわ」


思わぬ方に話がいった。


「それも楽しそうだな。よし、今度、ルイーズのために曲をつくっちゃおうかな」

「楽しみにしているわ」


嬉しそうに微笑むルイーズをアードルフは引き寄せた。


「いい曲ができるように、キスしてくれない?」

「そういうのはズルイわ」


アードルフが近づくと、ルイーズが人差し指で阻止しようとしてきた。


「えー、ダメなの?」

「私、まだ恋人になると答えてないでしょう?」

「厳しいな」


ちぇ、とアードルフが不貞腐れた。


(とりあえずはこの調子でいい………)


ゆっくりとルイーズの気持ちを手に入れていけばいいと、アードルフは考えていた。


(レウルスは時々、牽制してやればいい。どうせ、僕には勝てないんだ)


アードルフは、ドロドロした考えを悟られないように笑顔を貼り付けたのだった。

アードルフ、案外ブラックな心の持ち主です


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