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【完結】婚約者の王子より、冴えないチェリストに恋した公爵令嬢  作者: 大井町 鶴(おおいまち つる)
◆第3章 戻った日常

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カフェでのおしゃべり

「ミアともこうしてお茶を飲んだりするの?」

「するな」

「.........そうなのね」


ミアを連れてお茶しにくることもあるのだと知って、チクリと胸が痛んだ。


「ミアはこういう場所が好きそう。私の使っている口紅に関心も示していたし、流行りのものに興味がある年齢よね」

「.........前に年齢のことでミアがお前をからかっていたが、気にする必要はない。ミアより若い者なんて楽団にいないのだから」

「もうそのことは.........。彼女はいい子だと思ったし、今度、口紅をプレゼントするつもりよ」

「あまり物をやる必要はないぞ。貴族だからといって」

「彼女には試供品だと言って渡すつもりだから大丈夫よ。私、彼らが喜ぶ姿を見ると嬉しくなるわ」

「気持ちは分からなくはないが、お前は楽団員であって後援者ではない。レイニーやオレも特別なことはしていない。やりすぎはよくない」


ふむ、そういうものなのね、と思う。


「分かったわ。ただ、口紅1本ぐらいは大目に見てね」

「好きにしろ」


話に一区切りついて紅茶を飲む。


「……今、フルンゼ楽団には固定の指揮者がいないだろ?あれは前の指揮者が物で釣って自分の思うよう演奏させようとしたからだ。反発されて辞めることになったけどな」


まだ、さっきの話題は続いているらしかった。


「そんなことが..........」

「だから、目立つ行動はしない方がいい」

「分かってるわ」


心配して言ってくれたようだ。


(分かりにくいけど、心配する優しさがあるということよね)


心配されたのだと思うと嬉しくなった。


「それはそうと、お前の家は本当に商会を運営していたのだな?」

「ええ、まあ」


父が急遽、起ち上げた商会はコルネ公爵の豊かな資本力とセンスにより、なかなか良い軌道に乗っている。特に儲けるつもりはなかっただろうが、新たに増えつつあるお金はフルンゼ楽団に寄付されることになっていた。


「私のことより、レウルスさんのことを教えて。サンス男爵家は音楽一家として知られているけれど、どうして音楽と関わり合うようになったの?」

「音楽好きな曾祖父が子に音楽をやらせたのがきっかけだ。よくある話だろう。王家はずっと音楽家を支援してきたからうちは代々、音楽一家としてやってきたのさ」

「ふうん」

「お前はなぜ、バイオリンを?」

「私は.........」


亡き母がピアノの名手で父が音楽好きだと答えた。父と週末の音楽祭に出掛けていたことも話す。


「そうだったのか...........。母上のことは配慮が足らず尋ねてしまって申し訳ない」

「いえ、いいの。お母様のことを全く話さないよりも、こうして話に出る方がお母様も嬉しいと思うから」


ルイーズの言葉にレウルスがうなずく。


「音楽って、つらいことがあった時も嬉しいことがあった時も、いつも身近なものだと思っているわ」

「そうだな」


自分の考えを安心して話せることが心地よくて、もっと話したいと思った。


「入団のきっかけを詳しく話していなかったけれど...........入団したのはレウルスさんがキッカケなのよ」

「オレが?」


レウルスは意外だ、という顔をする。


「ええ」

「レイニーじゃなくてオレ?」

「レイニーさんも魅力的だったけれど、私はあなたのチェロが素晴らしいと思ったの」


本当は弾く姿もとってもステキだった、と言いたいがそうは言えない。


レウルスはじっとルイーズを見る。


「チェロの音があんなに美しいものだと、あの時初めて思ったの」


話していたらあの時の感動が蘇って鼻の奥がツンとした。


(あの運命的な演奏を思い出すと、つい涙が出ちゃうわ)


「おい、まさか泣いているのか?」


レウルスが慌ててハンカチを出して渡してきた。


「ありがとう」


ハンカチを受け取ると、目に当てた。


(私ったら涙もろくなっているみたい)


「........オレの演奏で感動してくれるなんてありがたいよ。だから、もう泣くな」


困ったような声が聞こえた。


(いい加減、泣き止まなきゃ)


落ち着いてくると、レウルスが気づかわし気に声をかけてくる。


「そろそろ行こうか」

「ええ」


お茶代はレウルスが払ってくれた。さすがにそれぐらいは彼の負担にはならないだろうと思って、素直にお礼を言う。


楽器店に着くと、レウルスは熱心に弦の種類の違いについて丁寧に説明してくれた。弦の張替えは自分でできるようにと、お説教もあったが。最もだと思ったので素直にうなずいた。


あれこれ見ていると時間はアッと言う間に過ぎた。レウルスにつつかれて店の外を見ると、心配したジーナの姿が見えた。


「今日は、いろいろとありがとう」

「いや、大したことはしていない。気をつけてな」

「ええ、ではまた」


ルイーズは優雅に微笑むと、馬車に乗り込んだのだった。

バイオリン弦は種類も豊富


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