035 騙し合い 道中
ティグから十分距離を取ったと思い、大熊の毛皮をアイテムボックスに入れた。
「ティグには悪いが、俺は十分得るものがあったからそう気を病む事は無いのに」
大熊との戦いで俺は面白いスキルがストックされた。
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ストックスキル
『体』アップ 0/3
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『体』の基礎値をアップさせる恐ろしいスキルだ。これがあればもう『体』にポイントを振らなくても良くなる。俺のもっとも優れた基礎ステータスなのが残念だが、強敵と戦っていればいずれ『心』アップと『魂』アップが手に入るだろう。
早い段階で取得して今後のレベルアップ時のHP上昇に役立てるべきなんだが、ポイントの残量からして余裕が無い。ポイントを増やすためにダンジョンを攻略すると言う本末転倒な事になりそうだ。それにダンジョンのソロ攻略は流石に無理だ。Eランクなら攻略できるかもしれないが、攻略しても1ポイントしか手に入らない。コスパが圧倒的に悪い。
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名前 アッシュ
種族 人間(15)
職業 ダンピール1、プロトブレイバー5
位階 6/19
HP101/101
MP 62/62
SP 2/14
体 64 (12/20)
技 46 ( 9/20)
心 26 ( 5/18)
魂 36 ( 6/18)
複合スキル
試作勇者
└05/10 限界LVアップ、取得SPアップ
└02/05 スキル操作
ダンピール
└01/10 剣術
└01/05 吸血、毒耐性
└01/03 マナ呼吸、暗視
個別スキル
生活系
└03/05 共通語
戦闘系
└05/10 槍術
└01/05 跳躍 (NEW 猪戦前)
特殊系
└03/10 アイテムボックス (UP サウル戦前)
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やっとHPが大台の100に乗った。これで多少は攻撃を食らっても即死しないはずだ。MPはレベルを考えれば優秀だ。俺の基礎ステータスが低いから本来はこの半分だと考えると手放しに喜ぶ。
トビーの命を救い、大熊との戦いではMVP級の活躍をした『跳躍』だが、スキル枠の圧迫は痛い。スキル枠に余裕が無いから『『体』アップ』を取得できない。
「ちっ、レベル8で伸ばすのは『魂』一択か」
俺は舌打ちした。スキルレベルは大事だが、ダンジョン攻略で得られるスキルポイントで伸ばす事が出来る。基本的にレベルアップ以外で伸ばす方法が無い基礎ステータスは実に面倒だ。『『魂』アップ』の様なルルブに載っていなかった神スキル持ちを倒せれば最高だが、そう言うレアスキルには中々巡り合えない気がする。
「デグラスに着く前に上がったスキルの確認をしておくか」
『限界LVアップ』と『取得SPアップ』は名前の通りだ。それより『ブレイブシステム』が遂にレベル2に上がった。どんな効果があるのか楽しみだ。
・スキル所有者のストックスキルを消費して自身に新スキルを取得させる事が出来る。
・スキル所有者のスキルレベルを8まで上げられる。
・他人のレベルを5まで上げられる。
「微妙だ」
俺のスキルレベルキャップが少し解放されたが、それ以外は移り映えしない。ストックスキルの存在から他人にスキルを取得させる事が出来ると邪推していたが、その前段階とも言える他人のスキルレベルアップが来た。ソロで動いている俺には嫌がらせの様な効果だ。それに他人を強化したら俺の唯一のアドバンテージをドブに捨てるが如くだ。『プロトブレイバー』には助けられているが、スキルの仕様はとことん俺だけにハードモードみたいだ。
「上がらない」
嘆いても仕方が無いので『槍スキル』をレベル6に上げようとしたら、スキルを選択出来なかった。『ブレイブシステム』を再確認したが、「レベル8まで」と書いてある。
「まさかスキルのレベルアップ条件を満たしていないとポイントを振れない!?」
条件が何かあるのか? だがそんなのはルルブに無かったぞ。森を歩きながら独り言を喚く。誰かに見られたら距離を取られそうだ。
こういう時はクロードの記憶が役に立つ。そう思い、クロードが辛くも幸せだった子供時代の記憶を掘り起こす。家庭教師役をやっていた祖母の話に何かヒントがあるはず。二人のやり取りを見ていると自然と涙が流れるが、今は無視だ。祖母は既に殺された。あの時の事を思い出しても今は役に立たない。
「ん、まさか位階か?」
クロードが祖母がどれだけ強いのか聞いた時に祖母は「スキルレベル6は全員位階10以上」と言っていた。俺の位階が10になれば『槍スキル』のレベルも6に上げられるのか。なんて糞仕様だ! 『ブレイブシステム』使えない。
余りの事に地面に手をついて一時間程動けなかった。
「逆に考えよう。残っている2ポイントとレベル9までに取得する3ポイントを他に使えるって事だ」
今度はスキル取得数にぶち当たったので頭を抱えた。
「レベルだ! レベルアップして敵を殴れば全部解決だ!」
勝算無しの狂った理論で突っ走るのはブラック企業時代の俺には平常運転だ! ゴブリンだろうとダイアウルフだろうと全部倒してやる。でもダイアベアは勘弁してくれ。
そんな正気かどうか疑わしい精神状態で10日ほど森を彷徨った。
そして遂にデグラスを視界に納めた。
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