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【完結】婚約者の王子より、冴えないチェリストに恋した公爵令嬢  作者: 大井町 鶴(おおいまち つる)
◆第4章 留学

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私も行きたいって言ったら?

ルイーズはイザベラ夫人とレウルスの偵察をした日から、レウルスに話しかけるチャンスをうかがっていた。


同じ音楽院に通うから姿こそは見かけるが、同じクラスではないので声をかけるチャンスがない。


「ルイーズ、なんかソワソワしてるんじゃない?」


目の前のフローレンスが言う。フローレンスは放課後にレウルスとアンサンブルをやる仲だ。羨ましい。フローレンスづてに情報を聞くべきだろうかと考える。


「フローレンス、冬休みはどうする予定?」

「冬休み?ああ、そろそろよね。アードルフ兄の演奏会に出させてもらおうかなって」


休みの間は、音楽院の特別授業を受ける者やバカンスに行く者、演奏会を開く者、それぞれらしい。


「そんなに簡単に出られるものなの?」

「私の実力を知っているでしょう?」


授業内で合奏を組む時間がある。それぞれの組の演奏を聴いたが、確かにフローレンスのチェロはとても上手だった。


「ルイーズもなかなか良くなってきているけどね」

「フローレンスは辛口ね」

「私は正直なの。で、どうして冬休みのことなんて聞くの?」

「あなたとレウルスはアンサンブルをしているでしょう?だから、休みの間に演奏会でもするのかと思ったのよ」


本当に疑問に思っている、という顔で探る。


「あ~、練習にチェロ2人はいいけど、演奏会開くならばほかの楽器とも合わせた方が華やかじゃない。だから、特にレウルスとは計画してないけど」

「レウルスにはほかに計画があるのかしら?」

「聞いてない。直接聞いてみれば?」


フローレンスは、レウルスにあれほど構っていたのに興味が無くなったのだろうか、と疑問に思う。


「レウルスのことを気に入っていると思っていたけど、ずいぶんとアッサリなのね?」

「気に入ってるわよ。だけど、チェリストとしてだから。チェロだけでなにかやるなら彼しかいないわ」


“彼しかいない”なんて言われると、それはそれで気になる。


「レウルスを認めているのだろうけど、彼をいいように扱わないでちょうだい」

「はあ?ルイーズはレウルスのなんだって言うのよ。妹じゃないんだからいちいち私にグチグチ言わないでよね」

「妹?」

「ほら、レウルスって体型がちょっとおじさんに近いっていうか............大人に見えるじゃない?だから、ルイーズと並ぶと兄妹みたいに見えるってことよ。あ、でも、ルイーズは若く見えてるんだからいいよね」

「そもそも私は彼よりも年下よ!」


自分とレウルスが兄妹に見えると聞いて驚いた。先日、レウルスとイザベラ夫人が歩いている姿を見て、少し似合うと感じてしまったのは彼が少し老けて見えたからだろうかと、ふと思った。


(ダメ、ダメ!お似合いに見えたらダメなのよ!)


フローレンスと話してもそれ以上のことは分かりそうになかった。こうなったら本人に聞くしかないと思う。


放課後になると、練習に向かう前にレウルスを見かけてつかまえた。


「はあ、やっとレウルスと話せるわ!」

「どうしたんだ?」

「レウルスは冬休みどうするの?」


単刀直入に聞いた。どう尋ねるべきか考えたが、素直に聞くのがもっとも自然だと思えた。


「冬休み?演奏旅行に行くことになっている」

「演奏旅行って?なんなのそれは?」

「……なぜ、ルイーズが気にする?皆、将来に向けてそれぞれ動き出している。オレも経験を積んでおきたいと思っているんだ。ルイーズはどうするんだ?メッツォ国に里帰りするのか?」

「帰らないわ。私だって音楽に真剣よ」

「そうか。ならばどうする?」

「どうするって……」


(なにも予定はないから、演奏旅行に私も連れて行ってと言ったらどうなるだろう?)


言いたい気持ちはあるが、口に出そうとすると言葉が出てこない。


「ルイーズも有意義な冬休みにしろよ」


そのまま練習室へと行こうとするレウルスの袖をつい掴んだ。


「待って!」

「なんなんだ?」

「前にランチした時、新しい刺激が大切だって話をしたから?」

「……そうだ。いろいろな世界を知って音楽に活かしたい」

「なら、私もその演奏旅行に行きたいわ!」

「え?」


レウルスが心底驚いた顔をする。


(レウルスはこれっぽっちも私を演奏旅行に誘おうなんて考えていなかったのが分かるわ)


私はレウルスに新しい可能性の扉を開くお手伝いをしてあげたのにと、思ってしまう。


「ルイーズには無理だ」

「どうして?」

「オレには後援者がいる。勝手に連れて行くわけにはいかない」


真っ当なことを言われた。


「あ........そうよね」

「そんな顔をするな。ルイーズは演奏家を目指しているわけではないだろう?オレはやらなくちゃいけないことだから行くんだ」


自分とは違うのだろうと言われると悲しくなる。


「……私だって、音楽のことは真剣に考えているわ。レウルスのことも応援している。後援者なら私がなれたのに。どうして私に頼まないの?」


低い声で聞いてしまう。権力を誇示するようで言いたくはなかった。


「ルイーズには頼みたくなかった」

「どうして?」

「そういうつながりにルイーズとはなりたくない」


どういう意味で受け取ればいいのか混乱したルイーズだった。

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