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【完結】婚約者の王子より、冴えないチェリストに恋した公爵令嬢  作者: 大井町 鶴(おおいまち つる)
◆第2章 宮廷にて

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見つからないように変装する

本日は練習が休みだった。


「週に4日の練習って多い方なのかしら?少ない方なのかしら?楽団の皆は働いている人ばかりだから来るのが大変そうではあるけれど」

「お嬢様も、下々の者を気遣う余裕が出てきたのですねえ」


ジーナはしみじみとしている。


「私は元々、思いやりがあるでしょう」

「そうですが、なんというか、柔らかさが出たと言いますか。楽団に入団されてから少し変わられましたよ」

「苦労しているもの。庶民は、全てを自分でやらねばならないの。しかも、彼らは仕事をしながら音楽を続けているのよ。彼らを少しばかり尊敬しているわ」

「そういうところですよ。ご立派です」


最初は練習から帰る度に、父と兄に心配されていたのだが、ルイーズが生き生きとしている様子を見るとだんだんと応援してくれるようになっていた。


父は、ルイーズの正体がバレては大変だと言って練習場の近くに建物を購入していたが、そこに商会を起ち上げていた。主に輸入品を取り扱う織物産業で人も雇っている。地方にあった会社をこの王都に移してきたという体にしてある。


「私が商家のお嬢様だという設定になってしまったから、本当にお父様が商会を起ち上げて下さったのよね。おかげであれこれ聞かれても答えられるわ」

「私も安心です。拠点があれば、いつまでもあのカフェでお嬢様をそわそわして待たなくて済みますし」


今は、練習時間の終わりに合わせてジーナが商会から迎えに来てくれている。あまり大げさにしたくなかったが、護衛騎士も付けられていた。護衛騎士は普段着姿にさせて商会の者だということになっている。


「それにしても、せっかくの休みなのに王宮に行かねばならないなんて最低だわ」

「まあ、そう言わず。ここのところ、楽団の練習があって殿下にお会いしていないではないですか」

「会いたくないわ。またリリアン様がいるでしょうし」

「お嬢様は殿下の婚約者ですよ。堂々となさってればいいのです」


気乗りしないまま、ドレスを着せられヘアとメイクを終える。仕上げに香水をまとうと、久しぶりに気合が入った気がした。


「仕方ないわ。行くからには婚約者らしく頑張りたくないけど頑張るわ」

「どちらなんです?」

「だって、目の前でキスしているところを見せつけられてごらんなさい。やる気なんて湧くわけ無いし、会いたくもないのよ」

「....お嬢様がご帰宅されたら、お気に入りのケーキをお出ししますから」

「私は子どもではないわよ」


覚悟を決めてルイーズは馬車に乗ると王城へと向かった。到着するとヘンリーが珍しく出迎えてくれている。馬車から手を携えて降ろしてくれた。


「ありがとうございます。本日は……いないのですのね」

「誰がだ?」

「分かってらっしゃるでしょう?」

「……」


(また、ダンマリね。殿下の口下手ってどうにかならないのかしら)


「今日は、お前のために楽団を呼んである。来い」


エスコートされ部屋に案内されると、30人ほどの室内合奏団の姿があった。


「今話題の若手楽団だそうだ」


一目見てサッと血の気が引いた。すぐに扇で顔を隠す。良く知っている顔ばかりであった。


「私……少し失礼しますわ。すぐ戻りますので」


(........なぜフルンゼ楽団がここに!?よりによってフルンゼ楽団を呼び寄せるなんて!)


慌てて控室に入ると、ジーナにベールを持ってくるように言いつけた。


「なぜ、キレイなお顔を隠すのです?」

「いるの!フルンゼ楽団が!殿下が呼び寄せたのよ。変装しなくちゃ!」

「えええっ!今すぐ探して参りますので!」


どうにか厚手のベールが用意されると、急いでベールに合う髪型に変える。扉をノックされる音がしてジーナが開けると、ヘンリーの従者であるリャビンが立っていた。


「どうかされましたか?殿下がお待ちですが」

「今、行きますわ」


ベールで前が見えにくくなっているから慎重に歩く。リャビンに手を引いてもらいながら会場に着くと、楽団の皆と少し離れた位置にルイーズの席が用意されていた。まわりを見ると、ほかにも見知った貴族達が招待されている。視線を感じた。


彼らの視線を避けながら席に着くと、ヘンリーにさっそくベールのことを聞かれた。


「なぜベールを被っている?」

「……あの事件のせいで私が見世物になるのを防ぎたいからですわ」

「………」


リリアンのキスのことを持ち出せば、文句は言わないだろうと言ってみる。案の定、ヘンリーは不機嫌になったが黙った。


ベール越しにレイニーやレウルスたちが楽器を持っている姿が見えた。あまり見えないが、緊張しているようだ。


(皆、いつも通り落ち着いていたら素晴らしい演奏ができるはず)


ルイーズはすっかりフルンゼ楽団の一員の意識があったので、ドキドキしながら演奏が始まるのを待っていた。すると、視界の端にピンクプロンドが映りこんだ。


まさか..........と思ったが、リリアンがヘンリーの横の席にちゃっかり腰を下ろしている。


(どういうこと?リリアン様の席も用意されていたの?)


一気に怒りが湧いた。ヘンリーがルイーズのために楽団を呼んだのだから当然、リリアンは来ないと思っていたのだ。


「リリアンは貴賓だから当然、出席する」


ルイーズの視線に気付いたヘンリーがぼそりと言った。


「........そうですわね」


少しばかりヘンリーの気遣いを評価しようとしていたのに、見事に裏切られた形になった。複雑な心境の中、演奏が始まったのだった。

ヘンリーはなにを考えているのでしょう


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