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【電子書籍化】音が嫌いな令嬢はただ静かに暮らしたい〜追い出されるように嫁いだ先で人嫌いな冷酷強面公爵様に無意識に溺愛されました〜  作者: 景華
第3章 嫌音令嬢、辺境で幸せを掴む

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メレディア、幸せへの道③

いつも応援いただきありがとうございます!!


 最初はダイニング。次はコスメブティック『レイランフール』。


 いったい決闘はどこで行われるんだろう?

 早く囚われのロイド様を助けに行かないと……!!

 そう思いながら花屋『レフラ』を目指す。


 それにしても、流石に朝起きてから重たい剣を抱えて移動を繰り返していると疲れる。

 もともと前世でも今世でも引きこもり属性の私は、体力が恐ろしいほどないのだ。

 ……うん、少し、運動するようにしましょう。


 息を切らしながらもようやく花屋『レフラ』に到着した。

 色とりどりの花々が店先を飾っているのを見ると、春になったことを実感する。

 少し前までは大雪で花屋は閉まっていたから。


「おっ。奥様、来たか」

「奥様、おはようございます」

 待っていたのはまたも番長などではなく、ベルゼ公爵家の庭師夫妻であるラグーンとトルテ。


「あなた達、どうして……。……はっ!! まさかまたカードが!?」

「ご名答〜!!」

 やっぱりというかなんというか。

 作業用のつなぎのポケットから取り出されたのは、朝からもう何度も見たカード。


『中央広場にて待つ』


 やっぱり──!!

 今度は中央広場!?

「……私の体力、保つかしら……」


「はい、奥様。これ、持って行ってくださいね」

 そう言ってトルテが手渡してくれたのは、薄桃色と白色の花で束ねられた花束。

 前世でいうならば白の花は霞草のような花で、薄桃色の花は花びらが丸みを帯びた、薔薇のような可愛らしい花だ。

 とても可愛らしく春らしいイメージのそれに、思わず頬が緩む。


「ありがとう。とっても綺麗……。それにいい香りね」

「ふふ。気に入っていただけたなら嬉しいです。このお花、ラグーンと二人で『いつか旦那様が結婚された時、結婚式で使おう』って植えた花なんですよ」

 優しい眼差しで私の手にある花束を見つめるトルテに、ラグーンも頷く。


「あぁ。なのにあの人、突然結婚式を挙げて花の用意すらしなかったから、結局渡せないままだったんだよな」


 この世界の結婚式のブーケは、夫となる者が妻のために用意する。

 妻となるものは、どんなブーケをもらえるのかワクワクしながらその日を待つのだ。

 私は最初はこの結婚について、特に愛だの恋だのを期待していたわけではないからそんな感情はなかったけれど、今の旦那様との関係だったならば、きっと世の女性達と同じようにワクワクソワソワしながらその日を待ったことだろう。


「髪にも挿しておきますね」

そう言ってトルテは作業台に置いてあった数本の花を短く切ると、さっきレイ達がアレンジしてくれた私の髪へと挿して飾っていく。


「二人ともありがとう。なんだか今日はいろんなところでいろんなことをしてもらってばかりだわ」


 ……ってちょっと待って。

 私、こんな話、前世で読んだわ。

 確か、レストランでいろんな注文を客側に出して、準備して行った先で──。


 客の方が料理だったっていう……!!


「そうはさせないわ……!! ありがとう、二人とも。私必ず勝ってくるわね!!」

そう言って右手に剣、左手に花束を持ち掲げる。


「は?」

「え?」


 ぽかんと口を開ける二人を残して、私は鼻息荒く中央広場へと向かうのだった。



本日3回目の更新!!

あとは明日、完結まで更新いたしますのでお楽しみに!!

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