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月の子供達の帰還  作者: 七田手鞠
3/23

労働3

 月はいい。もし月に行ったならば誰にも邪魔されることなく思索に耽れるし下らない人間関係や妻のことで頭を悩ませる必要が無いだろう。

 そんなことを考えていたら緊急サイレンが鳴り響いた。どうせ大型海洋生物が出たので注意喚起のサイレンだろう。わりと頻繁にある事だ。

 従業員の控え船室には自分しかいない。柳田は上司のところか、客向けの船内放送を流しにに行ったかどちらかだろう。

 緊急サイレンが鳴ったので一応マニュアルにある有事の備えをしながら放送を待つことにした。

 3分たった。

 サイレンがなった後から徐々に船の揺れが激しくなってきている。

 船内放送は流れないが、部屋の外には異様な雰囲気が漂っていた。なにか遠くで悲鳴のような叫び、ガンガンと何かを叩く音、そして一際大きな船体に何かぶつかったような音。

 何度も何度も船室が揺れ、あわや転覆するかと思うほどの激しい揺れのなかで身体を支えるのに必死であった。

 こんな状態になると言う事はやはり海洋生物なのだろう。普通は誤って接触した程度のことでここまで揺れる事はないのだが。ようやく揺れがちいさくなってきた頃には、外の悲鳴はすっかり聞こえなくなっていた。


 揺れがおさまってきたので、息を整えて立ちあがろうと試みたが、体に力が入りすぎて手すりをつかんだ腕が動かなくなっていた。

 震える自分の手を手すりから引き剥がして外へ出ると、外はすっかり白んで朝になっていた。


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