月面の温室
大きな声で叫んでみるとなにやら茂みの影が動くような気配がする。もしかして存外早く子供たちが見つかるのかもしれない。希望を胸に茂みのほうへ近寄る。後ろではジーバが危ないと騒いでいるようだが特に気にしなくていいだろう。すぐにでも子供を連れかえることが最優先だ。
「本当に危ないっす! ここには●※△がいる。だからそいつはあぶない」
とっさの事で宇宙後がでたのかわからないが、何が出るのかよく聞き取れなかった。がさがさと茂みをかき分けて出てきたのは小さな男の子だった。
「……あの、助けに来てくれたんですか?」
そんな風に聞いてくる男の子は不安そうな顔をしていた。置き去りにされてから何日もたっていないとはいえ子供だけで心細かっただろう。
「そうだ。助けに来た。残りの子たちの場所はわかる?」
「はい、わかります! 今はほとんどみんな中央の管理棟にいるんです」
「ほとんど?」
「どこに行ったか分からない子がいるんです。みんなで手分けして探していたんですが……。なかなか見つからなくて」
「そうか、もう安心していいぞ。俺は藤島だ。君の名前は?」
「ウノです」
「じゃあ、ウノ君。詳しく説明してほしいから皆のいる中央管理棟に案内してくれ」
「わかりました!」
ウノ君は中学生くらいだろうか。自ら外に出て友達を探しに行くとはなかなか根性がある。この温室は正直に言うと薄暗く、青白く光る植物たちのせいで大人の俺でも不安になるような雰囲気の場所だがこの子は本当にすごい。
「それじゃウノ君、移動しようか」
行く前になんとなく地図を読んでいたおかげで中央管理棟がどのあたりにあるのか見当がついていたが場所が分かっている子のほうが詳しいだろう。うすぼんやりと光る植物を脇に身ながら、おれたちは中央管理棟への道を歩き出した。




