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【完結】婚約者の王子より、冴えないチェリストに恋した公爵令嬢  作者: 大井町 鶴(おおいまち つる)
◆第2章 宮廷にて

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睨め付けるレウルス

翌日、ジーナを連れて練習場に行くと、想像通り皆が喜んでフィナンシェを受け取ってくれた。


「こんな高級菓子、たくさん持って来れるってどういうこと?」


ミアに聞かれる。


「フィナンシェをうちの商会で扱うことを検討していて。試作品を兼ねて頼んだらこんなたくさんになったから持ってきたわ」

「甘いもの好きの私にはたまらない~!」


予想通りシャーロットがめちゃくちゃ喜んだ。幸せそうに頬張っている。


「美味しい~!オリビアさんたら意外と気が利く~!」

「意外とってなによ」

「へへへ~」


(相変わらずね、この子はまったく)


ミアの物の言い方は今でも気になることはあったが、彼女の両親が早くに亡くなってしまっていると聞けば、憐れむ気持ちもあって冷たくする気にはなれない。


ミアは、音楽好きな叔母の家に引き取られ、叔母の夫がかつて弾いていたというチェロを譲り受けてチェロ奏者になったと、シャーロットから聞いた。彼女は、叔母に負担をかけたくないらしく、音楽で自立することを望んでいるらしい。


最近のミアはほんの少しばかり大人しくなったから、大目に見てやろうという気にはなっている。


「ミア、たくさんあるから持って帰ってね」

「え、いいの!?嬉しい!」


嬉しそうに言うミアの笑顔に、ルイーズも自然と笑顔になる。


「オリビア、ありがとう」


ポンと、肩を叩いたのはレイニーだった。


この楽団でルイーズが貴族であるのを知っているのはレイニーとレウルスだけである。ルイーズが偶然を装い、焼き菓子を差し入れてくれたのを好意的に受け取っているらしい。チラリとレウルスを見れば、いつも気難しそうな顔をしているのに穏やかそうな顔でフィナンシェを食べていた。


(あ、レウルスもフィナンシェを食べているわ。きっと甘い物が好きなのね)


彼は標準体型よりもほんのちょっとふくよかである。たぶん、甘い物もよく食べるのだろう。


(食べるのが好きなら、もっと差し入れを持ってくるようにしようかしら……)


「オリビアはキレイだし気が利くしいいなぁ!オレと付き合わない?」


突然、大きな声を出したのは、楽団のムードメーカーでお調子者のブラッドだった。トランペットを掲げながらアピールしている。


「待ったぁ!オレが先に目をつけてたんだぜ~」


ホルン担当のクリフもおちゃらけながら加わってくる。


(こういうやりとりは貴族間ではないから新鮮だわ)


軽快なやりとりが面白くてルイーズが口元に手を当てて微笑んでいると、レウルスと目が合った。


(あ、食べ終わったのね。おかわりいるかしら?)


ルイーズが“もう1ついかが?”と、レウルスに近づくと、腕を掴まれた。眉間にシワが寄っている。


「ちょっと、こっちに来い」

「あの、レウルスさん?」


連れて行かれたのは事務室であった。


(フィナンシェを美味しそうに食べていたと思ったのに、なんで睨んでくるわけ?)


わけが分からず、不思議そうにしているとレウルスが口を開いた。


「昨日、王城にお前も来ていたようだが、どうして来ていた?」


思わぬことを尋ねられてルイーズは固まった。


(..........これはどう対処すべき?レウルスはどこまで気付いている?)


焦る気持ちを隠しつつ、頭の中で昨日の記憶を必死に辿る。彼と最後に廊下で話した時は、彼は自分の正体に気付いていないようだったが...........。


「お前は演奏会に招待された貴族の中にいたのか?」


(.....それを尋ねるということは、私が公爵令嬢で殿下の婚約者だとはバレてないのね)


「私をご覧になったですね?どこでご覧になったのです?」

「オレたちが楽器を運んで帰ろうとしている時にお前を見かけた。扇で顔を隠してはいたが、お前だった」

「見られていたとは驚きましたわ。ほかに私に気付いた方はいましたの?」


緊張してついいつもの口調になる。


「いや、オレだけだと思う。たまたまそちらを向いた時にお前が視界に入ったから気付いたんだ。ほかの者は楽器を運ぶことに夢中だったから気付いていないだろう」

「そうでしたか」

「お前……実は、子爵家ではなく上位貴族なのか?あの演奏会に出席していたのは伯爵家以上だ」

「私は……」


レウルスが探るように聞いてくる。警戒しているようだ。


(ここで、どう答えるかによってレウルスが引いてしまうかもしれないわ。せっかく同じ立場で話せるようになったのに。バレるのは絶対にダメ!)


「……私が王宮にいたのは、兄が事務官をしているからですわ。兄に用があってたまたま兄の元を訪ねておりました」

「本当か?それにしては緊張した話し方だが」

「屋敷にいる時はお父様にきちんとした話し方をしなさい、と言われるからついクセで」


(...........育ちの良さが足枷になっているわ。つい気を抜くと良い言葉使いになってしまうのよね)


レウルスが睨め付けるように見てくる。


「レウルスさん、そんな目で見られたら怖いわ」

「.......知っている通り、ここはオレたち以外に貴族はいない楽団だ。お前が皆に貴族だと知られたら、あいつらは一気に距離をおくぞ」

「で、でも、レウルスさんやレイニーさん貴族だと知られていても距離を置かれていないじゃない」

「それは楽団を起ち上げているのもあるし、オレたちは音楽一家で知られている貴族であるからだ。彼らに理解される土台はある」


ルイーズは同じ貴族でも自分たちとは違うと言われたようで、胸が痛んだのだった。

目撃していたのはレウルスでした


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