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【完結】婚約者の王子より、冴えないチェリストに恋した公爵令嬢  作者: 大井町 鶴(おおいまち つる)
◆第3章 戻った日常

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聞き届けられた願い

ルイーズは今、父と共に王宮にいた。目の前には王と王妃、ヘンリーがいる。


父とルイーズは膝を降り、あるお願いをしていた。


「なぜ、留学なのだ?」


王が不服そうに言う。王妃も険しい顔をしていた。横にいる父が怯みそうになっている。ルイーズは顔を上げて述べた。


「私、音楽を真剣に学びたいのです。ウイナ音楽院に留学することをどうかお許し下さいませ」


ウイナ音楽院はレウルスの留学先でもある。一流の音楽家になるために多くの音楽家がそこを目指すのが王道であった。


「そなたは公爵令嬢でヘンリーの婚約者だ。音楽家になるわけではあるまい」

「今、私が貴族たちの間でどのように言われているかご存じでしょうか?このまま殿下の側にいては隣国との関係に影響を及ぼすかもしれません」

「状況は理解しているが、そなたが去ればより隣国は調子に乗るであろう。牽制する人物が必要だというのに」


王がそんなことも分からないのか、というふうにタメ息をつく。


「今のところ、私に同情的な雰囲気ではありますが、私がリリアン様を排除しようと動いているなどといつ言われるか分かりません。隣国はむしろ、それを狙っているでしょう。それよりは私が音楽留学することでいなくなる方が余計な問題が起きず安心です」

「ふむ。それは一理あるわね」


それまで話を聞いていた王妃が口を開いた。


「リリアン王女の留学期間はあと1年弱。丁度良いかもしれません」


ねえ、と王の方を向いて王妃が言うと、王は咳払いをする。


「うむ、王妃がそう言うならば考えてみよう」

「お待ち下さい!オレの考えをなにも聞かないのですか?」


ヘンリーが声を上げた。先ほどから目の前のやりとりをキッとして見ていた。


「自分の息子をこのように言いたくはないが、お前が誤解を与える行動をとるからいけないのだ。隣国の王女には丁寧に接するべきだが、お前はそのあたりの加減が分かっておらん」

「ヘンリーを責めないで下さいませ。本来ならばルイーズがヘンリーの気持ちをしっかりと掴んでいないのがいけないのです」


王妃はルイーズの味方ではなかった。ヘンリーを溺愛している。だから、リリアンとのウワサが立っていても特に動くことはなかった。リリアンが勝手にヘンリーに惚れているというスタンスで自由にさせていたのだ。


「オレは認めません!」

「ヘンリー、お前はまず学園を卒業せねばなりません。その間にルイーズにはウイナ音楽院のあるトリア国との橋渡しに役立ってもらいましょう」


有無を言わさぬ王妃の発言は、時として王よりも上だと言われている。皆が王妃の意見に賛同することになった。


父と共に謁見室を出ると、父が静かに息を吐いた。


「ふぅ。寿命が縮んだ」

「ふふ、お父様。ありがとうございます。せっかくですから美味しいケーキでも食べて帰りましょう」


目的が達成されてホッとしていると、後ろからバタバタと足音が聞こえてきた。


「ルイーズ!」


ヘンリーだった。


「話がある。こちらに来い」


ルイーズの手を取り引っ張って行こうとするヘンリーを見て、ルイーズの父が止めに入る。


「殿下、もう話は決定されたことであります。ご理解下さいますよう」

「オレに相談もなく、いきなり父上と母上に留学を願い出るなど、失礼だとは思わないのか!」

「お父様、少し殿下とお話をさせて下さいませ。すぐに済みます」


ルイーズはすぐ側のテラスにヘンリーと共に出た。


「殿下、突然の決断を申し訳ございません」


ルイーズは深く頭を下げた。


「オレは謝れなどと言っているのではない。勝手に決めたことを怒っている」

「私も……怒っています。殿下は結局、私を信じて下さいませんでしたね。レウルスさんを留学させるのは私の側から離すためですわね?」

「それの何が悪い?ヤツはお前に近づき過ぎた。だが、ヤツにとって留学は願ってもないチャンスだろう。サンス男爵家はそれほど裕福ではないからな」

「それでも、です。来るべき時に旅立たせてあげるのが優しさではないですか?」

「どうしてオレがそこまでヤツのことを考えねばならん?」


(この方は本当に勝手だわ)


「とにかく、私は1年間、留学いたします。殿下は学園を卒業し、やるべきことをなさって下さいませ。お互いに成長ある時間に致しましょう」

「お前は本当にレウルスを気に入っているのではないか?」

「音楽に対して情熱のある方だと、尊敬しています。ただそれだけです」


ヘンリーを真っすぐ見る。彼の瞳が揺れた気がした。


「もっと近くに来い」


グイとルイーズを自分の側に寄せた。少し離れた場所に父がいるというのに、ヘンリーはルイーズに顔を近づける。


「なにをなさるのです?」

「イヤならお前からしろ」

「なぜです?………イヤです」

「なぜ、拒む?」

「………リリアン様とキスした口に、口づけなどしたくありませんの!」


ヘンリーの胸を突き放すと、父の元へと走って行く。


ヘンリーは意外なことを言われたようにその姿を見ていたのだった。

残されたヘンリーは......


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