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【完結】婚約者の王子より、冴えないチェリストに恋した公爵令嬢  作者: 大井町 鶴(おおいまち つる)
◆第5章 変化の時

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まさかのお客様

皆さま、おはようございます&こんにちは&こんばんわ。


本日、2/20の21時過ぎに短編をUPします。

◆『婚約者が二股宣言をしたので、生意気な令嬢とアホ婚約者に報いを受けていただきます! 』

アホな婚約者に天誅を!という感じのサックリ読める系です。ぜひ、チェックしてみてくださいませ(o_ _)o

アードルフたちとの演奏会が迫っていた。


課題のほかにも彼らとの練習は毎日、行っていた。毎日、練習を重ねたおかげでより彼らと仲良くなっている。練習後に皆で食事に行くこともあった。


ちなみに、弦楽カルテットの名前はコンラートが曲を選んだということで、コンラートの名前をとって‟コンラート楽団”という名前になった。コンラートが恥ずかしいと嫌がったが結局、その名前に決まったのだった。


「私の名前がつくなんて………素晴らしい演奏をするしかないではないか」

「そんなの当たり前だ」

「そうよ~!」


アードルフとフローレンスがワイワイしている。


「ところでなんだが!演奏会の場所が決定したぞ。……皆にきちんと話していなかったが、演奏会は離宮で行われることになった」

「離宮?」

「アードルフの隣のとこ?」


離宮?アードルフの隣?ルイーズは混乱した。てっきり街の舞台とか音楽院のホールで演奏会をやると思っていたのだ。


「アードルフは離宮のすぐ側に住んでいるの?」

「うん。フローレンスも似たようなところに」


2人とも側室の子だと聞いていたからもっとカジュアルなところに住んでいると思っていたのだ。ちなみに、メッツォ国だと側室はもっと陰ひなたに住まわされるイメージだ。


(大事にされているみたいで良かったわ……)


身の置き場がなくて音楽に没頭しているのだと思っていた。だけど、きちんと良いところに住んでいて音楽をやらせてもらえているらしい。彼らが明るいのはそんな環境で育ったからだろう。ホッとした。


「でさ、離宮でやるからには王族も来ちゃうけどOK?」

「まあ、そうなるだろうな」

「問題ないわ!」


フローレンスとコンラートはすんなり受け入れていた。


「王族の方が??」

「ルイーズは自信がないの?」

「まさか。そんなこと、ないわ」


一気に緊張してくるのが分かる。ルイーズだって自国で王たちの前で演奏したことはあるが、あくまで私的な場であったからそれとはわけが違う。


「ならいい。メッツォ国からコルネ公爵たちも来るって」

「え、お父様が?」

「仕事がてら来る気みたい」


アードルフの情報の早さに驚いた。こちらに手紙が届くよりも先に情報を知っている。もしかしたら、驚かせようと思って父が故意的に言わなかっただけかもしれないが。


(お父様が来るなら立派にやっているところを見せなくては)


父と兄にはフルンゼに所属していた時もきちんと楽団員の一人として演奏する姿を見せられなかった。


(ただの交流のための留学だとは思われないようにしっかりと認めてもらわなくては)


トリア国に来た時に、交流を計る目的であったからトリアの王族にも挨拶はしている。トリア王と王妃はかなり高齢で王太子夫妻の子はまだ幼い。


(だからこそ、アードルフたちを私の側につけたのかしら?)


アードルフを見ると、いつも通りの陽気な様子だ。


「なになに、僕の顔を見て考え事とは。見とれちゃった?」

「ち・が・う。練習やりましょうって言いたかったの」


アードルフとはかなり気安い会話ができるようになっていた。


その日の練習は、今の自分たちにやれることをやり遂げようと話し合って終わった。


…………演奏会の当日、アードルフが迎えの馬車をよこしてくれた。馬車に揺られて行くと、立派な離宮が見えた。よく手入れされた庭が美しい。


(あの池のまわりをレウルスと散歩できたらステキだったな)


そんなことを考えていると玄関に着いた。アードルフが待っていて手を差し出してくれた。


「ありがとう。コンラートやフローレンスは?」

「あいつらも近くに住んでいるからね。すぐ来るよ。それより、緊張していない?」

「………しているわ。だから、楽しいことをずっと考えていたの」

「どんなこと?」

「この離宮のお庭を散歩したら楽しそうだなとか........」

「演奏会が終わったら案内しようか?」

「そうね、お願いしようかな」


話しているとコンラートたちもやって来た。


「晴れて良かったね~。雨だったら音も変わるもん」


フローレンスはいつも通りだった。緊張している感じはしない。


「今日は私の名前をつけた楽団なんだから最高の演奏にしよう!」


コンラートは緊張しているようだった。


「コンラート、気負い過ぎ!」


バチンとフローレンスに背中を叩かれてコンラートが呻いている。


「フローレンス、ケガしたら困るよ。もっと優しくね」

「分かった」


“ごめんね”と頬にチュッとしていた。彼らはとても仲良さそうであった。


楽器や演奏をチェックしていると、いよいよ演奏会の時間となった。会場に移動すると、招かれたトリアの王族や貴族たちの姿が見えた。


(まだ、席が空いているところがあるわ。お父様たち、遅れているのかしら?)


前の方に空いた席があって気になった。


音の最終チェックをしていると、遅れていた招待客が会場に入ってくる。よく見覚えのある顔があった。


「………殿下」


ヘンリーには演奏会のことは伝えてはいなかった。だが、王族同士で付き合いがあるのだから演奏会のことは伝わっていてもおかしくはない。ヘンリーはすました顔をしていた。父を見ると、すまなさそうな顔をしている。


(来るなら来ると伝えてくれればいいのに……)


ヘンリーに付き従うメッツォ国の従者たち一向が席についた。


ルイーズはまさかの客人に動揺させられたのだった。

ヘンリー、久々に登場


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