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俺は脳筋じゃねぇ!〜辺境群雄・オストベルゲン立志伝〜   作者: 丸一
0章 人生把握編〜やだ。我が家って脳筋蛮族なの?〜
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御側役紹介。・・ご苦労さまです。

一話一話の繋がりが結構ズレがある気がする。ともかく、やっていきます。年取っての挑戦って怖いよね。

 子供用のベットが解体され、地面に立ったアドルフは地面をタンタンと踏み固めるように足踏みをする。


(二人の兄になりましたアドルフです。いやー、弟ってこんなに良いもんなんですね。前世に比べて、非常識かつ非文明な世界にやってきた人生の中で最大の癒やしですわー。と、思ってたけど自由に動けるってが最高だよね!ゴメン!弟!)


 ようやく子供部屋から自由に出入りすることができる年齢になったアドルフは喜びに震えていた。周りに見張りや護衛はいるが、移動も運ばれ、運動も手取り足取り。戦場に連れ出す非常識とは違い、日常での過保護にも多少うんざりしてたアドルフの喜びは冤罪から晴れて出所したのと同等の喜びと言えた。


 「それは言いすぎかもね。」


 刑務所には入ったことはないし。無事故無違反とは言えなくても無事故無検挙の人生だった。と、遠くなった過去を懐かしみつつ無骨な屋敷を目的地まで歩いていく。

 どうやら、教育役と将来の側近を紹介してくれると事前に話を聞いているが不安しかない。なにせ、乳母や世話役も兵士や鉱夫よりマシなレベルの慎重さしなかった。


 (いや、ホントによく死ななかったよ。うん。)


 何度か運ばれる最中に落とされそうになったり、投げ渡された過去を思い出して背筋が寒くなった。特に誕生日に送られてくる武器武具おくりものに圧死しかけたのは記憶きつく残っていた。

 大きくため息をついて過去を遠くに投げ飛ばしたのと同時に領主の部屋に到着した。


 「アドルフ!よく歩いてこれたなぁ!」


 上座から怒涛の如く父・カールが全速力で迫ってくる。自分で地面に立って見るとわかる。2mある赤銅色の肌をした戦傷だらけの筋骨隆々(マッチョマン)が地響きを立てて迫る。


 (あれ?死んだ?)


 動ける自由を手に入れて、即日死亡。アドルフは自分が呆気なく吹き飛ばされる未来が明確に浮かぶ。


 「そこまでです。伯爵並様。」


 が、スルリと二人の間に入った五十路過ぎの細い男が割って入ると一言告げる。するとカールは急ブレーキをかけて止まった。質素だが、丈夫な皮の敷物が破れた勢いを見るにアドルフの予想は当たっていただろう。


 「さすがに死にます。ご自重を。」


 「まさか?俺の息子だぞ?そんな簡単に死にはせんだろう。」


 はっはっは。いかなる確信を持ってるのかわからないが豪快に笑うカール。本当に死なないと思っているのだろう。


 「いえ、屈強な獅子でも、熊でも子供は簡単に死にます。増して伯爵並様の膂力では、弾けます。イノシシを正面から殴り殺せるのですから。」


 「まさか?亡き父も俺との初対面で同じような事をしたではないか。」


 「はい。行いましたが、少なくとも体を強化して。全速力で。地面を削るほどの速度では、行っておりません。」


 「なに?!誰でも出来ることではないのか?!」


 「そんな事ができたら、魔獣の被害は減ってます!」


 どうやら、オストベルゲン家の感情と行動の激しさは血統らしい。五十路過ぎの細い男は胃の周辺をさすりながら言葉を返す。


 「ともかく。伯爵並様はお座りください。アドルフ様もこちらに。」


 むぅ。と、不満気に渋々と言った様子で上座の椅子を起こして座るカール。その向かいに座るアドルフ。


 「早速だがな!アドルフ!お前の教育役と側近候補を紹介しようと思ってな!」


 「は、はぁ。そうなんですね。」 


 (ごめん。さっきの突撃未遂の衝撃で頭から飛んでた。)


 半ば呆然としてたアドルフを他所にカールは手を叩く。すると3人の人間が入ってきた。その特徴を上げるとしたら、


 (The MUSCLE!)


 筋肉である。3人を右から見ても左から見ても、筋肉!戦傷!髭!である。おい。ポーズをとるな。


 「あ、あの父上?誰が教育係で、誰が側近候補ですか?」


 (多分。ステータスとかあったら武力に振り切れてそうなんだけど。)


 「そうだな。右からバルド、ベルン、バルドだ。若いながら我が家屈指の勇者であるぞ。バルドとバルドは綴りが違うからな。注意してくれ!」


 アドルフは頭痛が起こり、めまいを起こしそうになった。


 「で、教育係がこっちの男、ジェームズ・オトワットだ。」


 「伯爵並様?聞き間違いでしょうか?私が教育役だと聞こえましたが?」


 「ん?先日言ったではないか。」


 「私が聞いたのは、『これからも色々頼むな!』としか聞いておりません。」


 「だから、色々頼んでるではないか。」


 あ、オトワットさん。胃の周りを抑えてる。ご苦労さまです。


 「お、お受けするかどうかはともかく、コチラの人選をお教え願いませんか?」


 「このオストベルゲン家の治める領土は広い割に貧しく、魔獣の発生も多い。さらに隣国からの侵攻もあるからな。まずは腕っぷしよ!俺のときもそうだった!」


 頭を抱えるオトワットさん。本当にすいません。なんかもうすいません。


 アドルフは助け舟を出すことにした。さすがに見てられない。


 「父上。ボクは稀術けじゅつとか、領内のことをしりたいなぁ。父上みたいに強くなりたいけど、他のこともしりたいなぁ。」


 精一杯の涙を浮かべて上目遣いで父親に頼むアドルフ。内面40歳近い人間からすれば恥ずかしさで死にそうだったが、そんなものはオムツの交換や、乳母の世話でだいたい吹き飛んだ。


 「むぅ。そ、そこまで言われてはな!だが、そんな人間がオトワット以外にいるのか?」


 (え?官僚とか事務官とかいないの?この家?)


 「外から呼んでも来ぬからなぁ。来ても長続きしなかったらしいから、呼んでおらんのだ。」


 (どうやって食っての?この領内?)


 悩むカールに、頭痛を通り越して思考が止まりかけるアドルフ。


 「数年お待ち下さい。それまでになんとか。なんとか。なんとかして、対応します。それまでは私を教育を行います。」


 「やはりオトワットは頼りになるな!」


 筋肉を押し付けられる事はなくなったが、将来への不安と、オトワットへの同情と心配が湧いたアドルフだった。



 

明日にまた投稿します。サクサク行くべきか。それとも、細かくやっていくべきか。それが悩みどころ。そしてお気に入り2名。ユニークアクセス100人。ありがとうございます。


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