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変人しかいないアパートにて。不毛すぎるアタシの毎日  作者: コダーマ


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第37話 パンツを盗まれた!~桃太郎が指揮る不毛捜査(2)

「リリリカさん、がんばって」


「はっ!」

 ワンちゃんの絶妙な応援に、アタシは我に返った。

 そうや、桃太郎の言うことをいちいち真に受けてたらアカン。

「桃太郎、アンタは黙っといて。捜査なんて必要ない。犯人はもう分かってんねん。うらしま、アンタやろ? アタシのパンツ返して!」


 パンツドロボウなんて、変態のコイツしかいない。

 しかしうらしまはグッと眉間にしわを寄せ、心外だというようにアタシを見る。


 こ、これは初めて見る表情や。

 疑われたことに対して、ちょっと怒ってる?


 アタシのパンツに興味はないって?

 アタシのパンツを盗ることは絶対にないって?


 そ、それでいいねん。間違ってない。

 けど、何かちょっと……アタシなりにショックなのは何でや?


「ま、まぁいいわ。容疑者は他にもいるからな」


 うらしまに向けていた疑いの目を、今度はオキナに。


「な、何さ。ボクはパンツそのものに興味がないんだよ? 根っからのノーパン主義なんだから! パンツなんて、一枚たりとも必要としてないよ。第一、キミのパンツなんて……」

 上唇をめくりあげてブフッと笑う。

 アタシ、完全に見下されてる。

「かぐやちゃんのかぐわしいパンツならともかく、キミの黄ばんだパンツなんて素手で持つことすら躊躇われるよ」


「だから黄ばんでない……って、何でそこまで言われんとアカンねん。アタシは被害者やで!」


 悲しいったらない。

 こっちは突然パンツを盗まれ、不便やし腹立つし。

 加えて言い知れぬショックと恥ずかしさに耐えてるのに、みんな好き勝手に言い出した。


 以下、容疑者たちの証言だ。まずはワンちゃん。


「あああたしの下着は大丈夫でした。いざという時の為の勝負パンツもまっさらのまま残ってました。はは犯人は何故、リカさんのパンツのみを狙ったんでしょうか?」


 ワンちゃん、大胆なことをサラッと言った。


「わわわ若いからでしょうか?」


「ガードの緩い女を狙ったのよ」


 お姉、ソレは妹に言うセリフ違うで?


「関西の田舎と違って、ここはトーキョーよ。出かける時はちゃんと鍵をかけなくちゃ」


「鍵はかけたって。関西バカにすんのやめてぇな、お姉。言っとくけどアタシらの実家、ここよりずっと都会やで。知ってるやろ?」


 第一、東京を『トーキョー』って言ってる時点で首都圏に対する劣等感丸出しやわ。


 お姉はオホホと笑った。

 アカン。この人はアタシが困ってる様を見て楽しんでるだけや。

 根っからのSや。関わったらアカン。


「ほ、法師は?」

 まさかと思ってガラリと押入れを開ける。

「法師、違いますよね? アタシのパンツ盗ったんは」


 弁当箱の中でぐっすり寝ていたらしい小人は、目を擦りながら「違うでゴザル」と言う。


 うん、嘘はついてないみたい。

 これだけ大騒ぎしといて、まさかうちの押入れに住んでる小人が犯人でしたってことになれば、何故だかアタシもいたたまれないもん。


「も、桃太郎、アンタは? アタシのパンツ盗ってない?」


 念の為に問うと、桃太郎は血の気の引いた壮絶な表情をした。

 参考までにカメさんにも聞くと、こちらも顔を引き攣らせている。

 何やねん! みんな、アタシのパンツに対して不快感出しすぎや。


「これからアパート中を捜索するぞ!」


 元より人の話を聞きもしないかぐやちゃんが突然、ヘンな方向見て気合いを入れてる。


 ちょっと待って。

 何でアンタが突然指揮りだすの?

 非常事態勃発でこの人、突然イキイキし始めたようだ。


 そんなわけで、アタシらはここにいるみんなの部屋の捜索を始めた。

 つまり1─1、1─4、2─2、それからかぐや小屋(ハウス)


 みんなでゾロゾロ各部屋を回ったところで、アタシのパンツが見付かるわけもなく、第一どこを探していいかも分からない。

 もしこの中に犯人がいるなら、もうちょっとマシな所に隠してる筈や。


 みんなに「♪リカのパンツっ、黄ばんだパンツっ」「♪いや、そんなに黄ばんでないらしい」とか言われながらの行軍は、アタシにとっては逆に拷問になった。


「アタシのパンツ、そんなに魅力ないかなぁ。大して黄ばんでないけどなぁ」

 何故だかアタシが落ち込むハメになった。

「もういいわ。アタシ、パンツあきらめる。むしろ、いたたまれない気分や……」


 段々と気が滅入ってきた。

 うらしまなら、自分のパンツが盗まれたら逆に喜々とするんやろうな、

 こんな状況を喜びに変えられるうらしまは逆にすごいな──とか、つまらない考えが浮かんでは消える。


「リカちゃん、泣き寝入りはダメだよ。ププッ。警察に届けようよ」


「もう放っといてぇな……」


 オキナがアタシの背を叩く。


「負けちゃダメ。戦わなきゃ。ボクたちも応援するから、ブフッ!」


 クソゥ、腹立つわ!

 オキナはプッと笑いながら更に続ける。


「感電少女、パンツを盗まれる! なんてネット上で嘲られても気にすることないさ。プッ!」


「クッ……!」


 コイツが困ったり落ち込んだりした時、絶対に笑ってやろう。

 アタシは固く心に誓った。


 何となく自然に足が止まったのは、オキナの笑い声が途切れたからというわけでもないだろう。

 そこはある部屋の前。

 表札はない。1─3とひび割れたプレートが貼られているだけだ。


「こ、この家は……!」


 オキナが悲鳴に近い叫びをあげた。

 ひどく怯えている。


「ダ、ダメだよ、ここは……。ここは……っ!」


 1─3号室──そういえばこの部屋、良くないモノが住んでるって噂が……。

 何ともキナ臭い、嫌な空気をアタシは感じた。



「霊感少年G登場~不毛か呪いか、右足は骨折か?」につづく

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