表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【電子書籍化】音が嫌いな令嬢はただ静かに暮らしたい〜追い出されるように嫁いだ先で人嫌いな冷酷強面公爵様に無意識に溺愛されました〜  作者: 景華
第2章 嫌音令嬢、歩み寄る

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/61

イメージトレーニングの成果〜戦闘編〜

本日三度目の更新!!


「では、こっちへ来てもらおうか、メレディア嬢も」

 リーダー角の男が私に声をかけて、私はそれに至って冷静に表情を変えることなく答える。


「えぇ。いいわ。──行かせられるものなら、ね!!」

「何!?」

 私は素早くドレスの裾を捲り上げ旦那様へと予備の剣を差し出すと、旦那様、そして賊達は貴族女性のその思い切った行動に目を丸くしてから、旦那様は僅かに頬を染め、差し出した剣を受け取り鞘から剣を引き抜いた。


「予備の剣、だと!?」

「うちの妻は優秀だろう? ……隠し場所はともかく」

 咄嗟に隠せるのがそこしかなかったんだから仕方ないじゃないか。


「さぁ、大人しくやられてくれよ──!!」

 言うや否や旦那様は賊の塊へと大地を蹴り走り出す──!!


「はぁぁぁぁあっ!!」

 旦那様の剣が男達を容赦なく襲う。

「ぐぁっ!!」

「うあぁっ!!」

 次々と倒れていく男達。


 すごい……。強い……!!

 屋敷では本を読んでいる姿は見ても剣を振るう姿は見ることがなかったのだけれど、剣術にも優れているのね、旦那様。

 次々と男達の屍の山が築かれて行くのを呆然と見ていると、突然私の右手が強く掴み上げられた──!!


「っ……!!」

「メレディア!!」


 私の手を掴むのはいつの間にか私の方へと回り込んでいたリーダー格の男。

 三日月型のにやけた瞳で私を見下ろしてから、旦那様の方へと声を上げた。

「はっはっはっはっ!! メレディア・ベルゼはこちらの手にある!! 大人しく投降──」

「しなくて良いですからね、旦那様」

「は?」


 落ち着け、メレディア。

 私が旦那様の足枷になってはいけない。

 大丈夫よ、メレディア。

 前世でベッドの上で護身術の本だってたくさん読んだじゃない。

 自分の身は、自分で守らなきゃ……!!


「今こそ前世で培ったイメージトレーニングの成果を見せる時!! 必殺!! 四方投げ!!」

 相手の力を利用しながら円を描くようにして力を回転させていく。

 流れるような足の動き。

 私は──(妄想の中では)合気道のプロだぁぁぁぁっ!!


 ドォォォォォォォン!!


 綺麗な円を描いてリーダー格の男は私の足元に倒れ込むと、そのまま目を回して伸びてしまった。

 見たか。イメージトレーニングの力。


「嘘だろ……」

 旦那様の呟きがしんと静まり返ったその場に響いた、その時。


 ドガァァァァン!!


「!?」

 突然の雷鳴と共に、大きな地鳴り。

 近くに落ちたのだろうか?

 空を空を見上げればいつの間にやら真っ黒い雨雲が──。


「降りそうだな……。とりあえずこいつらはそこの木にでも縛っておくか」

 そう言うと旦那様は徐に胸元に手を入れてから、そこから細くて長いロープを取り出した。

何てものを何てところに入れてるの!?


「ずっとそんなもの仕込んでたんですか?」

「あぁ。細いが強度は保証されている優れもので、何かがあった時のためにジャケットの隠しポケットに入れている」

 言いながらすぐそばの大木に淡々と賊をくくりつけていく旦那様。

 あっという間に大木の賊巻きが完成した。


 すると、ぽつりぽつりと空から雫が溢れて、それはすぐに激しいシャワーとなって私たちに降り注ぎ始めた。

「チッ……降り始めたか……!!」

 旦那様はジャケットを脱ぐと私の頭に被せ、それからぐるりと辺りを見回した。


「あそこで雨を凌ぐぞ!!」

 旦那様が指さした先を見れば、少し山を上がったところに山の管理小屋が建っていた。

「はい!!」

 私が走ろうとドレスの裾をたくし上げた瞬間「馬鹿!! お前はこっちだ!!」焦ったような声がして、同時に私の身体はふわりと旦那様によって抱き上げられた。


「へ?」

 何?

 この状況。

 お、お姫様抱っこっていうやつじゃ……!?


 頭の中を混乱させたまま、私は旦那様に抱えられ山小屋へ向かうのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ