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【完結】婚約者の王子より、冴えないチェリストに恋した公爵令嬢  作者: 大井町 鶴(おおいまち つる)
◆第4章 留学

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息の合うコンビ

放課後まで音楽に関する授業がぎっしりであった。


「さすが音楽院だけあるわ」


多くの生徒が教室からいなくなったところに独り言のようにつぶやく。どの授業でも感じたが、ウイナ音楽院に入学する生徒は皆、音楽に真剣だった。


(私も真剣に向き合うためにここに来たけれど、私の知識だけではまだまだだわ)


音の出し方や弓の動かし方はいろいろと考えてきたつもりだったが、追求心がもっともっと上の者がたくさんいることを知ったのだった。


専攻ごとに分かれてバイオリンを弾く授業もあったが、皆、美しい音を奏でた。ほとんどミスもなくさすがにレベルが高い。


ルイーズは放課後の合奏の際に、アードルフに真剣に教えを乞う決心をした。


(もう緊張するなんて言っている場合ではないわ。どうにかしないと)


「なに、思いつめた顔をしてるの?アードルフ兄が待っているんでしょう?」

「フローレンスさん…」


チェロを背中に抱えたフローレンスがいた。


「フローレンスでいいわよ。私もあなたのこと、ルイーズって呼ぶから。ここじゃ身分なんて関係ないしね。しかも、あなた異国の人だし。丁寧な言葉で話さなくてもいいでしょ」


どういう意味で言っているのだ、と言いたくなったが黙る。文句を言って変に目立ちたくはない。ルイーズが黙ってもフローレンスは構わず話していた。レウルスとアンサンブルする話だった。


「チェリストとしてレウルスが気になる?」

「そりゃそうよ。実力を把握しておかないと」

「ライバルでもあるのね」

「そんなの当たり前!ルイーズも気を抜いていたらダメだよね。音はキレイだけど、心がこもってないもん」


ズバリと言われて傷つく。


(心がこもっていないなんて言われたことなかったのに.......)


自分なりに美しい情景など思い浮かべて弾いていた。そして、それは評価されていた。だから間違っているとは思っていなかった。


何とか顔に出さないようにしながらアードルフと待ち合わせた音楽室へと向かう。フローレンスとレウルスのアンサンブルをする音楽室もすぐ近くだった。


「来たね。さあやろうか。まずはなにか聴かせて」


チューニングをしてからパーニの曲を弾く。気持ちをこめて弾いたが途中で止められた。


「技術はそこそこあるのは分かった。でも自分の出した音を良く聴いている?」


心当たりがあることを言われた。レイニーにも言われたことだった。


「緊張しているのもあるだろうけど、落ち着いて」


アードルフのアドバイスはとても分かりやすく、少しの時間でも学ぶことがあった。


「少し休憩する?」

「ええ」


お茶を飲みに食堂へ向かう途中にレウルスたちのいる教室をチラリと覗いてみると、息の合った演奏をしているように見えた。


「あちらはいい感じだなあ」

「確かに..........」


相手の音を聴き、しっかりと音を合わせているのが分かる。レウルスが気持ち良さそうに弾いていた。


(悔しい………)


「落ち込まないで。ルイーズに素質はあるんだから。後は努力と経験だ」


ポンポンと肩を叩かれる。


(ホント、アードルフはレイニーさんに似た人ね)


優しく励まされてレイニーを思い出した。今度、手紙でも送ってみようと思った。


食堂に行ってお茶を飲んでいると、少し遅れてレウルスたちもやって来た。


「おう、おつかれ。そっちはなんか雰囲気良さそうだったね」

「そっちは、ってことはアードルフ兄の方はダメだったの?」


フローレンスのイジワルな言い方にムッとする。


「そういうわけじゃないよ」

「ふ~ん」


(こういうタイプの子はどこにでもいるものね)


ミアを思い出した。ミアも最初はかなり挑戦的だった。


「私、レウルスといいコンビ組めちゃうかも」


フローレンスがレウルスと呼び捨てにする。ルイーズは眉を寄せた。自分がレウルスと呼ぶまでどのくらいかかったと思っているのだ、と胸の中にドロドロしたものが流れる。


「僕たちもいいコンビになるかも。ルイーズは伸びしろの塊だ」


アードルフが親し気にルイーズの肩を抱く。いきなり触られてビックリしていると、レウルスがこちらを眉をしかめて見ている。


「おい...........」


レウルスが口を開きかけた時、フローレンスが大きな声を出した。


「じゃあさ、今日はコンビ結成記念に皆で飲みに行こうよ!」

「いいね!行こうよ、ルイーズ!」

「え、ええ??」


突然の提案に戸惑う。


「レウルスも絶対、行くよね?」


フローレンスは断ることを許さない勢いでレウルスに言う。


「............構わないが、ルイーズは飲めるのか?」


レウルスが気遣ってくれていた。


「飲めないことはないわ。フローレンスは飲めそうね…」

「トリア人にとってお酒は水みたいなものよ!美味しい店に連れて行ってあげるから!」


結局、突然のフローレンスの提案を受け入れることにした。レウルスが行くなら行かないなんて選択肢はない。ジーナへの連絡は音楽院の事務室に頼むと快く引き受けてくれた。


「さあ、行くぞー!」


賑やかな2人に連れられて繁華街へと繰り出したのだった。

いかにも飲みそうなフローレンス


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