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変人しかいないアパートにて。不毛すぎるアタシの毎日  作者: コダーマ


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第29話 不毛大作戦!2~テロだか何だか、かなりヒドイかんじ(1)

 ゴゴゴ……地鳴りのような音が響く。

 かぐやちゃんの腹が鳴る音だ。

 もうイヤや、この音。


 そんな中、お姉はこう宣言した──是が非でも! かぐや様とのデートにこぎつけるわ!


 2人でゲームセンターに行くと言い張るのだ。


「やめとき! 特にゲーセンなんてやめとき! 格ゲーなんてやってみ? お姉のディープな一面見られて、不審がられるのがオチや」


「大丈夫。我を失うようなゲームには手を出さないわ! 格ゲーも、クレーンゲーにもね! ただ、一緒にプリクラ撮るのが夢なのよ」


 悲しい夢やで、それ……。


「それもアカンって。プリクラが光った瞬間、テロだーって騒ぎ出すわ。目に見えるようや」


 しかし案の定、お姉はアタシの言うことなんて聞いちゃいない。


「かかかぐや様とのデデートのお膳立てをなさい。そしたら家賃1年分、無料(タダ)にしてあげるわ」


 ワンちゃん、伝染ったん?

 お姉の声はワナワナ震えている。


「ム! 家賃1年タダ? い、いや、だからアカンって。いくらお姉でも、あの人に関わったらアカン! そもそもお姉には旦那さんいるやん!」


 残念ながら変態のうらしまやけど……。


「何でよ。桃太郎とワンのは見守り隊まで組織したくせに。わたしとかぐや様は真っ向から反対するなんて。さてはあなた、かぐや様の美貌に……!」


「ち、違う! 何て目つきしてんの、お姉。言っとくけどアタシ、かぐやちゃんなんてイヤや! 悪いけどイヤや! いろんな意味でイヤや!」


 抵抗空しく、遂にアタシは家賃タダの誘惑に屈した──って、今1円も家賃払ってへんけどな?

 払う資力もないけどな?


 何にせよ、お姉は怖い。絶対逆らえへん。



     ※ ※ ※ ※ ※


「知ってるかい、リカちゃん。かぐや様は殺人マシーンで、目から光線が出るらしいぞ」


 何故かアタシに付いてきたうらしま、変なこと言って本気で怯えている。


「アンタが一番分からんわ。ていうか、情けないで? 何で恋敵(?)を様付けで呼ぶねん。かぐや様て…!」


 こき下ろしてもうらしまは平気な顔してる。


「何とかデートのお膳立てをして、乙姫サマのお役に立ちたいんだ!」


 まるで忠犬や。

 なんでこの人とあの人が夫婦なのかが不思議でしょうがない。

 SとMの相性がピッタリだって、神様が巡り合わせてくれたとしか思えへん。


 むなしいことこの上なしや。

 それに付き合わされるアタシの身にもなってみて?


 どんよりした気分のまま、アタシたちは1―4号室前までやってきた。

 中で人の気配がする。

 さっきまで廊下にうずくまっていたオキナも、さすがに室内に戻ったのだろう。


 そもそもお姉がかぐやちゃんとのデートを焦るのは、オキナに対抗してのことらしい。

 悲しいし、何か間違っている。

 まさしく不毛な恋愛バトルや。


「邪魔すんで、オキナ」


 カギが開いていたので中に入る。

 ピューっと心地良い風がアタシの顔を撫でた。


「涼しいなぁ。あ、この部屋角部屋だから窓2つあるんや。いいなぁ」


「あ、リカちゃん? いらっしゃーい」


「アタシの部屋は2-1やけど、壁の向こうに倉庫と階段があるから建物の端っことは違うねん。窓も1こや。やっぱり明るさも(ちゃ)うな」


「あー、そうなんだー?」


 言いながらアタシの前をウロウロする赤毛男。

 激しい落込みからは一応脱したように見える。


「──ちょっと待ってや」


「何か?」


 オキナは水色パンツ(ブリーフの方)一丁だったのだ。


「オキナ……アンタ、決してパンツをはかないという主義を捨てたんか?」


 いや、あんなことがあったんや。

 無理もない。

 でも、だからって見せ付けるように水色ブリーフってのは……。


「ヤだなぁ、コレは見せパンだよ」


 シレッとした顔で言いやがる。


「いや、見せパンってのはチラッと見える的な……なぁ?」


 何て言っていいか分からず、アタシは隣りのうらしまの腕をつついた。


「そうだ。君は微妙なチラリズムの極意を分かってない!」


「………………」


 あぁ、アホが語りだした。

 アタシにフォローはできんわ。


 オキナはパンツ一丁でせっせと鼻をかんでいる。

 すごく矛盾した行動だと、アタシは思った。


「それにしてもアンタ、16歳のうら若い乙女の前でよくそんな格好できんな」


 精一杯の皮肉を込めてそう言うと、奴はチラッとアタシを見て「ハハッ」と低い笑い声をあげた。


 ムカツク奴だ。

 水色パンツを恥ずかしがるでもなく、更に左右に引っ張って「スズシイ~」と風を送り込んでいる。


「で、何の用なの? 珍しい組み合わせだけど」


 アタシとうらしまを交互に見比べている。


「いや、あの……まぁな」


 裏庭へ行く通路が電化製品に埋まっていて通りにくい上に、正面からあの人に会いに行くのも恐ろしい気がしてな。


「?」


 ちょっとゴメンな、とアタシは裏庭に面した窓辺へ寄った。

 目の前が竹やぶ。

 涼しげでいい感じや──うず高く積みあがる電化製品の山がなければ、の話だが。

 それらの向こうにかぐやちゃんの住処が見える。


「何であの人、こんなに家電ゴミ集めてんのやろ」

 お姉の部屋も大概汚いけど、レベルが違う。

 いや、質が違う。

「まぁいいわ。うらしま、例の」


 目で合図をする。


「ハイッ!」


 うらしまは窓辺に走ってきた。

 コイツ、慣れれば忠実や。

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