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【完結】婚約者の王子より、冴えないチェリストに恋した公爵令嬢  作者: 大井町 鶴(おおいまち つる)
◆第5章 変化の時

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甘えてもいいの?

ヘンリーからは手紙が残されていた。


《予想外のことが起きた。急ぎ戻るが、帰国する準備をするように》


短い文章だった。


(あれだけ私の気持ちを伝えたのに、本当に殿下は勝手)


絶対に戻るものか、思う。父にも戻るつもりはないと伝えた。


父から聞いた話では、リリアンはトリアに来た日、ヘンリーが滞在していた離宮に直接乗り込んだらしい。


ルイーズがヘンリーの婚約者であることは知られているから、なぜ、リリアン王女がヘンリーを追いかけてやってきたのだと、まわりはざわめいたらしい。


トリアの王室ではリリアンのことは把握していたみたいだが、事情を知らなかったトリアの貴族間では一気に話題になっていた。


(しばらく騒がしくなるでしょうね......。でも、リリアン様はやってくれたわ。おかげで殿下を説得する間もなく帰国させられたし。彼女には感謝ね)


彼女の大胆な行動のおかげで、ルイーズがメッツォに帰りたくないと言えば、理解してもらいやすい状況になった。リリアンを制御できなかったヘンリーにも責任があるのだ。


(それにしても、リリアン様の国は大丈夫かしら?ずいぶんと娘を放置したままにするのね)


本来は、隣国との領土問題でリリアンをヘンリーに近づかせのかもしれないが、リリアンがヘンリーを本気で気に入ったことから計画が狂ったのかもしれなかった。リリアンが戦力にならないと判断されるかもしれない。


(もし、リリアン様が国に連れ戻されたりしたら厄介だわ………。対策を練らなくちゃ)


音楽院に行くと、さっそくアードルフに相談する。


「ねえ、アードルフ。殿下たちがメッツォに戻ったのはいいけれど、今回の騒ぎでリリアン様が自国に連れ戻されたらマズイわ。彼女に有利な状況にしないと」

「うん?じゃあ、さっそく仲が良い作戦を決行するとしよう」

「やはり、そうなるわよね?」


ヘンリーが帰国したらもともと作戦を決行しようと言っていた企みを、ついに実行する機会が訪れた。


「ヘンリー王子は君に執着しているみたいだったけど後悔はない?」

「ないわ。殿下は私を思い通りにしたいだけよ」

「後悔しないならいいんだ。じゃあ、今日の練習が終わったらさっそく街でデートでもしよう」

「ええ。お茶しながら練習のことについて話し合いましょう」


側で聞いていたフローレンスがプッと噴き出した。


「なに?」

「ルイーズ、ふつうデートってそんなことを話さないわよ」

「え?お互いの共通の話をするものでしょう?」

「恋人の会話だよ?......まあいいかあ。偽りなんだし」


フローレンスにバカにされたようで、腑に落ちないルイーズだった......。


...........練習が終わると、約束通りデートをする。ルイーズは宣言通り、ひたすら音楽の話をした。


「ねえ、フローレンスも言ってたけど、これじゃ練習中の会話と同じじゃない?」

「そうね……でも、デートでなにを話せばいいかよく分からないの」

「ふ~ん。じゃあさ、僕が手取足取り教えてあげるよ」

「手取足取りって.......あ」


アードルフがいきなり手を握ってきた。


「ちょ、ちょっと」

「照れてるの?かわいいな。前から思っていたけど、ルイーズは免疫がないよね。こういったことに」


甲にキスされた。


「甲へのキスは挨拶だから関係ないでしょう?」

「そうでもないよ。気持ちが向かない相手にはしないよ」

「そういうものかしら?いずれにせよ、アードルフは慣れていそうね」

「ふうん?そう思うなら、ほかにもキスしようか?」

「イヤよ」


アードルフが軽い調子で言うので、ルイーズも思ったことを言いやすい。自然と笑みがこぼれた。


「私、デートをしたことがないの。だから、デートでなにをすればいいかということから少しずつ教えてくれると助かるわ。.........ということで、アードルフ先生宜しくね?」


首を傾げながら見つめて言うと、アードルフが呻いた。


「お、やられた!」

「なにが?」

「教えて先生.....なんて言われて喜ばない男なんていないよ」

「もう、大げさ。宜しく頼むわね」


(アードルフから教えてもらったことを、いつかレウルスに活かせたらいいな)


ルイーズはのほほんと考えていたのだった。


その日は、カフェを出た後、アードルフと手をつながれて書店や音楽店を覗いてみた。思いのほか、楽しかった。


「アードルフはお話が上手ね。令嬢達に人気があるのが分かるわ」

「人気あるのかな?ルイーズとは音楽という共通のものがあるから、話すこともたくさんあって楽しいよ」

「私もアードルフから聞く話はどれも参考になることばかりで楽しいわ」


ニッコリしながら言うと、アードルフが照れた様子を見せた。


「ハハハ……送って行くよ」


屋敷まで送ってもらって“じゃあ”と別れの挨拶をする。


「ルイーズ、もっと甘えてくれていいから」

「え?………甘える?」

「演技とは言え、仮にも恋人なんだよ。甘えてくれた方がやりやすい」

「そういうものなの?」


ヘンリーに“甘えて欲しい”なんて言われたことが無かったから、目からウロコである。


「私、殿下にそんなこと言われたことないわ」

「じゃあ、せっかくだから思い切り甘えなよ」

「ありがとう。アードルフってやっぱり優しいのね」

「僕は紳士だからね。じゃあ明日!」


手を上げてアードルフは馬車の中に戻ると去って行った。


(..........甘えると言えば、リリアン様は甘え上手だったわね)


自分も甘えられるタイプだったらなにかが変わったのだろうか、と思う。


アードルフからたくさん恋愛のワザを学ぼうと思ったルイーズだった。

アードルフはモテる人です


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