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変人しかいないアパートにて。不毛すぎるアタシの毎日  作者: コダーマ


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第41話 花阪G・妖精事件~不毛にツルっツル(2)

 じいさんのサラッサラの髪を切ってツルっツルにした妖精(?)がどこに隠れているか知れないと、慎重に植木鉢を持ち上げ、葉の裏まで確かめる。


 正直な思いを述べるとこれ以上新キャラはいらんわ、といった気持ちや。

 そう、特に人間じゃないヤツはな。


 アホの桃太郎にうらしま、法師にオキナ、かぐやちゃん。

 お姉にワンちゃんでさえも手を焼いてるところへ、花阪Gの登場やろ。


 この上妖精まで出てきたら、この話グチャグチャになるで?

 て言うか、アタシが疲れる。だってみんなキャラ濃いんやもん。


「……まさか法師の仕業違(ちゃ)うよな?」


 新たな弁当箱ハウスを快適環境にしようと、髪の毛を集め出した?(何でアイツのカーペットは人毛なんやねん!)


 いや、でもアイツは被害者を丸坊主にはしないからな。

 多少の慈悲と常識は持ち合わせているらしい。

 アタシも桃太郎も被害にあったけど、ここまで酷くなかったし。


「帰ったら念の為、法師に聞いてみるか。他に髪の毛集めてる妖精がいるかどうか」


 ブツブツ言ってたらワンちゃんがソロソロ入ってきた。


「やややっぱり、このアパート何かいるんでしょうかね」


「やっぱりって何や? 怖いこと言わんといて」


 結局1─3の幽霊騒動は近所のアホガキの仕業だったわけやし。

 まぁ何かいるって言えばこのアパート、色々ややこしい人がいっぱい居るんやけどな。


「そそ捜査しましょう。いいですか、リカさん。このアアアパートは実は政府機関の特殊事務所だったんです」


「は?」


「しし心霊捜査専門です。そういうカカカテゴリーなんですぅ。あああたしたちで捜査チームをくみましょう。何ですか、リカさん。その目は」


「え? あ、いや……え? 特殊な事務所?」


 アカン。ワンちゃんがヘンにノッてきた。

 やっぱりこの子、ちょっと変。


「どう? ようせいはいた?」


 そこへ今度は花阪Gが這ってきた。


「よ、妖精は見付からんかったけど……プッ!」


 アカン。笑ったらアカン。

 花阪Gの頭が、月光を受けてピカピカ光っている様がおかしくてたまらない。

 Gさんは目敏くアタシの表情を見て、傷付いたように顔をしかめた。

 大きな目でじっとこっちを見詰めてくる。

 無言だ。怖いったらない。呪われそうや。


「な、何もいないから、今日はとにかくお休み。明日、一緒に妖精探そうな」


 一緒に妖精を探す?

 何を言ってるんや、アタシは。


 ともかく上手いこと宥めようとしていたところへ、誰かがやって来た。

 廊下で「ガーッ!」と叫び声がする。

 怒っているらしい。


 ワンちゃんと花阪Gの怯えた声に、その人物は怒鳴るのをピタッと止めた。


「失礼します」


 入ってきたのは意外なことにカメさんだった。

 ズン……と落ち込んでいるのが傍目にも分かる。

 何とも鬱陶しい。


「ど、どうかしたん? カメさん、怪我してるやん?」


 カメさんは頷く。

 顔が真っ赤に腫れていて、髪の毛も乱れてる。

 ゼェゼェ息を切らす様からは、いつもの穏やかさは微塵も感じられなかった。


「あぁぁぁぁ、このひとこわいぃ」


 元気のない怪我したマフィアのオッサンを前に、花阪Gの恐怖は頂点に達した。

 アタシとワンちゃんの背後に隠れてしまう。


「頭をどうされましたか?」


 彼のピカッと光る頭を見てカメさん、何かを感じたらしい。

 突然懐からナイフを取り出した。


「ひぃあああっ」


「カ、カメさん?」


「俺も……俺も出家します!」


 カメさん、聞き慣れないセリフを口走った。


「しゅっけ?」


 止める間もない。カメさんは自分の髪をナイフでジョリジョリ切り出した。


「ま、また急に何してんの! 出家ってアンタ……!」


「俺は煩悩の塊です。一瞬、欲に目が眩みました」


 どうやら麻雀の点棒の配り方を巡って、かぐやちゃんと取っ組み合いの大ゲンカをしたらしい。


「でも、かぐやさんも良くない! あれは間違いなくイカサマです」


「いや、あの……カメさん?」


 恨みがましくブツブツ言いながらも、ジョリジョリと手元は進んでいる。


「ひぃあぁぁ……」


 目の前でイカついマフィアっぽいオッサンに出家されて、花阪Gは眼球をひん剥いてカメさんを凝視していた。


「で、でていけ! じぃのへやからでていけ」


「あっ、ちょっと! じいさん?」


 脇腹を押され、アタシらはまとめて部屋から追い出された。

 目の前でドアが閉まり、中からすすり泣くような声が響く。


「もぅいや。じぃはなにもみたくない。このよのなか、じぃにはつらすぎる」


「じいさん、アカン! 辛いけど、逃げたらアカン。これが現実なんや!」


 ドンドンと扉を叩くと、中から陰気な声。


「じぃのことはほっといて。あと、じいさんってよぶな!」


 こうして、花阪Gはますます引きこもるようになったのだった。



「リカ、ダウン!~その病の名こそ、不毛ワールド?」につづく

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