父、考える。珍しく。
まだ始まりなのに難産。これは大丈夫なのか?悩みつつ続ければなんとかなるかな?と迷いつつ3話目。ストック作っておけばよかった。
「勝どきを!雄叫びをあげろ!今日も勝ったぞ!」
(今日も今日とて敵を吹き飛ばし、勝利した。いやはや、勝つことは人生に張りを与えてくれる。東の奴らもこんな不毛な土地に攻撃し続けるのかわからん。考えても仕方がない。敵は倒せばいいだけだな!)
わっはっは!と豪快に笑うのはこの伯爵並領を治めるカール・ツー・オストベルゲン。腕っぷしに関してはこの帝国でまず第一位と言っていい。
元々オストベルゲン家は武門の家柄。初代・ディスベルトは帝国土着の人間でもなく、平民以下の生まれを『腕っぷし』で騎士に出世した豪傑だったと伝わる。
それから8代。カールの祖父の時代に現在治める領土を敵から奪い、敵を防いでいる。
「うむ!そろそろアドルフに側役を付けるかな!」
城に戻ったカールは血糊を拭き取りつつ妻であるアデーレに提案した。このアデーレも結婚前は女だてらに斧を振り回していた傭兵のような事をやっていた女傑であったが、本人達いわく、
「コイツの子を産みたいと思ったから嫁いだ。」
「孕ませたいとおもったわ。」
と言う理由で周りを押し切り即結婚。後日、その話を聞いた長男・アドルフは大層ゲンナリした顔をしていたと言う。
話は、城に戻る。アデーレに側役を付けることを提案したカールだったが、
「当てはありますの?「ない!」」
「駄目ではないですか。」
「だから、家臣に相談する前にオマエに聞いてるのだ!」
現役を退いて女らしくなったアデーレを抱きしめつつ、カールは意見を求める。だが、アデーレも腕っぷしで生きてきた人間。教育者などにコネもツテもない。正直言えば自分で育てたかったのだが、貴族のしきたりとやらでいい顔をされていない。
「なにせ我が家は蛮族、礼儀知らずなどと呼ばれ続けておるからな。呼んでも来ぬわ。俺のときもそうだった!」
戦場だから仕方ないではないか。むしろ、簡単に死ぬ方が悪い。と、考えるカールではあるのだが、
『オストベルゲン伯爵並家の血縁者で30歳を越えれば長生き。』
『猪のほうがまだ分別があり、熊のほうが優しく見える。』
『嫁や婿に送るなら葬式代と棺桶代を請求しろ。』
と、帝都まで伝わり、当主のオストベルゲン本家・分家も、初代・ディスベルトから当主の死亡原因は『戦死』か『戦傷が原因』しかない一族。エリートや知識層は蛮地・僻地と近づきやしない。
十年ほど前に父を失い、8人いた弟も名誉の戦死。自分も戦場で死ぬのは構わんとも考えるカールではあったが、
「息子が俺より先に死なれては困る。」
死ぬには順序があると考えるカールは息子にはキッチリ教育したいとも考えいた。
「またオトワットに頼むか!なにせアヤツは我が父の部下であり、俺の側役だ。息子の側役でも構わんだろう。」
決まれば速い。カールは妻を担いだまま、側近中の側近を頼ることにした。
こまったらオトワット。これがオストベルゲン家の合言葉である。
登場人物一覧でも作るべきか。ド脳筋というより、戦バカになってるな。