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【完結】婚約者の王子より、冴えないチェリストに恋した公爵令嬢  作者: 大井町 鶴(おおいまち つる)
◆第3章 戻った日常

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商会に訪ねて来たお客様

商会で働いている者が屋敷に急ぎやって来た。


「え?レイニーが商会に来ているですって?」


レイニーには商会の場所を教えていた。いざという連絡を取る場所を知らせる必要があったからだ。だが、レイニーが商会に顔を出すということはなかった。なにか起きたのだろうかと心配になる。


急いで出掛ける支度をすると、商会のある建物へと馬車で向かった。馬車から降りると急いで商会の建物へと入る。


レイニーが案内された居間に行くと、レイニーがソファに座って優雅にお茶を飲んでいた。楽団の練習場とは違って貴族らしい態度であった。


「やあ、オリビア!」

「急にどうしたの.........?」

「うん、ちょっと話したいことがあって」


ニコリとレイニーが微笑むが、なんとなく固い笑顔な気がした。


「.........なんで、正直に言ってくれなかったの?」

「え?」


なんのことを言われているのだろうと棒立ちになる。


「とりあえず、座らない?」


(これは...........もしや私の正体のことかしら)


メイドがルイーズの紅茶を用意し終えると、部屋を出るように言った。レイニーと2人きりになる。


「さっき聞かれたことだけど..............」


口ごもる。レイニーは紅茶のカップを皿の上に戻すと口を開いた。


「君さ、あのルイーズ様なんだって?」


(ああやっぱり..........!)


「……」

「否定しないということは、やはりウワサは本当なのかな」

「あの、私がルイーズだというのは否定はしないけれど、どんなウワサを聞いたの?」


正体を知られたのも非常に気まずかったが、どんなウワサを聞いてきたのか気になった。


「傷心のルイーズ様が格下貴族令息と楽しくデートって感じかな」

「まあ、なんてこと..........!」


いろいろと否定したかった。だが、どこから説明すればよいか混乱する。


「..........正体を隠していたことは申し訳ないと思っているわ。私は公爵家の者というだけでなく、殿下の婚約者でもあるから正体を隠す必要があったの」

「オレには言ってくれればいいのに。この前の王宮の演奏会で、君に話したことは一体なんだったのだろう?」

「怒らないで!あの時、私が言ったことは本心よ」


王宮内での演奏会でルイーズはレイニーにフルンゼ楽団のことを褒めまくった。自分の所属する楽団だから褒めちぎったとは思われたくなかった。


「怒ってないよ。だけど、オレは間抜けだったなあと思ってみたり」


ルイーズが褒める言葉を素直に喜んでいた姿が恥ずかしいと、言いたいらしかった。


「そんなことを言わないで。私、感動して泣いたのだから」


必死に言っていると、レイニーがプッと笑った。


「なんなの?」

「ごめん、ごめん。ルイーズ様があまりにも必死だから。褒めてくれたのは本心だってのは分かっていたよ」

「...........それでここに来たのはどういう目的なの?私の正体が分かって..........楽団内で反発が起きたとか?」

「いいや。オレは貴族とのやりとりをすることが多いからウワサもいち早く知っただけであって、楽団の皆は知らないよ。こちらからは辞めてもらおうだとか思ってないから心配しないで」

「そうなのね...........」


ホッとすると、レイニーが優しく微笑んだ。


「フルンゼ楽団が大切みたいだね」

「それはもちろん」

「泣かないで」


ホッとしたら勝手に涙がこぼれ落ちたらしい。レイニーはルイーズの横に座ると、ハンカチで優しく涙を拭いてくれた。


「私、楽団が好きなのよ.......」

「うん。オレたちの大事な場所だ」


レイニーが“オレたち”と言ったことで、自分もきちんと仲間に入っているのだと思うと、また涙が出た。


「よしよし」


レイニーがルイーズの背中をさすってくれる。


「オレは君が公爵令嬢で殿下の婚約者だとしても、‟オリビア”として接するつもり」

「.........ありがとう。嬉しいわ。ちなみに、当事者であるレウルスさんはウワサのことを知っているの?」

「あいつは貴族の集まるところには行かないから知らないよ」


それを聞いて安心した。確かにあのレウルスなら、自ら進んで貴族との付き合いはしなそうだ。


「ごめんなさいね、いろいろと」


ルイーズがレイニーの手を握りながら見つめると、レイニーが視線をずらした。


「..........あの、そうやって手を握られて見つめられると、さすがに照れちゃうな」

「あ、ごめんなさい」


慌てて手を引っ込めた。


「ここに来たのは君の口から真実を聞くことと、これからのことについて対策したいと思ったからなんだ」

「対策?」

「君は殿下の婚約者だろう?あんなウワサが出回れば、楽団に練習にくるのも難しいだろうと思って」

「確かに..........。いずれ殿下の耳にも入るかもしれないと危惧しているわ」

「しばらく家で練習をするようにしたらどうかな?.........というわけでコレ」


バサリと楽譜の束を渡された。


「楽譜?」

「そう。これ、次の練習までに全部、譜読みしておいてくれる?」


譜読みだけで結構な時間がかかりそうだ。でも、彼なりの気遣いなのだろう。


「分析に時間がかかりそうね」

「お、やる気だね。その調子!」


小さい子を褒めるように頭を撫でられた。


「.......頭を撫でられるのって悪くないわね」

「あ、ごめん、つい」

「いいの。レイニーさん、ありがとう」


感謝のつもりでハグしたら、レイニーが柄になく真っ赤になったのだった。

レイニーに正体が知られて焦ったものの、受け入れてもらったことがとっても嬉しいルイーズ


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