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【完結】婚約者の王子より、冴えないチェリストに恋した公爵令嬢  作者: 大井町 鶴(おおいまち つる)
◆第5章 変化の時

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互いに成長する時

休みに入るとレウルスはすぐに演奏旅行へと旅立った。


ルイーズはレウルスと音楽院でほぼ毎日顔を合わせていたのもあって寂しく感じていた。


(楽団にいた時よりもほぼ毎日会っていた分、顔を見られないのは寂しいわね)


音楽院で会っても忙しくてあまり話せない日が多かったが、顔を合わせるだけでもレウルスの様子が分かってホッとできた。でも、今はそれができない。


「ルイーズ、僕たちもそろそろ本格的に練習していこうか」

「あら、いつだって私は本気よ」

「そうだね。たださ、レウルスが旅立って寂しそうに見えたからさ。彼のこと、兄のように慕っているんだろう?楽団に所属したのも彼の演奏に感動したからだって聞いたしさ。自分たちもやれることをしなくちゃね」

「うん」


素直にうなずくと、アードルフが頭を撫でた。


(こんなふうに頭を撫でられるのに慣れるなんて、メッツォにいたら無かっただろうな。それに私、気付いたら“うん”だなんて普通に言えるようになっているわ)


ずいぶんと自分は変わったのだなあとしみじみ思う。解放された感がすごくあるから、いかに自分が抑圧されていたのかを感じた。


それに、トリアでは同じような立場の仲間もできた。アードルフやフローレンスと話していると、社交界のあれこれで盛り上がったりできる。自国では話せないことも話しやすかった。


(本当にトリアに来られて良かったわ.........)


トリア国に来る前に、父からはヘンリーに定期的に手紙を出すように言われていた。父はルイーズの味方ではあったが、婚約者である限り、手紙は義務であろうという考えである。それは正しいし、ルイーズもそうするべきだと思っている。


でも、こう自由に過ごしていると書きたくもない手紙を書くのが億劫だった。ここのところ、少しサボってしまっている。


(さすがに前回の手紙を送ってから3週間が経っているし、そろそろ書かねばマズイわね.........)


ちなみに、父や兄、レイニーにはマメに手紙を送っていた。帰ったらヘンリーへ手紙と共に彼らにも手紙を書こうと思った。


........その日の練習は、皆で演奏会に何をやろうかとか、いろいろと話し合った。あれこれおすすめの曲をそれぞれ弾いて自由に意見を言い合った。


結果的にコンラートが弾いた、切なく美しい歌曲にしようと決まった。


「私はこの哀愁に満ちたメロディーがとても好きなんだ。悲しい響きか続いたかと思うと、楽しさや温かさの調べもあって」


その曲は、コンラートが言う通りだった。


「とても美しい光景が浮かぶ曲ね。とても素敵だわ」


ルイーズが言うと、皆、ウンウンとうなずく。


(心が震える!この感動を聴いた人にも届けたい)


その日は、それぞれで譜読みや基礎的な練習をして終わった。屋敷に戻ると机に向かう。


(手紙、なにを書こうかしら......)


これまでヘンリーに送った手紙には音楽院で学んでいる内容について簡単に書いた。ほとんど報告書みたいな内容である。それに対してのヘンリーの返事もまた似たようなものだった。だが、文字にする分、直接話すよりも彼の言いたいことは分かりやすかった。


《そちらはどうだ?こちらは問題ない。学園にはきちんと通っているし、課題もしている。学園で学ぶことは実務にはほとんど関係ないと思ったが、そうでもないとこの頃思う。》


こんな感じだった。


(殿下も少しは成長しているのかしら?)


自分ばかりが成長していると思っていたが、ヘンリーも少しずつ自分のペースで成長しているようだった。当然だが、リリアンのことは書かれていない。


ヘンリーへの手紙はいつも通りに書いて、父や兄、レイニーには今度、弦楽カルテット仲間で演奏会をやることを書いた。先日父から届いた手紙には身体などを気遣うことが書かれていて、手紙を読んでいる時に泣きそうになった。


(離れてみて分かることもあるわね……)


侍女など使用人達がいるといっても側にいないのは彼らとしては心配なのだ。


(レウルスも体調、崩したりしていないかな?)


レウルスが気になっている。ちなみに、彼から手紙が届くことはない。冬休みは短いのもあって手紙を書くほどではない。それにレウルスは恋人でもない。手紙を書いて欲しいということは言えなかった。


(レウルスは将来のために頑張っている。私もそんなあなたに励まされている)


レウルスを想ったら泣きたくなった。


ルイーズはトリアに来てからやるべきこともたくさんあって気を張っていたが、レウルスがいたから頑張れていた。彼に出会わなかったらフルンゼ楽団に入ることもなかったし、留学だってしなかった。完全に彼中心で動いているなと思う。


(レウルスが演奏旅行から帰って来る時には私も成長していたい)


レウルスを尊敬する人物と思う一方、彼に負けたくない気持ちも出て来ていたのだった。

ルイーズは、好きな人には手紙を積極的に書きたいタイプ


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