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【完結】婚約者の王子より、冴えないチェリストに恋した公爵令嬢  作者: 大井町 鶴(おおいまち つる)
◆第3章 戻った日常

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待つのは簡単じゃない

ルイーズはレウルスの腕の中にいた。信じられない状況に頭が混乱する。


「ルイーズって………私のこと、知っていたの?」

「先日、訪れた楽器店で知り合いの演奏家..........彼は貴族なんだがオレたちを見ていたんだ。お前が公爵令嬢で殿下の婚約者だと言うから驚いた」

「そうだったの………」


レウルスが自分の本当の正体を知ったのだと思うと、複雑な思いがした。


レウルスはルイーズを自分から離す。


「音楽に向き合うのに身分は関係ない。だから、オレは音楽を通して接している限り、今までと同じように接するつもりだ」

「音楽を通して接している時だけ?」

「そうだ。お前とオレは同じじゃない」


受け入れられたのかと思えば、レウルスは自分とは違うと突き放す。ルイーズは失恋したみたいな痛みを感じた。


「オレは留学する。オレのチェロに惹かれて身分を偽り、フルンゼ楽団に入団までしてくれたことに驚きとありがたいという気持ちを抱いている。お前が入団してからフルンゼはより明るい雰囲気になった」


レウルスはどうやら、ルイーズをレウルスの奏でるチェロに惹かれて入団してきたかわいい後輩だと考えているようだった。


(チェロだけでなくあなたという人に惹かれているのに………)


気持ちを打ち明けたい気分になったが、彼は音楽を通していなければ対等に付き合うつもりはないと言った。


(彼は留学する。私が気持ちを伝えても叶うことはないわ)


見込みがない告白をする勇気はなかった。


「お前はここに入団した以上、自分の道を進むべきだ」


厳しくも正しいと思える言葉を聞いて、泣きたくなる気持ちをグッと堪える。


「留学に行く前に..........私のためにチェロを弾いてほしいのだけど」

「リクエストは?」


私のために、なんて言うのは気恥ずかしい気持ちがしたが、レウルスはそこについては何も言わなかった。


「“恋の挨拶”を」


レウルスはチェロを手にすると弾き始めた。


(この弓の動かし方も、弓を握る手も、少し眉間にシワを寄せるような表情も………全てが好きだわ)


ダメだと思うのに、どうしても涙が流れてしまう。


(私、人前で泣いてばかりだわ。簡単に涙を流すようになったのはレウルスのせいよ)


甘くはかない旋律の曲を聴いていると、自分の気持ちも感傷的になっていく。静かに曲は終わった。


「また泣いてるな。どうしたら泣き止む?」


レウルスがハンカチを差し出した。ハンカチを受け取ると目元に当てる。


「オレのハンカチが無くなってしまうぞ」


この前、借りたハンカチはわざと返さずにいた。どうしても手元に置いておきたかったからだ。


「ハンカチなら新しいものを贈るわ」

「いや、いい。冗談で言ったんだ。ハンカチが買えないわけじゃない」


レウルスの家よりもルイーズの家の方がはるかに裕福であるのを言われた気がした。


「レイニーみたいに、熱心なファンがオレにもいるとは幸せだな」


彼は照れているのか茶化すように言う。違うのだ、と言いたくなるが今のままではどうしても後輩以上に思われることはないとだろうと感じる。


「...........私はレウルスさんが帰って来るまで、いいファンとして待てる自信がないわ」

「それは........殿下と結婚するからか?」


レウルスは、ルイーズがヘンリーと結婚すると固く信じているらしい。


「私は殿下と結婚などしたくないわ」


ハッキリと言うと、レウルスは驚いた顔をした。


「............オレのような下級貴族にはお前の気持ちを理解することは難しい。だが、心の支えになる音楽だけはいつまでも大事にしてほしいと思う」


音楽を大事にしてほしいと言われて、ルイーズはある考えが突然、閃いた。


(.......そうだわ。私はもっと音楽に真摯に向き合えば良いのよ)


「ええ。私、音楽にもっと真摯に向かい合うことにするわ!」


突然、宣言したルイーズに戸惑いながらもレウルスは微笑んでくれた。ルイーズも笑顔になる。


練習場でレウルスと別れると、屋敷へと戻った。


邸に戻るなり、ルイーズは父の帰りを玄関ホールにあるソファで待った。冷えるのを心配したジーナがブランケット持ってくる。2時間ばかり待つとやっと父が帰宅してきた。


「なぜ、このような所にいる?ここは冷えるだろう」

「お嬢様にはお部屋で待つように何度も申し上げたのですが……」

「伝えたいことがあったからですわ」


ルイーズは立ち上がると、父の元へと近づき父に抱きついた。


「ルイーズ、ど、どうしたのだ」

「お父様、私、一生のお願いがあるのです!」

「抱きつきながら一生のお願いだなんて言うからには、イヤな予感がする」

「そんなことはありませんわ」


ニッコリとルイーズが微笑んだ。


..........夕食後、長い時間、話し合いが続いた。遅れて帰宅した兄も加わり話が過熱したのだ。ルイーズは自分の思いを何度も何度も2人に説明した。


話を聞いた父と兄は驚き、ルイーズの考えに反対をしたが、王宮でのヘンリーとのやりとりを話すと、しぶしぶルイーズ可愛さに折れてくれたのだった。

突然、なにを閃いたのでしょうか


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