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【完結】婚約者の王子より、冴えないチェリストに恋した公爵令嬢  作者: 大井町 鶴(おおいまち つる)
◆第3章 戻った日常

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感謝の挨拶

ウイナ音楽院にルイーズが留学する件はすぐに広まった。


表向きはトリア国と円滑な交流目的だとされているが、それを額面通りに受け取る貴族たちはいなかった。ヘンリーの気持ちが自分に向いていないことに傷ついたルイーズが異国に逃げ出したのだ、とウワサされた。


「お父様、お兄様、ご迷惑をおかけしてごめんなさい」

「いや、ウワサなどあくまでウワサだ。私たちのことを気にせずともいい」

「そうだぞ。フルンゼ楽団にルイーズがコッソリと所属していたのも明らかにされたからな。音楽に真剣だというのはすぐに知れ渡るさ」


阻止したかったのだが、ルイーズがフルンゼ楽団に入団していたことを王家がそれらしい理由をつくるために勝手に情報を公開したのだった。


(こんな形で皆に私の正体が知られてしまうなんて………)


ルイーズがトリア国に向かう前にフルンゼ楽団には挨拶に行こうと思っていた。だが、皆に顔を合わせるのが怖い。それに、レウルスの前であんなに別れを惜しんだのに、一緒の音楽院に留学することになってちょっと気恥ずかしかった。


「それはそうとして、今日は楽団の所に顔を出すのだろう?もう正体も知られたことだし、我が家からそのまま向かえば良い」

「いえ、突然の変化は皆を驚かせてしまいますわ。商会でいつも通りの服装に着替えてから向かいます」


王たちに音楽留学の許しを請いに行った日、ヘンリーに口づけされそうになって逃げて来たルイーズを父は見ていた。以前、ヘンリーが無理やり口づけしたと知って父は怒っていたから、間近で再びキスされそうになって父の怒りは頂点に達していた。


ヘンリーをキッと一瞥すると、ルイーズを連れてさっさと王宮を去ったのだった。


「楽団の者にこれを差し入れてはどうだ?」


父は美味しそうな焼き菓子をたくさん用意していた。


「皆が喜びますわ」

「お前が留学している間、フルンゼ楽団のことは私がきちんと面倒を見ておこう。彼らは貴族をあまり好きでは無いと言うが、音楽家としては貴族とのつながりは必要だからな」

「そのあたりも皆にきちんと説明してまいりますわ」


商会のある建物で着替えを済ませると、練習場にジーナと護衛と共に向かった。扉を開けると、皆が一斉にルイーズに注目するのが分かった。レウルスはまだ来ていないのか姿は見えない。


「あの………」

「オリビア!」


皆、ルイーズとは呼ばすオリビアと呼んでくれた。責められるのでは、と心配していたルイーズであったが、一気に身体から力が抜ける。


(新聞にも私のことは載ったはずだから、皆、私の正体を知っているはずなのに)


じ~んとしていると、レイニーが近寄って来た。


「また、泣きそうな顔をする。そんな顔をしたらトリア国ですぐに男たちが近寄って来るよ。誰が慰めるんだってケンカになるだろうな」

「レイニーさん……。いろいろと迷惑をかけてごめんなさい」

「君は最初に比べて素直になったね。会ったばかりの時は身分を偽っていたせいもあるけど、強張っていて表情も硬かった」

「ここの楽団のおかげよ」

「うん、その気持ち、皆に伝えてあげて」


レイニーは手を頭の上でパンパンと叩いた。


「注目!オリビアから皆に話があるって」


ガヤガヤと盛り上がっていた室内は一斉に静かになり、ルイーズへと視線が注がれる。


「あのね、私のことをもう知っていると思うけれど………今まで皆、ありがとう。私はウイナ音楽院に留学することになったけれど、ここは私の居場所だとずっと思っているわ。だから、私が戻って来ても知らんぷりせずに受け入れてくれたら嬉しい」


取り繕わずに自分の中にある気持ちをそのまま述べた。


「おうよ!いつでも来ればいいさ。オレたちは仲間だ」

「オレたちさ、リーダー以外は貴族なんてお高くとまってて、音楽はアクセサリーみたいに思うやつばかりだと思っていたよ。だけどさ、本当に音楽を愛する貴族もまだまだいるんだなって思えた」

「私も~! オリビアさんがお茶の入れ方も知らなくて、アワアワしていた理由が分かって今だと笑える!」

「私の妹分がまさかお偉い貴族だったなんて驚いたけど.......アンタみたいな子ならずっと仲間でいられるわ」


皆、それぞれに思いを告げてくれた。


「それにしても、交流目的といえど、ウイナに通うんだろ?大変になるだろうな」

「..........やはりそうよね?」


ルイーズは密かに心配していたことを言われて素直にうなずいた。


「オリビアは素質があるよ。ただ、圧倒的に演奏会の経験が少ないのと………うーんアレかな」

「なに?気になるわ」

「異国に行ったら、少しは自由になれるだろ?いろいろな男を見てみたら?」


恋愛経験が不足している、とレイニーは言いたいらしかった。顔が赤くなる。


「オレが付き合えば良かったよなぁ。でも、本当に口説いていたらオレはヤバかったけどな!」

「リーダー、自分がフラれる可能性を考えてないっす!」

「うるせーぞ!」


いつものわちゃわちゃが始まる。


「ふふ。レイニーさんにはファンがたくさんいるでしょう?いつも練習終わりは外が騒がしいわ」


練習場前にはレイニー目当ての女性たちが待ち構えていることがよくあった。


「はは、それはファンであって恋愛じゃないし。とにかく、レウルスと一緒の音楽院に行くわけだから、あいつを頼むよ。あいつ、無愛想で見た目がちょっとふくよかで、冴えない感じで、融通がきかなくて、音楽バカだから、兄としては心配しているんだよ」

「オレをボロクソに言うのをやめろ」


戸口のところに眉間にシワを寄せたレウレスが立っていたのだった。

楽団員はルイーズの正体を知った時、めちゃくちゃ驚きました。でも、話し上手のレイニーが皆にうまく説明してくれたことで皆、応援モードです。


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