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【完結】婚約者の王子より、冴えないチェリストに恋した公爵令嬢  作者: 大井町 鶴(おおいまち つる)
◆第5章 変化の時

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初めて意識した気持ち

「レウルス!待って!」


ルイーズは音楽院の廊下を駆けた。レウルスはチェロを背負ったままズンズンと歩いて行く。だけど、彼は旅行カバンもあるからすぐに追いついた。


「レウルス!待ってと言ったでしょう!」

「……久しぶりだな」


レウルスはいつものしかめっ面のままだった。


「どうして、食堂に入らなかったの?」

「………アードルフと雰囲気が良さそうに見えたから邪魔になると」

「そのことで話したいことがあったの」

「……戻ったばかりだから、改めて聞くことにする。荷物も多いし、列車も遅れていた。だから、とても疲れているんだ。一刻も早く休みたい」


レウルスが疲れたように言う。


「あ........そうよね」


ルイーズが言うと、レウルスはこれ以上話すことはないとばかりに、寮の方へと足早に立ち去った。


疲れていると言われれば、それ以上引き止めることはできないと思って見送ったが、彼は変な勘違いをしているに違いない。


(また、明日にでもきちんと説明しましょう)


ルイーズが食堂に戻ると、アードルフが新しい紅茶を用意してくれた。


「ありがとう。さすが、気が利くわね」

「これくらい当たり前だよ。それで、説明できた?」

「いえ、疲れているから改めて聞くって」

「ふうん。あいつ今、どういう心境なんだろうね?」

「え?さあ........」


アードルフは、言いながら演奏旅行に出発するレウルスから言われたことを思い浮かべていた。


(ルイーズはヘンリー王子の婚約者だから手を出すな、みたいなことを言っていたな。予期せず恋人のフリをすることになったから、仲良くしている姿を見て混乱しているんだろ)


レウルスとは良い関係を築いてはいるが、ルイーズとの関係をとやかく言われるとなんだか面白く無い。


(僕も王族の端くれだぞ。レウルスに心配される身分じゃないね)


「ルイーズ、いっそのこと僕たち本当の恋人になっちゃおうか?そうしたらもっとシンプルでいい」

「アードルフ、そういうことを軽々しく言うのはダメ。フローレンスが怒るわ」

「フローレンスは関係ないだろ」

「フローレンスはあなたのことをとても心配しているのよ?......それよりこのケーキが美味しいわよ?はい、あ~ん」


アードルフは差し出されたケーキをパクリと食べた。この“あ~ん”もアードルフが教えたことだ。


「けむに巻かれた気分だ」

「ケーキ、美味しいでしょ?」

「ルイーズのフォークだから美味しいんだよ」

「え!?」


ルイーズは意識せず、自分のフォークで”あ~ん”をしていたのだった。


「今さら焦っても遅いぞ」


アードルフが楽しそうに言う。彼はいつも明るくて面倒見も良いし優しい。


(アードルフの元婚約者が駆け落ちしていたなんて.......)


彼が心に傷を負っていたと思うと、せめて自分と付き合っているフリをしている間は、幸せな時間になるようにしたいとルイーズは思う。


(これって博愛主義かしら......?でも、側にいてくれる人って大切だもの)


ルイーズはアードルフを見て、優しく微笑んだのだった。


…………一方、寮の自分の部屋へと戻って来たレウルスは、信じられないようなものを見た気がして動揺していた。


演奏旅行を終えて音楽院に帰って来たら、ルイーズがすぐに自分の元にやって来て土産話をしてくれとか言うのではないかと思っていた。


だから、食堂でアードルフとルイーズが仲良さそうに手を握り合う姿を見て、衝撃を受けた。


(なぜ2人が接近しているんだ……)


食堂には、演奏旅行から戻ってカラカラだった喉を潤そうと寄った。そうしたら彼らがいた。


ルイーズは自分と目が合うと、慌てて自分の方へとやって来ようとしたから、思わず逃げた。部屋へと急いだが、荷物のせいですぐに追いつかれた。


『私とアードルフ、恋人になったのよ』


そんなことを言われそうで、“疲れているから”と無理やり部屋に戻った。


(演奏会から帰ったらルイーズにいろいろと話を聞かせてやろうと思っていたのに......)


レウルスは、勝手に裏切られた気持ちになっていた。


(オレはなにを動揺している......?ルイーズはオレのファンで妹みたいなものだぞ?しかも、彼女は公爵令嬢でヘンリー王子の婚約者だ)


「..........そう、ルイーズはヘンリー王子の婚約者だ。なのになぜ、アードルフと仲良くしている?」


(なにかが起きたのか.......!?)


手紙のやりとりをしていたわけでもないから、こちらで起きていたことは分からない。落ち着いてくると冷静に考え始めた。


荷物を広げて整理をする。もっと冷静になりたかった。


(2人が仲良くしているのには理由があるのかもしれない)


明日になれば詳しく話は聞けるだろうと思った。


それよりも、レウルスは自分がだいぶ動揺していることに驚いていた。


(なぜ、こんなにも揺さぶられるんだ。.........ルイーズだからか?)


これが同じように慕ってくれていたミアだったとしたら、ここまで動揺しただろうかと思った。


(ルイーズは、身分を隠してまでフルンゼに入団してきた。それも自分のチェロを演奏する姿に感動したという理由で......。さらには、トリアでほぼ毎日共に過ごすようになって、情が移ったということだろうか........)


演奏旅行中、演奏後に人々が拍手する姿を見たら、彼女も喜んでくれたんじゃないかとか、自然とルイーズを思い浮かべることが多かった。


「ルイーズ………」


演奏旅行中は口に出して呼ばなかった名前が、妙に愛しく感じられたのだった。

レウルスは理論的


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