表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺は脳筋じゃねぇ!〜辺境群雄・オストベルゲン立志伝〜   作者: 丸一
0章 人生把握編〜やだ。我が家って脳筋蛮族なの?〜
7/16

教育開始 簡単な国と領土の歴史(前)

説明回というか。設定回。今回は前編。後編は現在読み直しと修正中。夕方には後編を投稿できそうです。

 オトワットがなんかと胃痛を持ち直したのと入れ替わるように、カールが魔獣出現の報告を受け嵐のように出撃していった。


 「アドルフ様。場所を変えましょうか。さすがに疲れました。」


 心の中にホロリと涙を流したアドルフは、オトワットに手を引かれて別の部屋に連れて行かれた。ついた場所は、実用を重視しているが、多少は内装を気にして安心感を与える書斎だった。


 「コチラは私の城内での私室でございます。」


 なによりアドルフが安心したのは多量の本があることだった。本以外にも手製の冊子や、帳面らしき物がアドルフの心に安心をさらに満たしていく。


 「どうやらお気に召したようですな。っくぅ。」


 本に興味を示したアドルフに感極まるオトワット。その様子を見て2歩程下がろうとしたが、手を握られていて不可能だった。


 「し、失礼しました。先代様も、カール様もほとんど興味のあるものしか見てくれず。読むものも軍記や武芸書。確かに伯爵並領は武門の家系。そして、常に魔獣や侵攻に対して武力が求められますが、毎年何処かで水害や不作、物資不足が・・・失礼しました。」


 「えっと、わからないから教えて下さい。」


 興奮するオトワットにもう一回、下がろうとしたが手を掴まれていることを思い出し、諦めて教えを願う。

 深々と謝るオトワットはアドルフを椅子に座らせお茶と茶菓子を持ってこさせる。まぁ、味は日本人からすればマズイものであってが、栄養だけの餌みたいな離乳食を食べてたアドルフからすれば甘みがあるだけ十分だった。


 「先程は失礼しました。まずはこの国の成り立ちを〜〜」


 オトワットは子供にわかりやすい言葉を用いて地図を取り出し、国の説明を始めた。


 (地形や川の位置とかの違いはあれど、まんま欧州だな。)


 地図を見たアドルフが抱いた感想は淡々としたものだった。エウロペ帝国と聞いたころから予想していたものが当たりだった。前世でも地図を見る仕事についていたので、昔取った杵柄。と、大きな地形を特徴を頭に叩き込んだ。


 「〜〜を制して、初代王となったのは西フランクの〜〜それに対して各国が〜〜」


 どうやら現代日本風にいうならば、西フランスがフランスを統一し、王を自称。そのまま各国の侵攻を防ぎ、初代皇帝となった。


 「〜〜エウロペ帝国を成立させ各国に〜〜侵攻を続け〜〜現在の領土を〜〜」


 そのまま神話再現を狙い四方に同時侵攻。各国相手に勝ち続けたが、初代皇帝が死んだことにより停止。


 「そのまま3代停滞が続きますが〜〜5代目様が侵攻を開始して〜〜」


 5代皇帝が統一事業を再開。南はスイス、北イタリア。西はカタルーニャやアラゴン。東はドイツ。・・・まぁ、ヨーロッパのような地域の大半を征服したというわけだ。


 「ですが、またしても皇帝が急死してしまい停滞、その後、8代皇帝に仕えたディスベルト様が武功を立て続け、騎士と成り上がりました。」


 どうやら家祖・ディスベルトは功績と強敵を求めながらも、報奨をねだらず、武功を誇らない人間だったらしいが、かなり残忍で、騎士道とは遠い人間だった記録があるらしい。


 「その後、アドルフ様の曽祖父様が現在の領土を奪いまして、男爵家を立てました。これによってオストベルゲン家が生まれました。」


 オストベルゲン家は軍事的に特異な才能と武功を立て続ける家というのは間違いなかった。話を聞く限り、まさか中世時代に強襲上陸してから占領なんて言葉を聞くとは思わなかった。


 「いや、本当にあったの?」


 思わず疑問を投げかけるアドルフだったが、「色々な記録がありますから。」と言われてしまい、本日だけで、常識を何度か棚に上げた。


 「簡単に説明をしましたが、何かご質問は?」


 「大丈夫です。」


 「なら、一旦休憩しましょう。」 


 冷えたポットの紅茶を交換してくれるオトワットはそう告げて、席を立った。




 

 オトワットが席を立ったので部屋で一人になったアドルフは机に突っ伏した。


 「大帝国の中の武功著しい家。」


 (と、聞けば不安は減るんだけど。そうじゃないよなぁ。)


 説明前にオトワットがトラブル続きと言った点、それだけの武功の家なのに長子の誕生日に他の貴族などが現れない。


 (主流じゃないのか。干されてるのか。関わりたくないのか。)


 多分、関わりたくないんだろうなぁ。頭を抱えるアドルフは悩む。転生ものの小説なら「前世の技術や知識で無双!」とかなるのだろう。だが、手放しで褒めてくれるカールや家臣たちも『急激な変化や突飛な技術』など教えてしまえば反発する。……するか?いや、「さすが若様」とかノリと勢いでなんとかなりそうな気がする。


 (だけど周囲。宮仕えなのは間違いないから技術が出来たら盗まれるならともかく、奪われるかもしれない。この世界にも天才は居るだろうし、余計なことはしないほうが良いかもしれない。)


 前世でもゲームはちょこちょこやったが、NPCのように決まってる動きや思考を生きた人間はしない。分からないことだらけで頭が痛くなってきたので、アドルフは棚上げした。心と思考の棚はそろそろ崩れないか心配だ。

 アドルフは天才でも無ければ、英雄でもない。元々は単なる公僕だ。できれば専門は専門家に任せたい。


 「おまたせしました。アドルフ様。」


 ちょうど良く、悩むアドルフが一息ついた時にオトワットが温かい紅茶を、淹れて戻ってきた。


 「それでは再開しましょう。」


 エウロペ帝国と、オストベルゲン家の話が再開された。

今回と次の後編は、もう少し解りやすい文にできないかと削りに削ったのですが。

前編のまとめを簡単に書くとしたら、


 ・主人公アドルフの住む帝国は各国を征服した侵略帝国。目標はエウロペ(ヨーロッパ)の統一。

 ・オストベルゲン家は初代は有能かつ勇猛で無欲だが残忍。

 ・現在オストベルゲン家は蛮族・野蛮として他の貴族から距離を置かれてる。


 と、なります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ