異星の大地2
月面用のホバーで移動するとなったとき、方向がわからなくならないか不安になったが観光地化していただけあってポールのようなものが目印のようにたっていたので迷うことはなかった。月の大気はほとんどないようなものなので風や砂塵におおわれて目印が見えなくなる心配は無い。俺とジーバの乗ったホバーはまるで地球の道路を走っているような快適さで目的地に到着することができた。
子供たちが行方不明になった月面植物園の入り口はレストエリアと同じように巨大な岩盤に覆われていた。道は中に入っていくごとに傾斜がついており、砂の入らないように少し山なりになった後に地下へと続いていた。
「真っ暗っすね。本当にここなんですか?」
「そのはずだ。みんな避難して電力の供給がとどこおっているのかもしれない」
壁際にあるボタンを押すと、坑道煮付けるような強い明かりがあたりを照らした。
「子供達を探すって言ってたっすけど、何人くらい意遭難したんすか?」
「ラジオで聞いた限りでは6人いなくなったらしい」
「6人っすか。オッケーっす」
カエルのような目をくりくりさせながらジーバは胸をたたいた。自分が見つけてやると言わんばかりの気合いだ。なんだかすこしくすぐったいような気持ちになった俺は黙って歩くことにした。しばらく歩いていると明かりのついていた場所がおわり、かなり広い空洞に出ることになった。
「ここが温室か?」
温室というのはあまりに奇妙な場所だった。日の光がたっぷりあたるような場所を想像していたが、うす暗いその場所は温室というにはジメジメしすぎているように思えた。なぜ日の光がないのに全貌が見えたのかと言うとところどころに生えている植物のいくつかが淡く発光しているからだ。一つの種類が発光しているわけではなく、いくつかの別の植物があちこちで発光しているような感じだった。まるでルナメタルで作られた光輝丸のような発光のしかたをしているな、と思った。
「きれいな場所っすね」
「見たことのない植物ばかりだから気をつけろよ」
「わかったっす」
淡く発光した植物に囲まれた大通りを俺たちはゆっくりと歩きだした。
「おーい、誰かいるか!? 助けに来たぞ!」




