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変人しかいないアパートにて。不毛すぎるアタシの毎日  作者: コダーマ


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第50話 鉄ゲタ事件~不毛ヘンタイ兄妹参上!(2)

「わたしは細身の男が好きなのよ」


 お姉がそう叫んだ。

 そんなこと今更言うなよ、しかもうらしまに向かって。


「そのプニプニしたお腹を何とかしなさい」


 お姉から突然の断食命令。

 例によって「あふんっ」と身をくねらせるうらしま。


「試合前のボクサーみたいに、果敢に減量に挑戦する!」


 奴は宣言した。

 そしてそのままアタシの側を離れようとしない。


「何やねん。アンタのダイエット作戦に、否応なく巻き込まれるのはゴメンや。アタシは自分のことでいっぱいいっぱいなんや」


「そう言わずにがんばろうよ」


 ポン、とうらしまがアタシの背を叩く。


「イヤや。頑張れへんわ。ちょっ……何、その目?」


 うらしま、じっとアタシの足元を見てる。

 無理矢理鉄ゲタ履かされたアタシ──何ていうか、そういうプレイ的な感じが羨ましくてしょうがないらしい。


 かぐやちゃんにヒドイ仕打ちを受けて、アタシはすぐにお姉の元へ泣きついた。

 ズシンズシンと足音がすごい。


 階段を降りる時の激痛も想像を絶するものがある。

 鉄ゲタの重みで皮膚だけ千切れそうや。


「有無を言わせずってところがイイな。無理矢理履かされちゃったっていうのが。つまりそういうプレイ的な」


 妙なこと言ってるドM野郎。

 だからプレイって何やねん!


「……かぐやちゃんに頼めばいくらでも履かせて(貼り付けて)くれるで」


「何だ、その言い方。リカちゃんは、この微妙な受身の心理ってのが分かってない! 無理矢理履かされるっていうのがイイんだ。僕の身体は嫌がってるけど、そこまでされたら心は……みたいな」


「何言ってるんか、さっぱり分からへんわ。そんな微妙な受身の心理なんて」


 それも相手がお姉でないと駄目らしい。

 つくづく不憫な男やで、このM男。


 一緒にダイエットにはげもうよ、と奴にアパートの玄関脇に連れてこられた。


「イヤや。ダイエットなら1人で挑戦して。アタシも1人でやるから。これ以上ムカツク状況作りたくないねん」


「あふんっ・いち! あふんっ・に!」


 嫌がるアタシの目の前でM男は服を脱いだ。

 マイペースに腹筋運動を始める。

 動くたびに気持ち悪いあえぎ声が漏れるのだ。


 普通「フンッ! フンッ!」とか言ってやるもん(ちゃ)うの?

 何でこの人、常に「あふんっ」なの?


 それが連日続いた。


「リカ? あなた、見る度にグロッキーになっていくわね」


 お姉に言われたのは3日目のことだったか。


「まぁな…。精神的なもんや。あと、足が重くてな。ハハ……」


 アタシは中途半端な笑みを返す。

 この鉄ゲタ、24時間存在を主張する。

 想像を絶する苦痛や。

 寝てる時ですら足が重くて寝返りうたれへん。眠れん……。


 更に起きてる時はアパートの玄関先でうらしまと腹筋。


「恥ずかしいから別のところでやろうな」


 そう言っても義兄は聞く耳を持たない。


「アフンッ・いち! アフンッ・に!」


 ようやくアタシは悟った。

 この人は恥ずかしさを求めて、わざわざここで裸になって腹筋してるんだと。


「まぁ、駅から徒歩25分の田舎で、あまり人通りもないし。いいわ、もうどうでもいいわ」


 諦めてアタシも腹筋に精をだす。

 すると突然、周囲にざわめきが起こった。


「あっ! ホントにいた! 鉄ゲタ兄妹~♪」


 アタシらを指差して、子供らが携帯を向ける。

 パシャパシャ写真を撮られた。


「な、何や?」


 ランドセル背負ってる。小学生や。

 あっ、アタシのパンツ盗んで1─3に並べた奴らや。


「鉄ゲタ履いたオカシナ兄妹がホントにいた~♪」


「エロい声あげて筋トレしてる~♪ららら~♪」


「バーカ、バカバカバ~カ♪」


 ヘンな歌まで作られてるし!


「ち、違う! 誤解や! アタシはコイツとは兄妹違(ちゃ)う! 兄妹いうても義理の間柄やし。同じ血は一滴も流れてへんわ!」


 アタシは立ち上がり、子供たちに向かって大声を張り上げた。

 「きゃー!」と叫んで奴らは逃げて行く。


「リカちゃん、抗議するポイントはそこなんだ……」


 うらしまが背後で悲しそうにうなだれる。


「ち、違ッ! いや、あの……」


 正直言うと、その通りです。義兄よ、ごめんなさい…。


     ※ ※ ※ ※ ※


 アタシの細胞(足裏)が死んだのは、それから1週間が経ってからのことだった。



「トラウマ万歳~よみがえる不毛人生初期のころ」につづく

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